小説『FAIRY TAIL PSIを使って大暴れ』
作者:OR()

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アゲハ
『ぅん………朝か…』

窓から眩しい光が差し込んできて、オレは目を覚ました。目に映るのは知らない天井だ。どこだここ?

レナ
「あ!アゲハ兄!!起きたんだね、おはよう」

アゲハ
『レナか、おはよう。元気そうだな。よかった』

目を覚ましたオレにレナが声をかけてきた。寝転がったままで挨拶を返す。

アゲハ
『ところでここはどこなんだ?』

レナ
「軍の駐屯地にある医務室だよ。事情聴取を受けさせるために連れてこられたんだって」

アゲハ
『なるほどな』

そういや原作でも事情聴取で捕まってたっけ……

アゲハ
『それよりレナ、お前の方はどうだったんだ?ジュピター止めて眠ってたろ』

レナ
「うん、丸一日眠り込んじゃってミラさんに迷惑かけちゃったよ。そっちも大変だったみたいだね。アゲハ兄、3日3晩寝てたんだよ?」

アゲハ
『3日3晩!?マジか……』

どうりで腹が減ってると思った。

レナ
「そうだよ、ミラさんも看病手伝ってくれたんだから後でお礼言っておきなよね」

アゲハ
『おう、分かった』

レナ
「ほら、分かったら早く起きて!!朝御飯もうすぐできるから」

そう言ってレナは部屋を出ていこうとする。

アゲハ
『おう。…………あれ?うご、え!?おーい、レナ!!』

レナ
「なーに?アゲハ兄」

アゲハ
『ハ、ハハ……問題発生だ』

オレは戻ってきたレナに大変由々しき事態が発生したことを伝える。

アゲハ
『う、動けん……首ぐらいしか動かない』

レナ
「……………えぇえええぇぇえええええ!!!!」





第67話 落ち着けお前ら





おっす!夜科アゲハだ。ファントムとの戦いが終わって一週間、未だに満足に体が動きません。

3日3晩眠りこけた後、目覚めたオレは指一本動かせない状況に陥っていた。どうやらゼロギアのリバウンドが回復しきっていない内に再びゼロギアを使ってしまったかららしい。

幸い体が動かないだけでPSIは使えていたのでレナやミラにサポートしてもらったり、禁人種【タヴー】を使ったり(オレを運ばせたり)、テレキネシスで自分の体を動かす事でなんとか生活している。

目が覚めた後、オレも事情聴取を受けたんだけど、如何せん体が動かないもんだから机に突っ伏しながら話聞いてたんだよね。そしたらふざけてるのか、と怒られた。ま、当たり前か。

ま、そんなこんなでやっと落ち着いてきたってトコだ。上半身は動くようになってきたけど下半身がまだうまく動かない。当分戦闘はできそうにないなぁ。


で、今はギルドの復興作業の最中なんだけど……


アゲハ
『バカだろ、あいつ』

テレキネシスで浮かせた木材に座っているオレの視線の先にはわざわざ木材を十数本を重いと言いながら運んでいるナツがいた。いや、重いって分かってるんならもっと運ぶ本数減らせよ。

そんな事を思って見ていると、今度はグレイがナツよりもさらに多くの木材を運ぼうとした。

アゲハ
『うわ、バカがもう一人』

レナ
「あ、崩れた。あーあ、グレイってば埋もれちゃってるよ」

隣に座るレナも呆れた視線を二人に向ける。ナツの奴は木材に埋もれたグレイを見て笑っている。

エルザ
「おい、お前たち。遊んでる暇があったらさっさと運ばんか。一刻も早くギルドを修復するんだ」

土木作業着に換装したエルザが二人を叱っている。

アゲハ
『はは、オレもちゃんと作業しないと怒られちまうな』

レナ
「そうだね。さっさと運んじゃおう」

自分達が座ってる木材を動かし、作業に戻る。まぁ、オレの場合テレキネシスで木材を動かしたり組み立てたりするだけだから楽だけどな。レナはというとフェザースラストで木材を切り揃えたりしている。

