小説『テンプレなオリ主モノ』
作者:アゲハ()

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「理想を抱いて溺死しろ」
―ごめん。
―私の所為なんでしょ?
―ごめん。もう、君と・・・
―続けないで!!嘘だと言って・・・!
―ごめん。でも、本当なんだ・・・
―約束は・・・?
―・・・君の為なんだ。
―言い訳しないいで!!
―もう、君には会わない・・・
―約束したじゃない!!ずっと一緒だって!!
―嘘だ。
―・・・なんで?
―知ってるだろ?オレは大嘘吐きだって。
―・・・何時も、何時もそうやって、私の為に・・・
―自分の為さ・・・
―他に何もいらない!!貴方だけが・・・
―それ以上先は、ダメだ!
―なんで、なんで何時も貴方だけが・・・
―・・・約束、守れなくて、ごめん。
―独りになっちゃうよ?だから、私と・・・
―君が独りじゃない。それだけで、十分だ・・・
―言い訳しないでよ!!
―幸せに。オレなんか忘れて、幸せになてください。
―待って!!
―オレが、出来なかったから・・・。その分、其奴等と幸せになってくれ。
―行かないで!!
―ごめん。オレなんかで。でも、君は、皆と一緒に笑っていてくれ。
―貴方がいないのに!!
―もっと、早く決断すべきだった・・・
―違う!!ずっと、一緒にいて欲しいだけだから!!
―でも、それが、君の幸せに繋がるはずだから・・・
―違う!!私は・・・!!
―――さようなら。幸せに。そして、ごめんなさい。

・・・風の中で、何かを聞いた。俺/オレが、誰か/彼女を突き放した・・・。守れなかった、のだろう・・・。結局、化物は何も守れないのか・・・。もう、思い出すこともできない。でも、この想いはある。俺が、オレだった頃の思い出。神様は俺の、オレの思い出を何故、封じたのだろ?最近は、徐々に思い出が蘇ってきている。忘れられない、大切だったことが・・・。
感傷に
浸っている場合ではない。刹那達が危ないんだ。助けなきゃならねぇ。オレが、俺に託した思い出を杖に。俺が、オレだった頃に守れなかったことを糧に。成れ果てた意味を、台無しにはさせない。
さぁ、戦おう、闘おう。大切なモノの為に。何、多少の事なら耐えられる。

―――そう。この体は、硬い剣で出来ている。

彼と、同じ体だ。剣以外何物でもない。俺は道具で、オレも道具だ。アイツ等に降り掛かる、全ての災厄を薙ぎ払う、剣だ。
俺が、やれることなんて、それだけだ・・・。それでも、俺のような狂った化物の願いは、叶うのだろうか・・・?前は、守れなかった。でも、今回は、否、今回こそは守ってみせよう。誓おう、誰か/彼女にに。守ると。守れなかった、あの人/あの子に・・・。ほかの誰でもない、俺/オレ自身が・・・。
さぁ、守るべき者の為、闘おう。戦おう。死に物狂いで、必死に。

―――必ず死ぬ為に・・・。

不死身の化物は、狂ったように人を守る。人の為の化物。故に偽物。敵は排除。障害は破壊。殺せ、潰せ、壊せ、除け。全てを退けて、守り抜け。守護しろ。誰かの為に、剣と成れ。剣と化せ。人ではない。化物であり、剣の俺は、人ではない。剣であり化物だ。誰かの真似事。理想の体現。偽物で贋作、真作ではない。所詮借り物のチカラで、借り物の生命だ。そして最後に、

―――人知られず死のう。

その為には先ず、
「・・・守らなくてはならない!!」
間に合えよ。叶わぬ願いだろうと、無視して望む。叶える。成就させる。その為の力だ。能力だ。暴力だ。力尽くでも、叶えてやるさ。

風が吹き荒れる。
此処は・・・
「映画村・・・?」
原作通りだな・・・。
「取り敢えず、刹那捜すか・・・」
―広域探索、開始。
―位置特定、完了。
―有線トランス、発動。
(刹那。聞こえるか?)
(え?衛宮先生?)
(念話みたいなもんさね。今どんな状況?)
大体は把握しているが聞いておこう。俺がいるだけで展開が読めんからな・・・。
(・・・つまり、神鳴流の女剣士に襲われた、かぁ・・・)
(ハイ。それで・・・)
ここまでは、原作通り。しかし、
(あの白髪坊主が此処に居るかもしれない)
(本当ですか!?)
(すまん。取り逃がしてな・・・)
結果が全て。それが現実だ。原作でもいたが、最悪3‐A全員を巻き込みそうだ・・・。
(だが、手傷は負わせた。次は殺すよ)
(先生、それで・・・)
(お前はこのかと共に剣士の迎撃だ。俺が白髪を叩く)
原作ではネギが来るところだが、彼奴はダウンだ。ここはこのかを守る為にも、アーウェルンクスを叩くのが上策だな・・・。
さて、策は決まった。
(作戦はお前は要にして囮だ。剣士達がお前に集中している間に俺が白髪を叩く。生徒をこんな目合わせるなんて、教師失格だな・・・)
本当に、失格だ。守りたい者の為に、守りたい者を囮に使う。矛盾してるよ・・・。
(いえ、先生は・・・)
(いや、非は此方にあるよ。すまんな。俺が不甲斐無いばかりで・・・)
(でしたら、頑張ってください!!)
(了解した。そちらも精々派手にやってくれよ。刹那)
さぁ、戦おう、闘おう。大切な大事な生徒の為に・・・。


