小説『FAIRY TAIL PSIを使って大暴れ』
作者:OR()

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第47話 月の雫【ムーンドリップ】


━Side アゲハ━

オレたちが岩陰に隠れてから少しして、二人の男が現れた。

ユウカ
「人の声したの、この辺り」

トビー
「おおーん」

眉毛がとても濃い男となぜか獣耳が生えた男 の二人組。誰だっけ?大魔闘演武では蛇姫の鱗【ラミアスケイル】にいたような気が……まあいっか。覚えてないってことは大したことねえってことだろ。

ユウカ
「昼……眠い…」

トビー
「おおーん」

ユウカ
「…オマエ月の雫【ムーンドリップ】浴びてね?耳とかあるし」

トビー
「浴びてねぇよっ!!飾りだよ!!!わかれよ!!!」

ユウカ
「からかっただけだバカ」

トビー
「おおーん」

ルーシィ
「月の雫?呪いの事かしら?」

アゲハ
『あるいは呪いと思われる現象の原因か……』

ネタばらしするとつまらんからな。知らないふりを続けなくては。
お、また一人現れたな。あいつはなんか見覚えがある気がする。たしか愛とか言いまくるやつだ。

シェリー
「ユウカさん、トビーさん、悲しい事ですわ」

ユウカ
「シェリー」

トビー
「おおーん」

シェリー
「アンジェリカが何者かの手によっていたぶられました…」

トビー
「ネズミだよっ!!!」

シェリー
「ネズミじゃありません……アンジェリカは 闇の中を駆ける狩人なのです、そして…愛」

アゲハ
『……(哀れみの目)』

分かっててもこのキャラはキツいな。てかあのネズミに服着せたのこいつか……イタイ趣味してんなぁ……

ルーシィ
「…強烈にイタイ奴が出てきたわね」

ナツ
「あいつら、この島のモンじゃねぇ…ニオイが違う」

ハッピー
「うん…それに呪われてる感じがないよ」

岩陰から覗き込んで様子をうかがうオレたち。オレ以外気配消していないのに何で気づかないんだろう、あいつ等……バカか?バカなのか?

ユウカ
「侵入者………か」

激眉の言葉にビクッと肩を震わせるナツたち。本当気配消すの下手くそだな、こいつ等……あの敵三人がエルザクラスの奴ならとっくに気づかれてるぞ。

シェリー
「もうすぐお月様の光が集まるという……何て悲しい事でしょう……
零帝様のお耳に入る前に駆逐しましょう。そう……お月様が姿を現す前に………」

ユウカ
「だな」

トビー
「おおーん」

シェリー
「デリオラを見られたからには生かしては帰せません、侵入者には永遠の眠り…つまり“愛”を」

トビー
「“死”だよっ!!!殺すんだよっ!!!」

そして三人は去って行った。あのふざけた耳の奴……ほとんどの台詞“おおーん”だったな。

ナツ
「何だよ、とっつかまえていろいろ聞き出せばよかったんだ」

ルーシィ
「まだよ、もう少し様子を見ましょ」

アゲハ
『オレがパッと行って捕まえてこようか?』

ルーシィ
「アゲハなら心配ないけど…とりあえず今は慎重に行動しなきゃね。何が起こるか分からないし」

アゲハ
『ん、分かった』

ん?何でオレルーシィの指示に従ってるんだろう?ま、いいか。減るもんじゃないし。

グレイ
「……」

ナツ
「なーんかややこしい事になってきたなァ」

ハッピー
「何なんだろうねあいつ等」

グレイ
「くそ……あいつ等デリオラを何のためにこんな所に持ってきやがった。つーかどうやっ てデリオラの封印場所を見つけたんだ……」

ナツ
「封印場所?」

グレイ
「こいつは北の大陸の氷山に封印されていた」

ルーシィ
「え?」

グレイ
「10年前……イスバン地方を荒らしまわった不死身の悪魔。
オレに魔法を教えてくれた師匠、ウルが命をかけて封じた悪魔だ」

ナツ&ルーシィ
「「!!!!」」

グレイ
「この島の呪いとどう関係しているかわからねぇが……これはこんなところにあっちゃならねえものだ!零帝…何者だ…
ウルの名を汚す気ならただじゃおかねぇぞ!!!」

グレイは手から無意識に冷気を出すほど怒っている。大丈夫かよ……

アゲハ
『それじゃあオマエの師匠が封印した悪魔が北の大陸から運ばれと来たって事か?』

グレイ
「そういうことになる…」

ルーシィ
「島の呪いってコイツの影響なのかしら?」

グレイ
「考えられなくもねぇ。この悪魔はまだ生きてるんだしな」

ナツ
「おし、そーゆー事ならこの悪魔をぶっ倒してみっか」

ナツは腕をグリングリン回しながら力による解決をはかろうとしていたが、鬼の形相で振り返ったグレイがナツに殴りかかった。

ナツ
「どぅおっ!!!」

グレイに殴られたナツはそのまま地面に倒れ込んだ。ちなみにオレは傍観を決め込んだ。何となく手を出さない方がいいと思ったのもあるけど一番の理由は面倒くさかったからだ。

