小説『FAIRY TAIL PSIを使って大暴れ』
作者:OR()

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━Side ミラ━


ミラ
「ルーシィ!!こっちに来て!!」

私はルーシィの手を引き、言った。

レナがジュピターをなんとか防いだ後、ジョゼが大量の幽兵【シェイド】を投入し、15分後に再びジュピターを放つと予告した。ナツとハッピーはすでにファントムに乗り込み、他のみんなも臨戦態勢に入った。私もやるべき事をやらなくちゃ…!!

ルーシィ
「ミラさん!?一体どこに…」

ミラ
「隠れ家があるの!!戦いが終わるまでそこにいましょ!!!」

ルーシィ
「でも…あたしもみんなと戦わなきゃ!!あたしのせいでこんな事になってるんだ!!!」

私の手を振り払い、隠れることを拒否するルーシィ。

ミラ
「違うわよルーシィ。誰もそんな事思ってないの。やられた仲間の為、ギルドの為、そしてあなたを守る為……この戦いにはみんな誇りを持ってるのよ。だから言うことを聞いてね」

ポワッ

ルーシィ
「わっ」

私はルーシィに眠りの魔法をかける。倒れかかるルーシィを支え、リーダスに指示を出した。

ミラ
「お願いね」

リーダス
「ウイ!!!」

リーダスが魔法で馬車を作り出し、ルーシィをのせて隠れ家へと向かっていった。

エルザ
「ミラ……」

ミラ
「エルザ、どうしたの?」

自分の名前を呼ばれ、振り返ればエルザがレナを抱いて立っていた。

エルザ
「私はもう行かねばならん。レナを頼む、ミラ」

ミラ
「分かった。気をつけてね」

エルザ
「ああ、行ってくる」

眠っているレナを受け取り、エルザが戦場に向かっていくのを見届けた。

私は……今の私には戦う力はないけど……仲間は必ず守ってみせる!!!

私は残り少ない魔力でルーシィの姿に変身した。私はレナを連れてギルド内へ戻る。



オオオオオオオオオオオ



レナを寝かせ、ギルドの窓から戦況を確認する。みんな大量のシェイドに苦戦して、負傷している。このままじゃいずれやられてしまう。それにジュピターもあと12分で発射されてしまう。

ミラ
「アゲハ……」

アゲハは今マスターの治療に行っていてここにはいない。アゲハがいればこの状況も改善できるかもしれない。だけどポーリュシカさんの家にいるアゲハとの連絡手段がない今、アゲハに頼ることはできない。

ミラ
「こんな状況なのに何もできない……自分の無力さに怒りが込み上げてくるわね」

ぎゅっ、と唇を噛み締めた時だった。


ヒョコ


ミラ
「えっ!?ダメQあなた…そんなところに……」

忽然と現れたのはアゲハの作り出した疑似生命体、ダメQだった。ダメQは自分を指さし、胸を張る。

何を伝えようと……あっ!!ダメQがギルドに送り込まれてきた時、ダメQに触れながらアゲハに強く呼び掛けることでテレパスが繋がったんだった!!

私がダメQの伝えたいことに気づいたことを悟ったのかコクコクと頷くダメQ。そうと分かれば早くアゲハに…!!


ダメQの頭に手を伸ばしかけて、気づいた。


待って……アゲハは今、ガルナ島で使った新技のせいで体調が万全じゃない。そんな状態のアゲハを呼んだら……確実に無茶をする…!!

ミラ
「どうしよう…」

どうしようどうしようどうしよう…!!!アゲハを呼ばないとみんなが危ない。かといってアゲハを呼んだりしたら…また怪我をする…アゲハが傷つくところなんて…もう……




でも…ここで私があなたを呼ばなくても……結局あなたの心は傷つくんだよね……

守れなかったって、自分を責めて……

だったら私は……



ダメQの頭に手を置いてアゲハに強く呼び掛ける。



ミラ
「アゲハ……」


私はあなたの心を傷つけたくないから……あなたをここへ呼ぶ。決して死なないと…約束させて……



━Side Out━




━Side アゲハ━


ミラ
≪アゲハ……≫

アゲハ
『っミラ!?』

ジイさんの治療をしている時、突然ミラの声が頭に響いた。

ポーリュシカ
「どうしたんだい?」

アゲハ
『ミラからテレパスが…!!ミラ、どうしたんだ一体!!』

オレにテレパスが来るという事はダメQを通じて語りかけてんのか!?

ミラ
≪アゲハ、今ギルドがファントムに襲われてるの。それであなたにダメQを通じて連絡して……≫

アゲハ
『なんだと!!?』

しまった!!もうそんなに時間が経ってたのか!!ジイさんの治療の時間をかけすぎた!!