―広域探索、開始。
―類似魔力、検索中。
―戦闘、確認。
刹那か・・・。頑張れよ。
―魔力反応、察知。
!?
―魔力、検証中。
―検証、完了。
―分新型式神と判断。
―ネギ・スプリングフィールドによるものと断定。
―使い魔反応共に確認。
無茶しやがる・・・。だが、その根性は褒めてやる。
―有線トランス、発動。
(ネギ、聞こえるか?)
(衛宮先生!?)
(旦那!?)
(念話みたいなもんだ。単刀直入に言うぞ。俺は白髪坊主を叩くから、刹那の援護に迎え)
(ハイ!!)
(了解だぜ、旦那!!)
(式神なんだから、あまり無茶すんなよ)
さぁて、探索探索ゥ!
―探索、開始。
・・・・・・・
・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・

見つけた!!
魔力を隠蔽していたのか?めっちゃ苦労したよ・・・。
城の中か・・・。ネギは来ていない。
さて、
―プログラム、構築。
―テレポート、開始。
行くぜ?

―投影開始。
気配を殺し、奴の背後に接近する。
手元には干将莫耶を投影し、
斬る!!
「フッ」
外したか・・・。
「外したか。殺気を抑えきれなかった俺の落ち度か、咄嗟に反応したお前の機転か。まぁ、どちらでも構わないが」
しかし、完全には躱しきれなかった様だ。左肩から出血している。・・・俺の天墜が効いているようだな・・・。
「ハァ、ハァ、来ると思っていたよ・・・」
予想されている、かぁ。フン、中々人間めいてきたな、人形。
「今、此処には僕と君しかいない。君には提案があってね」
提案だと・・・?その発想はなかった。しかし、『完全なる世界』が俺に話ねぇ。碌な話題じゃないんだろうな・・・。

「単刀直入に言うよ。僕達と手を組んで世界を救おう」

ゑ?
「わんもあぷりーず」
「僕達と手を組んで世界を救おう」
ゑ?フェイトさん、ご乱心でござる・・・。
「世界中の人々に救いを与えるのが、僕たちの使命だ」
ゑ?何でそんな必死に布教する・・・。世界なんて興味ないんですが・・・。いやむしろ、倒せよ!俺を!!もっと熱くなれよ!!殿がご乱心です!!敵は本能寺だぜ!!coolになるんだ衛宮四季!!ぐにゃり。
「落ち着け俺!!Be coolだ!!落ち着け、落ち着け、餅つけ!!ぺったんぺったんつるぺったn」
言い切る前にフェイト君の拳が炸裂!!
「・・・落ち着いたかい?」
「サンクス。落ち着いた・・・」
理解はできないが・・・。
「答えを聞こう」
マジで言ってんの?此奴・・・。救いようがねぇだろ、これは。

世界を救う。誰もが笑ってくれる世界。理想の世界。誰も傷つかない世界。幻想の世界。
馬鹿げている。叶わない。気付けよ。人間が背負えるものではないし。人間が願ってもいいものでもないし。望むだけでしかない。

でも。
それが。
それでも。
彼が願う想いで。
彼が抱いてる幻想で。
彼が守っている理想で。
彼等が持つ思想だ。

―――俺如き低俗な化物が、否定していいようなモノじゃない。

歪んではいるけれど。
歪ではいるけれど。
歪んでもいるが。
それは。
何よりも尊く。
誰もが思い描く。
綺麗な、理想だ。
眩し過ぎて。
星に手を伸ばす感覚。

―――叶わないと知ってなお、願い続ける。

止めなくては。
理想で人が溺れている。
理想を振りかざして、人が死ぬ。
理想の為に、人が死ぬ。

―――誰も死なないでという、願いなのに。

誰かを殺してでも、理想を果たす。
否、殺さなくては理想に近づけない。
何度も、何度も何度もそれ繰り返す。
それが。

―――それが、決して届かないと知ってなお・・・。

そして、もがき苦しみ。
人は理想に溺れ、溺死する。
決して、人間が背負いきれるモノではない。
背負っていいモノでもないのに。
夢を、見てしまう。
叶わない夢を。
人間は、愚かで。
人間は、救いようがなくて。
人間は、繰り返すから。

―――夢を見てしまう。
見てはいけないのに。
―――俺は弱いから・・・。
夢を、見てしまう・・・。
―――化物は、弱いから。
成れの果てだから。
人間だった、オレは。
もういない。
―――止めなきゃ。
もう、自分勝手な理想で人が死ぬのは、嫌だから。

―――化物の俺でも、それくらい望んでいいはずだ。

「答えは、否だ」
俺が、止めるんだ。
「その理想は、間違っている」
言わなきゃならない。
「そんな間違った理想を抱いてしか、生きられないのであれば、」
かつて、理想に生きた俺が。

「―――理想を抱いて溺死しろ!!」

止めなくてはならないんだ!!

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ここまで読んでいただき、誠に有難うございます。
どうも、作者のアゲハです。
更新が遅れて誠に申し訳ございません。
リアルの学生生活が忙しくて・・・(泣)
そして、今回の題名と台詞は・・・。
すいません。調子に乗りすぎました。
反省はしているが、後悔はしていない!!

これからも頑張っていくので応援宜しくお願いします!!
誤字脱字や感想なども待っていますので、ドシドシ来てください。
それでは、また次回!!

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