小説『FAIRY TAIL PSIを使って大暴れ』
作者:OR()

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第53話 意外とやることなくてヒマだ……


━Side アゲハ━


エルザ
「おい、起きろアゲハ!!」

アゲハ
『…ぅ、ん……あと…5分……』

エルザ
「ほう、いい度胸だ。無理矢理にでも起こしてやる!!」


パンパンパンパンッ!!


ダメQケーキパクり事件のせいでボコボコにされたオレはエルザに無理矢理起こされた。

気持ちよく寝ていたのに…!!何もビンタで起こすことないじゃんか…!!

とまぁそれは置いといてと、どうやらオレが寝ていた間に話がまとまりエルザも協力することになったらしい。

んで、今はグレイからリオンとの関係等の説明をルーシィたちにしつつ移動中。

ルーシィ
「デリオラを倒すのがあいつの目的なの!!?」

アゲハ
『自分で言ってたからな。間違いねぇだろ』

リオンの目的を聞いて驚くルーシィ。グレイはそのまま話を続ける。

グレイ
「リオンは昔からウルを超える事だけを目標にしてきた。だからそのウルがいなくなった今、ウルの倒せなかったデリオラを倒す事でウルを超えようとしている」

ルーシィ
「そっか…死んだ人を追い越すにはその方法しか……」

ハッピー
「あい」

グレイ
「いや…あいつは知らないんだ」

ルーシィ
「え?」

グレイ
「確かにウルはオレたちの前からいなくなった。だけど…ウルはまだ生きている」

ルーシィ
「えぇっ!?」

ハッピー
「うそぉっ!!?」

エルザ
「どういう事だ?いったい過去に何があった?」

エルザの問いかけにグレイが自分の過去を話し出す。

10年前、グレイが住んでた町がデリオラに襲われ壊滅した。家族も死に、身寄りのないグレイだったが偶然通りがかったウルに拾われ、弟子入りした。
修行の日々の中、街でデリオラがブラーゴにいるという話を聞き、ウルたちの制止を聞かず、単身乗り込むグレイ。しかし当時のグレイが勝てるはずもなく、気絶してしまう。
そこへ駆けつけたウルが自身の体を氷へと変換させ、敵を封じる魔法、絶対氷結【アイスドシェル】を使い、デリオラを封じた。


大雑把にまとめるとこんな感じだな。


グレイの過去を聞き終えたオレたちは目の前の神殿が傾いていることに気づいた。

ルーシィ
「遺跡が……傾いて……る?」

ハッピー
「どうなってんだ━━━━━!!?」

アゲハ
『ナツだな…』

グレイ
「ああ、どうやったか知らねぇがこんなデタラメするのはあいつしかいねぇ。狙ったのか偶然か……どちらにせよこれで月の光はデリオラに当たらねえ」

いやー、しっかしナツの奴あんだけ大きいもんよく壊したな……や、オレも余裕で壊せるけどさ…狙って壊そうとは思わねぇよ……


ガサガサ ガサッ

突如周りから物音が聞こえてきた。

ルーシィ
「!」

エルザ
「誰かいるな……」

警戒を強める中、草むらから出てきたのはリオンの手下たちだった。

「見つけたぞ妖精の尻尾!!!」

ルーシィ
「うわあっ」

ハッピー
「変なのがいっぱい!!!」

アゲハ
『あの格好動きにくくねぇのかな?』

どうでもいいことに思考を巡らせているとエルザがグレイに先に行くよう促した。

エルザ
「ここは私に任せろ。リオンとの決着をつけてこい」

アゲハ
『魔力は回復したろ?負けんじゃねぇぞ』

グレイ
「エルザ…アゲハ……ああ!!」

そしてグレイは遺跡に向かって走り出す。

アゲハ
『さーてと…こいつらぶっ飛ばすか、エルザ』

エルザ
「いや、ここは私一人でやらせろ」

アゲハ
『は?何で…』

エルザ
「八つ当たりにちょうどいい」

アゲハ
『おいおい…(汗)ま、オレは構わねぇよ。好きにしな』

エルザ
「ああ、そうさせてもらう」

エルザは返事を返すや否やすぐに敵に向かって駆け出した。オレは次々とエルザが敵をなぎ倒していくその光景を見ているルーシィたちに近づく。

アゲハ
『ルーシィ、ここは任せていいか?』

ルーシィ
「え?う、うん…分かった。どこか行くの?」

アゲハ
『ここにいてもすることないからな。色々と調べてくる』

ルーシィ
「そう、気を付けてね」

アゲハ
『ああ、エルザがやり過ぎるようだったら止めてくれ。じゃあな』

ルーシィ
「えぇ!!?あのエルザを止めるってそんな無茶な!!ちょっ、アゲハ!?ってもういないし……」



さて、色々調べてくるとは言ったものの何をすればいいんだろうか?あのままエルザたちのとこにいても面白くないと思ったから単独行動に切り替えたけど……結局何もやることがない。原作でもここらの場面で動くのってナツとグレイだけなんだよなぁ……オレができることって何もない。

