小説『FAIRY TAIL PSIを使って大暴れ』
作者:OR()

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仕事の帰りに寄った鳳仙花村の露天風呂。湯気が立つ温泉の中に見知った顔を見つけた。

アゲハ
『あれ?ナツ、グレイ…お前らも来てたのか』

ナツ
「アゲハ!?」

グレイ
「お前…何でここに?」

アゲハ
『レナと行ったクエストの帰りに寄ったんだ。ここの温泉評判いいからな。お前らも仕事帰りか?』

湯船に入りながらナツに聞く。

ナツ
「まぁな」

グレイ
「チームで盗賊退治に来たんだよ。で、早く終わったから一泊することになったんだ」

アゲハ
『そっか。じゃあ今頃レナもエルザたちに遭遇してるかもな』

グレイ
「ありえるな。つかよく仲間に会うなぁ……ついさっきロキとも会ったし」

アゲハ
『えっ、ロキもこの村に来てんのか?』

ナツ
「おお、仕事終わって村に来たらバッタリ会ったんだ。相変わらずルーシィ見るとすぐに逃げてったけどな」

アゲハ
『へぇ………』

そうか、今日だったんだな。原作で最強チームが鳳仙花村に泊まるのは……

ふと顔を上げ、星空を目に写す。

アゲハ
『獅子座って…この時期に見れたかな?』




第70話 空に戻れない星




━Side レナ━


アゲハ兄と一緒に行った仕事の帰り、人気の観光スポットである鳳仙花村で一泊することになった。
さっそく露天風呂に向かうと、何故かエルザとルーシィがいた。どうやら二人も仕事帰りみたいだ。

……………二人ともスタイルよかった。私もあんな風になれるのかな…?自分の胸に手を当て、少し悲しい気分になった。

そんなこんなで二人とおしゃべりしながら温泉を満喫している時だった……

ルーシィ
「なんなのよ ロキの奴…」

レナ
「ロキがどうかしたの ルーシィ?」

ぽつりと呟いたルーシィの言葉が気になって質問する。

ルーシィ
「さっきね、偶然ロキに会ったんだけど…鍵のお礼を言おうと話しかけただけで逃げちゃったのよ。頭に来ない!?」

レナ
「そ、そうだね……」

ルーシィの迫力に少し押されながらもながら答える。

レナ
「……………………」

でも…やっぱりロキのルーシィに対する態度はおかしい。

レナ
「アゲハ兄なら…何か知ってるかな?」


━Side Out━



ナツ
「始めんぞ━━━━━っ!!!!」

ハッピー
「ぞー」

ナツが枕を持って大声で言った。

アゲハ
『何をだよ……』

レナ
「相変わらずいきなりだね」

ため息と共にナツの主語が抜けた開始宣言に二人でツッコむ。
さて、なぜナツたちの部屋にオレがいるかと言うと、風呂から上がってレナと合流した時にエルザに誘われたからだ。それで部屋で各々くつろいでいた時に先程のナツの台詞に戻る。