グレイ
「火の魔導士がこれに近づくんじゃねぇ、氷が溶けてデリオラが動き出したら誰にも止められねぇんだぞ」

ナツ
「そんな簡単に溶けちまうものなのかよ!!!」

グレイ
「!!!………いや……」

アゲハ
『ちっとは落ち着けよ、グレイ。ちゃんと説明しろ』

オレたちはグレイを落ち着かせ、デリオラについて聞く事にした。

グレイ
「ウルはこの悪魔に絶対氷結【アイスドシェル】っつー魔法をかけた。それは溶けることのない氷。
いかなる爆炎の魔法をもってしても溶かす事のできない氷だ。溶かせないと知ってて何故これを持ち出した…?」

少しは落ち着いた様子のグレイが語り始める。

ルーシィ
「知らないのかもね。何とかして溶かそうと してるのかも…」

グレイ
「何の為にだよっ!!!」

ルーシィ
「し……知りませんけど……(泣)」

ナツは
「くそっ…!!!調子でねえな。誰が何の為にデリオラをここに………」

マンガで読んで知ってるけど結構な辛い思い出なんだよな……
グレイは未だにいつもの調子が出ていない。そんなグレイにナツが提案をしてきた。

ナツ
「簡単だ、さっきの奴らを追えばいい」

ルーシィ
「そうね」

グレイ
「いや、それよりも…」

アゲハ
『ここで月が出るのを待つ……だろ?』

グレイ
「ああ」

ナツ
「月……ってまだ昼だぞ!!!無理無理!!ヒマ死ぬ!!!」

ルーシィ
「どういうこと?」

アゲハ
『考えてみろ…今回の件、船乗りのオッサンの時から今の今まで全部“月”が関係してる』

グレイ
「そしてさっきの奴らも『もうすぐ月の光が集まる』とか言っていた」

ルーシィ
「そっか……確かに何が起こるか、あいつら が何するか……気になるわね」

ナツ
「オレは無理だ!!追いかける!!!」

ルーシィもオレたちの考えに賛同してくれたがナツは無理だったようだ。ま、納得しなくてもどっちにしろここにいるのは変わんねえけどな。


数分後――


「ぐが━━」

先ほどリオン達を追いかけると言ったナツはもう深い眠りについていた。

アゲハ
『ふぁあ…ナツ見てたらこっちまで眠くなってきた。月が出たら起こしてくれ』

ルーシィ
「え!?ちょ、アゲハ!!」

ルーシィがなんか呼び掛けてるけど知りませーん。オレはもう寝るったら寝る!!朝早く起きたせいで寝不足なんだよ。もう二秒で寝れる自信あるぞ。数えてみるか?

1…2

ZZZ…

ルーシィ
「早っ!!もう寝ちゃった……」

それから何時間経ったろうか……

アゲハ
『………ん…』

オレは目を覚まし、大きな欠伸を一つした。オレが寝てからずいぶん経ったみたいだ。辺りはすっかり暗くなっている。

ナツ、ルーシィ、ハッピーは眠っていたがグレイは起きていた。

何となく話しかけずらかったからナツを先に起こそうと腰をあげた瞬間だった。

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ………

グレイ
「!!」

ルーシィ
「何の音?」

ナツ
「夜か!!!」

謎の振動で目を覚ましたナツたち。ナツたちはまだ状況を飲み込めてない。
そんな中、天井が開き、紫色の月の光がデリオラの氷を照らし出した。

アゲハ
『月の光がデリオラに当たってるな』

グレイ
「偶然なんかじゃねぇぞコリャ!!!行くぞ!!光の元を探すんだ」

グレイの言葉に皆一斉に駆け出し、遺跡の頂上を目指した。
遺跡の頂上にたどり着いたオレたちは謎の集団が月の光を集めている光景を目撃した。

ナツ
「月!!?本当に月の光を集めてんのかこいつ等!!」

ルーシィ
「それをデリオラに当てて…!?どうする気!!?」

リラ
「ベリア語の呪文……月の雫【ムーンドリップ】ね」

ルーシィ
「アンタ…まだいたの?」

アゲハ
『ルーシィの星霊か?』

見たことはあるような気がする、マンガでだけど……

ルーシィ
「ええ、琴座のリラっていうの。それよりアンタ何か分かったの?」

リラ
「こいつ等は月の雫を使ってあの地下の悪魔を復活させる気なのよ」

ナツ
「何!!?」

グレイ
「バカな…絶対氷結【アイスドシェル】は溶けない氷なんだぞ!!!」

リラ
「その氷を溶かす魔法が月の雫なのよ。一つに集束された月の魔力はいかなる魔法をも解除する力を持ってるの」

ハッピー
「そんな…」

グレイ
「あいつ等……デリオラの恐ろしさを知らねぇんだ!!!」

アゲハ
『なるほど、大体分かった。これはあくまで推測だが、村の奴らの呪いにはなにかしらの形で月の雫が関係してると思う。月の魔力ってのは人体を汚染するほどのものらしい。オレも昔本で読んだ』

嘘だけどな!!

ナツ
「あいつ等が…」

ナツが怒りの形相を浮かべ暴れ出しそうになったその時だった。
仮面を被った男がさっきの奴等を引き連れて現れた。

あれがリオン…グレイの兄弟子か……

-48-
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