アゲハ
『そういや設計図とかってどうなってんだ?おーい、ミラ』

ミラ
「あ、アゲハ。調子はどう?」

アゲハ
『上半身は動くようになってきたけどな……下半身がまた…』

ミラ
「そう、大変ね」

アゲハ
『ま、自業自得だから仕方ねえさ』

作業が一段落ついたので設計図を見にミラのとこへ行ってみた。

ジェット
「おう、アゲハ!!ちょっと見てみろよコレ」

ドロイ
「パースとかひどいだろ?」

アゲハ
『どれどれ?うわ、確かにこりゃひどいぞジイさん』

ジェットから手渡された設計図はまるで子供の落書きのようだった。設計図さえしっかりしてればオレが新しいギルド建てる事もできたんだけど……さすがにコレじゃなあ。

マカロフ
「パースなんて昔の画家の目の錯覚じゃ。芸術は自由でなくてはならん」

アゲハ
『いや、さすがにコレは自由すぎるだろ』

ジェット
「建物の設計図がこんなんじゃ完成する訳ねーだろ!!!」

オレとジェットの抗議なぞ何のその。ジイさんは構わず作業を続ける。

エルザ
「監督、この角材はどこへ」

マカロフ
「おー、あっちじゃ」

マックス
「監督って……」

アゲハ
『そこは棟梁じゃねえか?』

ドロイ
「いやそういう問題!?」






アゲハ
『おーい、レナ!そっちはどうだ?』

ジイさんたちのトコにいてもつまらなくなってきたので、レナの様子を見に来てみた。

レナ
「あ、アゲハ兄!もう終わったよ。そっちは?」

アゲハ
『オレももう終わった。ヒマだからナツたちのトコにでも行こうと思うんだけど、レナはどうする?』

レナ
「私も行く!」

アゲハ
『そうか。コレ乗ってくか?』

そう言ってオレが座ってる木材を指差す。

レナ
「うん!」

返事をしたレナはそのままオレの右隣に座った。レナが座った事を確認したオレは、早速ナツたちのトコへ向かった。



レナ
「あれ?あれってロキ?何話してんだろ?」

アゲハ
『……………さあな』

ナツたちのトコへやって来ると、ちょうどロキがルーシィの鍵をナツに渡しているとこだった。

アゲハ
『よう、ロキ。元気ねえな』

レナ
「ちゃんとご飯食べてる?」

近くまで寄ってロキに話しかける。

ロキ
「アゲハ、レナ……大丈夫だよ、心配要らないさ」

アゲハ
『そうか、無理すんなよ』

ロキ
「ああ、ありがとう。それよりルーシィはどうしてる……かな?」

オレとの会話を打ち切り、ルーシィの様子を聞くロキ。

ナツ
「家にいぶんがねもごべもむ」

ハッピー
「飲み込んでからしゃべろうよ」

多分ジュビアがグレイに贈ったであろう弁当を食いながらナツが答えた。

グレイ
「多分家だ」

ロキ
「そっか」

アゲハ
『……………』

ホント顔色悪ィな、ロキの奴……もうそろそろ限界ってことか。

ナツ
「たまには遊びに行くか!!」

ハッピー
「あいっ!!」

グレイ
「だな……ちょっと心配だしな」

アゲハ
『じゃあオレも行こっかな』

レナ
「私も行く」

ナツ
「ロキ、お前ルーシィん家初めてだろ」

ロキ
「いや、僕は行かないよ。知ってるだろ?星霊魔導士にはやな思い出が…」

ナツ
「そっか、ルーシィはルーシィなのになぁ」

そう言ってナツはそのままルーシィの家に向かい出す。

レナ
「………………」


ひょい


アゲハ
『あ、おい!レナ!?』

じっとロキを見ていたレナは座っていた木材から降りてロキの方へ向かっていった。




レナ
「ロキ!」

ロキ
「レナか、どうしたんだい?」

レナ
「相談したいことがあったらすぐに言ってね。私じゃなくてもいいから」

ロキ
「?何の事を……」

レナ
「ロキ…何かに悩んでるでしょ?」

ロキ
「!」

レナ
「一人で苦しんでる姿…見てられなくて……」

ロキ
「レナ…」

レナ
「本当に、苦しくなったら言ってよ!!仲間なんだから!!」

ロキ
「っ!!………分かったよ。さぁ、アゲハが待ってるよ」

レナ
「うん」




レナ
「お待たせ!!」

ロキのトコに話をしにいったレナが帰ってきた。

アゲハ
『言いたいことは言えたか?』

レナ
「うん」

アゲハ
『じゃあルーシィん家行くか。ナツたちはもう先に行ってる』

レナ
「うん、行こっか」

レナが再び木材に座り、オレたちはルーシィの家に向かった。





ルーシィ宅

ナツたちと合流し、ルーシィの家へと訪ねた。さすがに家の中じゃ木材に座ってはいられないので、今オレは無空術で移動している。これ、意外と疲れるんだよな……自分以外の物を浮かせてた方が楽。

ナツ
「ルーシィ元気かぁ!!!!」

ハッピー
「元気かぁ」

レナ
「具合悪いの?大丈夫?」

ばんっ、と大きく音を立てて扉を開け、ナツたちが呼び掛けるが返事がない。

ナツ
「………………」

アゲハ
『返事ねえな』

ハッピー
「いないのかなぁ?」

部屋の中を探し出す一同。オレも探すフリだけして部屋を物色する。だってここにいないの知ってるし。

グレイ
「風呂か!!?お約束の展開が待っていそうで申し訳ないが」

ナツ
「いねえ」

グレイ
「風呂のチェックはえぇよ!!!」

お前らルーシィの人権無視しすぎだろ……オレも人の事言えないか。

エルザ
「出かけているようだな」

皆思い思いに部屋を探すが、見つからない。

ハッピー
「うわぁ!!!」


どさどさどさ


ハッピーの叫び声と共に何かが落ちた音がした。

皆で駆けつけるとハッピーが手紙の山に埋もれていた。

ナツ
「何だこれぁ」

グレイ
「手紙?」

するとナツが手紙を勝手に開封し、読み上げ始める。

ナツ
「≪ママ…あたし ついに憧れの妖精の尻尾に入ることが…≫」

グレイ
「おいおい、勝手に読むんじゃねーぞ」

アゲハ
『勝手に家に入るものでもねーけどな』

グレイが注意するが、構わずナツは続ける。

ナツ
「≪今日初めてアゲハの年齢を聞いたんだ。まさかあたしより年下だとは思わなかったわ……それにレナもまだ11歳なのよね。あんなに小さいのにもう仕事してるなんてすごいよね≫」