グレイ
「ったく何だよやかましいな、オレは眠いんだよ」

ナツ
「オイ!!見ろよ!!旅館だぞ旅館!!!旅館の夜っつったら枕殴りだろーが!!!」

アゲハ&グレイ
『「枕投げだよ」』

こいつの常識はどうなってんだ?まぁナツだから仕方ないけど。

エルザ
「ふふ……質のいい枕は私が全て押さえた。貴様等に勝ち目はないぞ」

ルーシィ
「質って……」

レナ
「枕に質とかあるの?」

エルザの奴もノリノリだな。つーか たかが枕なんだから質とか関係ないだろ。

ナツ
「オレはエルザに勝━━━━━━つ!!!!とう!!!」

エルザ
「甘い!!」

ナツが早速エルザに攻撃を仕掛けるがエルザは跳躍して枕を易々と交わした。そしてそのまま枕はグレイの顔面へ……

グレイ
「くべほっ!!!ナツてめェェ!!!」

ナツ
「ぐほっ」

怒ったグレイがナツに枕を投げ返す…

アゲハ
『てか何故脱ぐ』

浴衣をはだけさせながら。

エルザ
「やるな」

ナツ
「うおりゃ!!!」

グレイ
「おらぁ!!!」

レナ
「私もやるー!!!」

そんなこんなでどんどんヒートアップしていく枕殴り大会。ついでに言うとルーシィはすでにリタイアしている。ドンマイルーシィ、この大会は一般レベルの肉体じゃ無理だ。

ナツ
「お次はアゲハだ━━!!!食らえアゲハ!!」

ナツの投げた枕がオレに直撃……いや、通り抜けた。

ナツ
「何だ!?通り抜けた!!?」

アゲハ
『ふっ、残像だ』

ナツの後ろに回り込み、声をかける。

ナツ
「何!?」

アゲハ
『遅い!!!』

ナツ
「ぐはぁ!!!」

振り返ろうとするナツに枕を投げ返してやった。直撃したナツは吹っ飛んで押し入れに頭を突っ込んだ。

やべ、弁償かな……

エルザ
「さすがだアゲハ。次は私だ!!!」

今度はエルザが勝負を仕掛けてきた。ナツよりも数段スピードが速い枕がオレに襲いかかる。

アゲハ
『やはり速いな。だが甘い!!!』

またもオレの残像を枕が通りすぎる。

エルザ
「ふっ、その技はすでに見せてもらった。後ろだっ………何!!?」

後ろを振り返ったエルザの顔が驚愕に包まれる。

アゲハ
『ははは!!どうだ、これが多重残像拳だ!!!どれが本物かわかるかな?』

エルザの回りを取り囲むように十数人のオレの残像が現れる。エルザは手持ちの枕をいくつか投げ放つが当たらない。

アゲハ
『そろそろフィナーレだ。食らえ!!全方位枕ショット!!!』

全方位から枕(残像含む)がエルザに襲いかかる。

エルザ
「(くっ、全てかわしきるのは無理か)ならば!!秘技、畳返し!!」

アゲハ
『何だと!?』

エルザはとっさに畳を返して残像を全ての枕を防ぎ切った。

エルザ
「スキあり!!そこだ!!!」

畳返しに驚いたオレのスキをついてエルザが枕を投げ放つ。

ものすごいスピードで枕は顔面に直撃した……………………グレイのな。

エルザ
「なっ!!何故グレイに…!!?」

アゲハ
『変わり身の術だ!!これで終わりだエルザ!!』

背後をとったオレはエルザに止めを刺そうとする、が……

レナ
「えい!!!」

アゲハ
『え、は?うわぁ!!!』

レナの投げた紅い枕が横から襲いかかり、オレはさっきルーシィが吹き飛ばされたせいで破れた窓から場外に吹き飛ばされた。見ればレナの背中から紅い羽が生えている。

アゲハ
『“紅ノ天使【クレナイ】”使ったのかよ……』

枕が当たった頬を擦りながら立ち上がる。

アゲハ
『でも、まぁちょうどいいか』

部屋の中に目をやる。復活したナツとグレイも加わり、まだまだ終わりそうにない。

アゲハ
『ロキの様子でも見に行くとするか』

ロキの魔力を追ってオレは部屋を後にした。








ロキの魔力を追ってオレは酒処 超特急に来た。来る途中怒ったルーシィとすれ違ったから今はロキ一人だろう。店内に入ってロキに話し掛ける。

アゲハ
『よ、頬赤いぞ。修羅場か?』

ロキ
「アゲハ?何でここに…?」

オレがここにいる事に驚いた様子のロキが訊ねる。

アゲハ
『ん?そりゃまあ……酒呑みに?』

ロキ
「何で疑問系なんだい?それにアゲハ、君お酒弱かったでしょ。いつもカナに付き合わされては酔いつぶれて帰ってくるじゃないか」

アゲハ
『うっせー、冗談だよ。ほら、グラサン落ちてっぞ』

拾ったサングラスをロキに手渡して席に座る。

ロキ
「ああ…ありがとう」

アゲハ
『おう。あ、オッサン お茶プリーズ。それと何か茶菓子出して。一番高いやつでいいや。請求書は評議院でよろしく』

