小説『FAIRY TAIL PSIを使って大暴れ』
作者:OR()

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第50話 完璧な落とし穴


━Side アゲハ━


キュイン スタッ

アゲハ
『到着』

ルーシィ
「アゲハ!!グレイ!!」

ナツ
「来たかお前ら!!ってグレイ!?お前ケガしてんのか!?」

グレイを背負って村に瞬間移動したオレにナツたちが気付いた。

グレイ
「うるせぇよ、こんなケガぐらい何ともねぇ」

アゲハ
『おい、オレに治療してもらったってのになんつー言いぐさだこのヤロー』

グレイ
「ごめんなさい!!」

黒いオーラを出しながら威圧してやればグレイはすぐに謝ってきた。

アゲハ
『分かりゃいいんだ。そんなことより………アレ…何?』

オレが指差した先にあるのは不自然に門の前の不自然に盛り上がった地面。

ナツ
「落とし穴だってよ(呆れ」

ナツが呆れたように言った。

アゲハ
『あんなのに引っ掛かるバカがいる訳ねぇだろ』

ハッピー
「だよね。オイラやっぱりルーシィってバカだと思…」

アゲハ
『こんな不自然な落とし穴にかかる訳ねぇだろうが!!もっとうまく作りやがれ!!』


((((えぇええええええ!!!))))


ナツたちと村人の心の声が聞こえた気がするが気のせいだろう。

そんなことよりこの落とし穴の拙さ。全く素人は何も分かっちゃいねぇ、落とし穴ってのはもっと完璧に隠すもんだ。オレは昔から色々なところで落とし穴作ってたからな。しかもPSIの使える今のオレならプロ級の腕前だぜ。

アゲハ
『いいか、落とし穴ってのはなこうやって作るんだよ』

オレはテレキネシスを駆使してルーシィの作った穴の左右と前に穴を掘り、氷碧眼【ディープフリーズ】で体重で壊れるぐらいの強度の薄い氷の膜を作ってそれを地表の数センチ下に設置する。穴の中に氷で作った槍を設置して【サンドクローラー】で砂を被せておけば完成だ。ふっふっふ……完璧だ。絶対に見た目じゃ分からない!!

アゲハ
『どうだ!!』

自信満々でバッ、と後ろを振り返るとなんとも微妙な表情をした面々が……

グレイ
「す、すげえ事はすげえんだが……」

ハッピー
「入り口からやって来るって保証はないよね。やっぱり引っ掛からないんじゃない?」

ナツ
「それにここまで完璧だと誰かが間違って落ちるかもしんねぇぞ」


ガーン!!


アゲハ
『そ、そうだった……』

たしか原作じゃ空から攻めてきてたじゃん!!意味ねぇよこれ!!

ハッピー
「(そういえばアゲハって意外とお子さまな所あるんだった。いつも冷静な雰囲気醸し出してるから忘れてたよ)」

ナツ
「にしてもよぉ、あいつ等まだ来ねぇのか?」

ルーシィ
「そ……そういえば遅いわね。アゲハの“瞬間移動者【テレポーター】”で来たとはいえアゲハが落とし穴を作り直すほどの時間があるなんて」

グレイ
「それにオレのケガの治療にも少し時間食ったからあいつ等が村に向かってからもうかなり経ってるはずだ」

ハッピー
「確かに変だぞ。遅すぎる」

そんな時、村人の一人が空を指差し、叫んだ。ちなみにオレは未だにうなだれている。

「な…何だアレは!!?」

村人の指差す通り、空を見上げれば…


ぶぶぶぶぶぶ……


アゲハ
『うおおおっ!!?スッゲェなあのネズミ!!』

何と遺跡の前で倒したあの巨大ネズミが尻尾 を回転させて空を飛んでいた。そういえばこいつ飛べんだっけ?改めて見てみると、ネズミは巨大なバケツを持っていて、その背中には例の三人がいた。