アゲハ
『お、オレやレナの事も書いてあんのか』

レナ
「なんか照れるね」

ナツ
「≪今日はエルザさんって人に会ったの!!かっこよくて綺麗で、あのナツがね…≫」

エルザ
「む…」

グレイ
「これ全部ママへの手紙か?」

アゲハ
『…みたいだな』

それにしてもこんなに沢山…何故送らないんだ?と、皆(オレ除く)が首を傾げているとエルザが何かを見つけた。

エルザ
「ルーシィの書き置きだ」

レナ
「書き置き?」

エルザ
「“家に帰る”だ そうだ」


「「「「何ィィ!!!?」」」」


書き置きを読んだエルザと事情を知ってるオレ以外の四人は驚きの声を上げた。

グレイ
「帰るって何だよオイイ!!!何考えてんだアイツはァァ!!!」

ハッピー
「ま、まさかまだ責任感じてるのかなぁ」

レナ
「は、早く見つけないと!!いなくなっちゃやだよルーシィぃぃ!!!」

アゲハ
『落ち着けお前ら』

エルザ
「ええい、とにかく追うぞ!!アゲハ!!トリックルームかテレポーターだ!!早くしろ!!」

アゲハ
『無茶言うな!!ルーシィの実家がどこか知らねぇんだから無理に決まってんだろ!!待ってろ、今ホワイト・フーチでサーチすっから』

レナ
「早くしてよアゲハ兄!!あと5秒で居場所特定して!!!」

アゲハ
『だから無茶だっつってんだろ!!』







その後、フーチがルーシィの居場所を特定し、バーストで作ったドラゴン(ドラゴンドライヴと名付けた)に乗ってハートフィリア邸にたどり着いた。

PSIを解除し、歩いてルーシィを探し回る。ま、オレは無空術で飛んでるんだけど。

ハッピー
「あ、ルーシィいた!!」

グレイ
「あれか!?」

ハッピーの指差す先に見慣れた金髪が目に入った。


「「「「「ルゥシィィィ!!!!」」」」」

ルーシィ
「何でぇ━━━━━!!!?」

アゲハ
『はぁ、ちょっとは落ち着けよお前ら。』

いきなり現れてきたナツたちに驚き、目を見開くルーシィ。

ハッピーとレナが抱きつき、ナツが凄い勢いで理由を聞くと、苦笑いしながら話し始めた。

理由を聞いた一同(オレ以外)は目を丸くしていた。


ルーシィ
「みんな……心配かけてごめんね」

グレイ
「結局とりこし苦労だった訳か」

エルザ
「気にするな。早合点した私たちにも非はある」

ナツ
「ハッピーとレナなんかずっと泣いてたぞ」

レナ&ハッピー
「「な…泣いてないよ!!!」」

いや、無理があると思うぞレナ。移動中ずっとオレのシャツで涙をぬぐってたから未だにオレのシャツ濡れてるし。

ナツ
「それにしてもでけー街だな」

ナツが周りを見渡してそう言った。

ルーシィ
「あ、ううん。ここは庭だよ、あの山の向こうまでがあたしん家」

うーわ、分かっててもすげえな。広すぎんだろ、ハートフィリア家の敷地。

ルーシィ
「あれ?どーしたのみんな……」

ナツ
「お嬢様キタ━━━」

グレイ
「さりげ自慢キタ━━━」

ハッピー
「ナツとグレイがやられました!!エルザ隊長、レナ副隊長、一言お願いします」

エルザ
「空が……青いな……」

レナ
「この空に比べればちっぽけだよ。あはは……」

ハッピー
「エルザ隊長とレナ副隊長が故障したぞ━━━!!!頼れるのはもうあなただけですアゲハ総隊長!!!」

オレ総隊長なの?まあ、期待には答えてやるか。

アゲハ
『フッ、フフフフフ……金持ちのやることは理解…不能……ピーガガッ……』

ハッピー
「アゲハ総隊長も撃沈だ━━━━━!!!!」

アゲハ
『とまぁ冗談はこれくらいにして、と』

ハッピー
「あれ、復活した!!?」

アゲハ
『さぁ、お前ら!!帰るぞ!!!』


「「「「・・・・・・・・・・・・・・」」」」


アゲハ
『………はぁ…』

その後、故障したナツたちを連れて、トリックルームで帰ったとさ。





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