アゲハ
『みんなは無事か!!?今すぐオレもそっちに行くから…』

ミラ
≪アゲハ、少し私の話を聞いて≫

アゲハ
『!!……何だ?』

発動しようとしたテレポートを中止し、ミラに話を促す。

ミラ
≪あなたの事だから、体調が万全じゃないのに無茶をすると思う。本当はそんなあなたを呼びたくはなかった≫

アゲハ
『ミラ……』

確かに今のオレはゼロギアのリバウンドのせいで満足に力を出せない。今のオレじゃあ、せいぜいアクノロギアと戦ったときぐらいの力しか出せないだろう。

ミラ
≪だけどみんなを守るにはあなたの力が必要なの…!!だからひとつだけ約束して!!絶対、絶対無事に帰ってきて!!≫

ミラの声はだんだんと声が掠れていき、終いには泣きながら叫んでいた。オレはぎゅっと拳を握りしめ、言った。

アゲハ
『分かった、約束する。だから泣き止んでくれ、ミラ。またみんなで宴をしよう、歌を歌おう!!誰も死なせないし、オレも無事に帰ってくるよ。約束だ』

ミラ
≪グズ、うん…約束…!!≫

アゲハ
『時間も惜しい、すぐにそっちに行く!!もうテレパスを切るぞ』

ミラ
≪ええ、気をつけて≫

アゲハ
『ああっ!!』


プツン


アゲハ
『うし、じゃあポーリュシカさん、ジイさんを頼む。峠は越えた、あとは目を覚ますのを待つだけだ』

ポーリュシカさんに残りのジイさんの治療を任せて準備をする。

ポーリュシカ
「戦いに行くのかい?」

アゲハ
『ああ』

ポーリュシカ
「ふん、これだから人間は嫌いだよ。争うことでしか物語を結べぬおろかな生き物さ」

アゲハ
『まぁな。でもオレは理由なく戦ったりはしない、家族を守る為に…戦うんだ』

ポーリュシカ
「……死ぬんじゃないよ」

アゲハ
『おう、じゃあ行ってきます、ポーリュシカさん』


キュイン


ポーリュシカさんに別れの挨拶をして、オレはテレポートした。



ドゴォン ズドォオン



カナ
「うあっ!!」

マカオ
「カナっ!!ちくしょお!!!」

テレポートしてすぐに少し先でカナがシェイドにやられそうになっているのが見えた。近くにいたマカオたちが助けようとするが他のシェイドに阻まれ、間に合わない。カナにシェイドの持つ剣が降り下ろされる。

アゲハ
『━━━オレの仲間に……』

ライズ全開!!カナとシェイドとの間に一瞬で割り込んだ。

アゲハ
『手ェ出してんじゃねえよ!!神刃【カミキリ】!!!』


ズバッ!!!


シェイドに直接触れるとダメージを受けるので、神刃でシェイドを切り裂いた。

アゲハ
『ちっ、思ったより出力でねぇ…やっぱりゼロギアのリバウンドはキツいな』


「「「「アゲハ!!!」」」」


アゲハ
『遅れて悪いな。話そうにもこいつら邪魔だからまずは一掃するか』

カナ
「は!?一掃って…」

みんな驚愕の目でオレを見るが、こんなところじゃ落ち着いて話もできない。オレはテレキネシスを使い、大量のシェイドを上空に持ち上げる。そして次にパイロクインーン・サラマンドラを発動した。

アゲハ
『いっけぇええぇえええ!!!』


ゴバッ


サラマンドラから放たれた炎がシェイドを焼き尽くした。いやー、コレ仲間も巻き込むからわざわざ敵だけを上空に持ち上げなきゃいけなかったんだよね。

アゲハ
『うし、大分片付いたな』

今のでシェイドは4分の1程度まで減った。これで大分楽になるだろ。

そんなことを考えながらシェイドがいた空を眺めていると肩を叩かれた。後ろを振り返るとカナがいた。他のみんなもシェイドが減って余裕ができたのか集まってくる。

カナ
「来るの遅かったのはムカつくけど助かったわ。ありがと、アゲハ」

おい、今さり気に文句言ったろ……

マカオ
「お前が戻ってきてくれて助かったぜ!!」

ワカバ
「アゲハがいりゃあ百人力だ!!!」

ワカバの言葉と共にみんなが沸き立つ。おおぅ、そんなに喜んでくれるとは……

カナ
「そうだ、あんたマスターの治療してたんだろ?マスターは大丈夫なの?」

アゲハ
『おう、とりあえずは大丈夫だ。安心していい』

カナ
「そう、よかった」

ほっと胸を撫で下ろすカナ。他のみんなも安心したような表情を見せる。

アゲハ
『それより状況を教えてくれ。今どうなってんだ?』

途中から来たせいで状況がよくわからん!!

カナ
「あと5分で魔導集束砲ジュピターが発射されるんだ!!」

ビスカ
「ナツやエルザたちが止めに行ってるんだけど中々止まんなくて…」

アルザック
「このままじゃまたジュピターを撃たれるんだ!!」

なるほどな、まだジュピターは破壊されてないのか…ってちょっと待て!!

アゲハ
『おい、アルザック。またって事は一回はジュピター撃たれたのか?誰が防いだんだ?』

原作ではエルザが防いでその後しばらく気絶してたはずだ。でもビスカはエルザも止めに行ってると言った。どういう事だ?

マカオ
「一回目のジュピターはレナが防いだんだ。ケガはしてないけどそのせいで魔力全部消費して今はギルドで寝てる…」

カナ
「バッ、アゲハの前でその事は…!!」

アゲハ
『………………………………ほう?』




ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ………




「「「「ひぃっ!!!!」」」」

カナ
「遅かった……まぁ、むしろ好都合…なのか?」


ジョゼェ……レナにジュピターなんぞ撃ちやがって!!許さんッ!!!


アゲハ
『ちょっくら行ってジョゼ潰してくるわ。シェイドたちはお前らに任せる。いいな?』


「「「「はいっ!!!」」」」


アゲハ
『ここからはオレも参戦だ。首を洗って待ってやがれ!!!』


オレはファントムのギルドに向かって走り出した。



第60話 暴王の参戦



覚悟しろよ、ジョゼ。レナの事だけじゃねえ……ギルドを襲い、仲間を傷つけ、ミラを泣かしたお前を……オレは絶対に許さねえ!!!

さぁ、戦闘開始だ!!!

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