アゲハ
『あれ?あのバケツって……』

バケツの中身を思い出そうとしていると、件のバケツから少量のゼリーが零れ落ちた。
それは真っ直ぐ地上に落ちてくる。

ルーシィ
「ゼリー?」

ぞくっ

アゲハ
『ルーシィ!!!』

ルーシィ
「きゃああっ」

直感的にアレはヤバイと悟ったオレはルーシィを抱えて跳んだ。
ルーシィがいたその場所を見れば先程のゼリーの影響でじゅわじゅわと溶けていた。

ルーシィ
「ひっ!!」

ナツ
「何だ、このアブネェ臭いは」

アゲハ
『…毒か』

思い出した。確か名前は毒毒ゼリー(そのまんまだな!!)。これを空からばらまいて、原作じゃ怪我人はいなかったけれど少なからず村に被害が出たはず。

「あのバケツいっぱいこれが入ってるのか!?」

「ま…まさかバラまくつもりじゃ………」

バケツの中が毒毒ゼリーと知りパニックに陥る村人たち。オレは空にいるやつらを睨み付ける。

ユウカ
「醜い」

アゲハ&ナツ
「『!!!』」

リオン一味の一人、激眉がそう呟いたのをオレとナツは聞き逃さなかった。

ユウカ
「月の雫の影響が人間をこうも醜くするとは……」

シェリー
「まるで悪魔。デリオラの子のようで不愉快ですわ」

ナツ
「………」

アゲハ
『………あ?』

これは、ちょっと許せねえな。

シェリー
「アンジェリカ、おやりになって」

アンジェリカ
「チュー」

シェリーが指示を出し、ネズミがバケツをひっくり返した。

「うわあぁぁぁ!!!」

「やめろォォォ!!!」

「こんなのどうやって防げばいいのよォォォ!!!」

みんなパニクってそこら中に逃げ隠れする。ナツに任せるつもりだったけど仕方ねぇ……被害を最小限に押さえるにはオレがやるしかねぇな。

キィィ…

アゲハ
『テメェらの思い通りにはさせねぇよ。“六方転晶系【ヘキサゴナル・トランスファー・システム】”』


カッ


オレは空中に巨大な六方形を展開させ、その射線上にいるネズミとリオン一味を毒毒ゼリーごと村から離れたジャングルに転移させた。

ルーシィ
「た…助かった」

ナツ
「やっぱアゲハすげぇ━━━━!!!」

ハッピー
「あい!!」

成功したか。何とかゼリーとあいつ等ごと転移させることができたみたいだな。けど放っておいたらまた何か仕掛けてくるだろうしな。

アゲハ
『ナツ、ハッピー、ルーシィ。あいつ等を倒すぞ!!今からあいつ等んとこにテレポートする!!』

ルーシィ
「あたしも!!?」

アゲハ
『当たり前だ。お前も魔導士だろ』

ルーシィ
「はーい、うぅ…行きたくないなあ(泣)」

アゲハ
『よし、それじゃあ行くぞ!!』

ナツ
「おう!!」

グレイ
「待て!!何でオレが頭数に入ってねえんだ!!」

転送の準備を始めたところでグレイが割り込んできた。

アゲハ
『何でかって?お前はケガは治ってるけど魔力までは回復してねぇんだ。それにまだリオンとの戦いでの心の乱れがとれてねぇ。今のお前は足手まといなんだよ』

ルーシィ
「ちょ、ちょっとアゲハ!!それはいくらなんでもひどいんじゃ…」

ナツ
「ルーシィ、黙ってろ」

ルーシィ
「でも!!」

ナツ
「いいから、黙って見てろ」

ルーシィがオレの物言いに文句をつけようとするがナツが黙らせてくれた。

アゲハ
『いいか。まずは心を落ち着かせて、魔力の回復に専念しろ。お前が今やるべきことのためにな』

グレイ
「オレの…やるべきこと」

アゲハ
『リオンを止めたいんじゃないのか?』

グレイ
「!!!」

アゲハ
『魔力を消費した状態で勝てる相手じゃねえぞ。あいつに勝つためにも、今はしっかり休んでおけ』

グレイ
「…………分かった。負けたら承知しねぇからな」

グレイはしぶしぶといった感じだが引き下がった。

アゲハ
『うん、よしっ!!お前ら!!あいつ等をぶっとばしに行くぞ!!』

ナツ
「おう!!」

ハッピー
「あい!!」

ルーシィ
「うん!!」

アゲハ
『転送開始!!』

キュイン

オレたちはリオン一味のいる場所へとテレポートした。

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