アゲハ
『ヒマだ……』

岩の上に座り、空を見上げる。

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


アゲハ
『あ、遺跡が……』

傾いていたはずの遺跡は轟音が響き終わると元通りになっていた。

時のアークか…便利だなぁ……
ここにいてもやることねぇしデリオラのところにでも行くか。よし、瞬間移動者【テレポーター】。


キュイン


デリオラの前にテレポートしたオレはその巨大な体を見上げる。

アゲハ
『でけぇな………』

サイズだけならアクノロギアにもひけをとらない。不死身だっていうけど今回の件で死ぬし…大したことねぇのかな?ちょっと戦ってみたかったかも………

デリオラを見上げながら思考を巡らせていると、ひとつの魔力がこっちに近づいてくるのを感知した。

アゲハ
『何か用か?うさんくせぇおっさん?』

振り向くとそこには仮面を被った怪しいおっさんがいた。正体は変装したウルティアだけど一度も彼女に会ったことのないオレが正体を見破るのも不自然なのでそのまま話しかける。

ザルティ
「ほっほっほ。これはこれは…とんだ大物に出くわしたものですな。まさかあの暴王【メルゼズ】が来ているとは…まったくついてない……」

アゲハ
『お前、デリオラを倒すことが目的じゃねえだろ……』

ザルティ
「ほう、なぜそうお思いに?」

アゲハ
『オレは他人の心情を読み取ることに長けてるからな。リオン一味からデリオラに対して読み取れた感情は憎しみだった。多分デリオラに家族を殺されでもしたんだろ。けどお前から感じるのは高揚感……強大な力を目の前にしてそれを手に入れようとする人間の感情だ』

これは本当の話。一応初めてここに来た時にリオン一味の心情を森羅万象で読み取っておいた。激眉やバカ耳たちが協力している理由を忘れちまったからなんだけど……

ザルティ
「いやはや……かないませんなぁ。確かに私の目的は零帝様……いいえあの小僧の目的とは違います。私の目的はデリオラを復活させ、我が物にすることです。あれほどの力を自由に操れたらさぞ楽しそうではございませぬか」

口端をつり上げ自分の目的を語るザルティ。あまりに下らない計画に思わずため息が出た。

アゲハ
『あっそ…まぁオレはお前がなに考えようが知ったこっちゃねえ。ただ、これ以上この島は荒らさせねえ…!!』

ザルティ
「ほっほっほ。ならばここで戦うのですかな?」

アゲハ
『いや……』

ザルティ
「…?」

━━見つけたぞぉ!!!

アゲハ
『お前をぶっとばすのは……』

そこまで言って一度言葉を切る。上を見上げると一つの陰が目に入る。それはどんどん近づいてきて……

ナツ
「とりあえず燃えとけぇ!!!!」


ドゴォン!!!


ザルティ目掛けて攻撃してきた。


アゲハ
『この…火竜【サラマンダー】だよ』


ザルティ
「ほっほー愉快な売り言葉ですなぁ。暴王、あなたが相手をするのではないのですか?」

ナツの攻撃を避けたザルティが言った。

ナツ
「アゲハ!!こいつはオレが百万回ぶっとばすって決めたんだ!!手ェ出すなよ!!」

ナツがザルティを自分の獲物だから一人で倒すと言ってきた。オレはそれに肩をすくめて答える。

アゲハ
『ああ、激眉の時はお前に譲ってもらったからな、今回はオレが譲るよ。ただし…絶対負けんじゃねぇぞ』

ナツ
「おう!!当たり前だ!!!」

アゲハ
『そういうわけだ。お前はナツがぶっとばす。覚悟しろよ?』

ザルティ
「ほっほっほ。あなたが戦った方が勝率が高いでしょうに…おかしな方ですな」

アゲハ
『うるせえよ。ナツ、オレはグレイの様子を見に行ってくる。また後でな』

ナツ
「ああ、分かった」

そしてオレはナツと別れグレイの元へと向かう。さて、あっちはもう終わってるかな?グレイの傷治療してやんないと……

-54-
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FAIRY TAIL 31 講談社キャラクターズA ([特装版コミック])
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