ロキ
「いやダメだよ!?何言ってるんだい!?」

お茶の請求先が評議院な事にロキがすぐさまツッコむが……

アゲハ
『いいんだよ。あのじいさん達オレには逆らえないから』

そう、しょっちゅう評議院からの厄介事の処理をしているせいか、評議院のお偉いさん達はオレのやることには多少目をつぶっているのだ。

ロキ
「そ、そうなんだ……やっぱり色々と規格外だよね、アゲハって」

アゲハ
『まぁな』

お茶を飲みながら返事を返す。ん、うめぇな……

アゲハ
『まぁ、冗談はこのくらいにして……どうしてオレがここにいるか、だけどな。お前と少し話がしたかったんだよ』

ロキ
「僕と?」

アゲハ
『ああ…』

湯飲みを置いてロキに目を向ける。

アゲハ
『お前……このまま死ぬつもりか?』

ロキ
「!!」

オレの言葉にロキの目が驚愕で見開かれる。

ロキ
「何の事だい?」

アゲハ
『とぼけんな。オレが気づかないとでも思ったか?お前の魔力は日に日に弱まっている。しかもその問題を解決しようともしていない』

ロキ
「…………その洞察力はさすがだね。恐れ入ったよ」

アゲハ
『ロキ……』

ロキ
「君はどこまで知ってるんだい?」

アゲハ
『全部。悪いと思ったけど調べさせてもらったよ。プライバシーに関わることだし誰にも言うつもりはないけどな』

ロキの事知ってるのは本当は原作知識だけどな。まぁ、時読の右手でも調べられたけど。

ロキ
「そうか」

アゲハ
『法が相手じゃさすがにオレも手出しできないし、お前が心の底から死にたがってるなら止めねぇよ』

ロキ
「アゲハ……」

アゲハ
『けどな……お前がいなくなったら悲しむやつは大勢いるんだぞ。ナツやグレイ、エルザにルーシィにレナも……………そしてオレもな。その事だけは忘れんなよ』

ぽん、とロキの肩を叩き、椅子から立ち上がる。

アゲハ
『んじゃ“またな”』

そしてオレは板前のオッサンにちゃんと請求書を評議院に送るよう指示して店を後にした。

アゲハ
『後は……ルーシィに任せるしかない、か』

今回はサポートに徹するしかないな、悔しいけど。

取り合えず旅館に戻るか。

アゲハ
『もう枕殴り大会終わってっかな?』






























































アゲハ
『え、何この状況……』

レナ
「あ、アゲハ兄!!おかえり!!」

アゲハ
『お、おう……ただいま』

帰ってきたオレにレナが声をかける。しかし生返事しかできなかった。何故なら……

アゲハ
『レナ以外全滅してやがる……』

オレの目の前にはナツ、グレイ、エルザがボロボロになって倒れていたからだ。ちなみにルーシィとハッピーもノックダウンしている。何故に!?

アゲハ
『レナ……お前もしかして…』

レナ
「うん!!枕投げ大会は私が優勝したよ!!」

アゲハ
『そ、そうか』

オレの中でレナ最強説が出来上がりつつある瞬間だった。











お☆ま☆け


アゲハがロキの元へ向かった数分後。

ナツ
「食らえエルザ!!」

エルザ
「当たるか!!」

ナツの投げた枕をエルザが避ける。その枕は一直線にレナに向かっていった。

グレイ
「!?くっ、くそったれ!!」

しかしとっさにグレイがレナをかばい、代わりに枕をもろに顔に食らった。

ナツ
「グレイ!?」

レナ
「グレイ!!大丈夫?しっかりして!!」

グレイ
「レ、レナ……ケガはしてねえな?」

レナ
「う、うん。大丈夫」

エルザ
「グレイ…何故レナを……」

グレイ
「ふっ、簡単な事だ。レナを傷つけてアゲハを怒らせるより代わりに枕を食らった方がまだマシだというだけだ」

ナツ
「あー確かに」

エルザ
「否定できんな」

グレイ
「だろ?これはもう迂闊にレナに攻撃することはできねぇぞ」

エルザ
「そうでなくてもまだ子供だしな。本気は出せん」

レナ
「? どういう事?」

「「「いや、こっちの話だ」」」

レナ
「? まぁいいけど。私も本気でいくよー!!“紅ノ天使【クレナイ】”!!!」

「「「げっ!!!」」」

レナ
「クリムゾン・ノヴァ(枕ver.)!!!」

「「「うわぁああああああああ」」」

こうしてナツたちはレナに攻撃することができず、枕殴り大会はレナの圧勝で幕を閉じたとさ。

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