小説『テンプレなオリ主モノ』
作者:アゲハ()

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「零崎を始めよう」

「先生、私と仮契約してください!!」
「うん、無理。俺職無くしちゃうから!!」
 何度目だろう。この会話のやり取りは。結界を貼ってからだから・・・。二十回くらい?
「何度も言ったが俺の職を取る気か?俺をそこの人間失格と一緒にするなや」
「人間・・・失格・・・」
 おぉう。ネギ君がみごとなorzをしてるがな。
「ハァ、まぁ俺が囮になるから三人はこのかんとこ行っといて」
―結界侵食
―結界解除術式行使
―転移結界展開
―座標軸設定
「あぁ因みに言っとくが、気と魔力は相反する力だから混ざっても消えるだけだぞ?まぁ気と魔力を合成して相乗効果持たすもんあるんだけど、すぐは出来ねーから気で戦ったほうがいいぞー」
「先生それっって」
「応さ。詳しくはタカミチにでも聞けや。模擬戦ん時何時も使ってんぜ?」
 釘打ったし、それでは殺りますか。
「さって、今から殺しの宴を始めるんだ。決め台詞位、言っていいよな?」
「はい?」
―転送
―結界解除完了
―投影開始
―投影完了
 手に持つのは鋏。しかし唯の鋏ではない。それは犬に向けるモノでもないし、命を終わらせる鋏でもない。両刃で大きな鋏。(自殺志願)(二十人目の地獄)と名を馳せた変態が使用し、(自殺志願)と呼ばれる大鋏。

「それでは―――零崎を始めよう」

 虐殺の宴だ。化物と百鬼夜行との戦いだ。ソレナリの武器くらい使わせて貰うぜ。
―転送完了
―拘束術式解放中
―死の河、限定解放
 鋏を手に百鬼夜行を相手取る化物。うん、シュール過ぎてもう何も言えない・・・。
「さってっと、それでは皆さん。殺してバラして並べて揃えて―――晒してやんよ!!」
もう何も怖くない。俺が、俺がガンダムだ!!さて巫山戯ないで真面にしよう。自殺志願を分解し、片手サイズにする。やったね!!これで二刀流だよ!!
―敵三方向からの攻撃察知
―魔法式構築
―広範囲型中級魔法
―火炎属性を付加
―展開
 放て。
「見ろ!!妖が塵芥の様だ!!焼き払え!!」
 これが火の七日間か!?冗談は置いといて、うひゃーまだまだいるよー。わーいっぱいいるなー、ぼくびっくりだわー。
「はぁ、面倒だ。至極面倒だ」
 そう言って迂闊にも近づいてきた哀れな妖怪さんの命を刈り取る。
―炎熱魔法式構築
―投影開始
―電撃魔術式構築
―選択完了
―魔法陣展開
―工程完了
―魔術式構築完了
―全投影待機
―炎熱魔法発動
―電撃魔術発動
―停止解凍、全投影連続層写

 蹂躙。

 今の戦況を表すなら蹂躙という言葉が一番だろうか?虚空から剣や槍や斧等の武器が出現し妖怪を殲滅する。魔法と魔術が展開され電撃と火炎の嵐が吹き荒れる。
 武器の雨と魔法と魔術の嵐を抜ければ俺が直々に殺す。これが蹂躙?あれが蹂躙?否、人外には暴力を振るうしかない。つまりは蹂躙ではない。ならばあれはなんだ?アンサー、淘汰だ。妖怪など必要無い。必要ないものは消えればいい。消せばいい。
「消えろ、目障りだ」
 そう言って最後の妖怪を殺す。
 あぁ、こいつらを見ていると自分が連想される。俺は必要無い?それとも必要?
「今は必要だ。そう思いたい」
 俺に自己があるのは使命に縋っているからだ。あの娘達を守るという使命でごまかしているに過ぎない。神に転生させられて時は憶えていなかったし、今も思い出すことは出来ていない。でも、俺の記憶が戻った時は俺が死ぬ時だろう。そんな予感がする。
「予感かぁ。未来予知ができる俺が言ったら確信だろうがな」
 寧ろ予知だな。つーか予知だ。感じるのと知ってるのでは違いがありすぎる。
「まぁいいさ。其処にいるんだろ?」
 誰か、何て言わないさ。
「ホンマに何者ですか?ウチの気配は消してたはず・・・」
 あぁ、でも、魔法で探索すりゃ気配なんて関係ない。生命反応を探索してるんだ。どれだけ気で隠蔽しようと、其処にいるのは変わらない。
「ふん、その程度の気配遮断で俺から逃れられると思っていたのか?冗談は程々にしとけよ、嬢ちゃん」
―投影破棄
―投影開始

「んーじゃま、かるーく零崎を始めるちゃ」

 投影したのは釘バット。しかし唯の釘バットではない。バットは中身まで鉛で出来ているのだから。釘とバットは完全に一体化していて、その全てが鉛で出来ている。その名も、
(愚神礼讃)
 言うと同時、月詠に向けスイング。
「おおぉう!?!?」
 流石の月詠ちゃんもこれは避けるらしい。解せぬ。どこぞの鉄仮面メイドを見習え!!月詠ちゃんのメイド服姿に乾杯!!寧ろ完敗?今は困憊。
「おい、なんで避けたんだ!?」
「避けんと死ぬやろ、今のは!?」
「はぁ、気で強化してるだろ?その程度で死んだら興醒めだぜ、戦闘狂さんよぉ」
 それにまだ全開でも全力でもない。第零号を解放していないからな。まぁ解放したらしたで京都が大変だから自重しよう。精々第一号のオリジナル術式程度だ。それ以上は出したら京都が滅ぶ。ワーオレッテチートダワー。
「うち、今日で死ぬかもしれへん」
「おいおい、おいおいおい、お前って戦闘狂だろ?そうなんだろ?血肉が滾って滾って仕方がないんだろ?だって、お前―――笑ってるぜ?」
 そうだ。あいつ、まるで恋する乙女の様な笑顔だ。俺が(愚神礼讃)を持つ前からずっと笑顔を絶やさない。笑うことしか出来ない?まぁいいか。どうせ死ぬんだし。
「うふふふふ。ウチ、今日は幸せな日やわー。先輩相手に出来へんかと思ったら、こんな大物が相手してくれるなんて」
「ククッ、俺が大物ねぇ。俺は小物さ。小心者でもあるがねぇ。さて、それでは仕切り直しだ。
 それじゃまぁ、零崎を―――始めようか」
「キャー」
 かくして小太刀二刀と鉛釘バットとの対決は始まる。戦闘狂と怪物、人斬りと化物の大勝負。どちらが勝つのやら。

「オラァ!!」
 (愚神礼讃)を振るう。しかし小太刀を使い、受け流す。ふん、重量で負けているから受け止めるのではなく、受け流したか。つくづく才能って残酷だよなぁ。これで何回打ち合ってんだ?俺ら。
「ざーんがんけーん」
 斯く言う俺は(愚神礼讃)で受ける。この程度の攻撃、魔力で強化してある(愚神礼讃)には効かんわ!!しかし、埒があかねぇ。もう呪殺するか。右手を前に出し、
「稲死光」
 ノーモーションで式を構築し、放つ。それがこの魔法の利点である。真言法で放たれる「稲死光」は構えただけで式が作られる。しかも威力は精霊の並べ替え次第でまだupするぜ?マジ便利。ただし式が複雑過ぎて弄れない。リューラさんマジ魔神。
「らいめーけん」
 防ぐだろうな、そりゃ。だが、相殺の際の爆発を利用する。
「アブラ・ガダブラ」
 分身の魔法を発動し、
「求めるは交差のエイロート・クノム・ペスラ>>>・腐吠肉朱(ふはい)」
 呪いを掛ける。これで終わりだ。煙晴れた瞬間に赤い光が月詠の胸に当たる。そして!!

「改良型イヤッホ!!」

 説明しよう!!『イヤッホ』とは絶対防御魔法だ。魔法物理問わず完全に攻撃を防ぎ侵入も解呪も出来ない魔法だ。しかし半円形のシェルターなので下から簡単に入れるという欠点があった。しかし、俺の手に掛かって改良された!!完全な円形ドームとなり、空気中の魔力を吸収し反永久的に発動し続け、リアルタイム更新で解除キーが変動し続ける。そんな素敵仕様な魔法なのだ!!この魔法の欠点を上げるなら誰にも解呪出来ないのが欠点。完全魔法無効化能力でも無効化は出来ない。無効化した瞬間に吸収し構築し出すからな。発動したら最後解呪の出来ない欠陥魔法となったのだ!!ぶちゃっけこの為に分身の魔法を発動した!!
 そんな魔法で分身と月詠を閉じ込める。これでお終い。バイバイ、さようなら。
「これで確実に死んだな。それにしてもすげーな、お前。まだ意識あんのかよ」
 原作じゃフェリスさんですら気絶したのに。まぁ時間差だったけどな。
「ハァ、ハァ、あんさん、ウチに何を!?」
「俺は悪い魔法遣いなのさ、お嬢ちゃんに呪いを掛けたんだ。およそ45時間後に全身が腐り落ちて死んでしまう魔法さ。そしてそれは隔離シェルター。その魔法は改造したとは言えど、元は感染型魔法。つまり感染の危険があるから閉じ込めさせて貰ったよ。因みに俺しか解呪出来ねぇからな。それでは良い夢を」

 魔法の帽子を出現させ、ダイヤを右に回す。
「刹那達の所へ」
 俺は飛んだ。


「俺のいない間にパーチーを盛り上げんなよ。主役は俺だぜ?」
 不敵に素敵に俺は笑う。なんせ、俺の独壇場だからなぁ。
「「「「先生/旦那!!」」」」
「貴方は・・・。そう言えば、月詠さんは?」
「殺したぜ?いや、呪いを掛けて、呪殺寸前。解呪法は俺しか知らん。助けたかったら俺の血を貰う事だな。そうすりゃ解呪出来るぜ?」
 まぁ『改良型イヤッホ』をどうにかしなきゃならんがな。
「タイムリミットは約五時間。さぁ、俺を殺してみろ!!」
「台詞が完全に悪役ね」
「「「うんうん」」」
 え?なんで?
「おいおい、お前等、俺は敵さんを殲滅して尚且つ中ボスを呪殺したんだぜ?しかも俺を倒さなきゃ解呪出来ん呪いで。これは立派な働きだ。正義の味方(笑)の行いだぜ?」
「そもそも呪殺がおかしいのよ!!てゆーか殺すな!!」
「安全かつ確実な方法だ。いや、安全ではないがな。まぁ確実だ。それに将来お前等を傷付けるかもしれん相手を放置出来るほど、俺は甘くもないし優しくもない」
「なんで安全じゃないんですか?」
 おいおい、まずそこかよ。チビッコ魔法教師。そりゃ
「だって感染型の呪いだぜ?因みに感染しら最後、解呪は不可能。小さな街なら一瞬で壊滅出来るレベルだ。四十五時間。あいつは苦しみながら死んでいく。感染させたくなけりゃ、あいつを焼き殺す意外手段はねぇよ。ハッハッハ」
 みんなドン引きだった。しかもフェイト君まで。
「まぁ、半永久型理論上解呪不可能シェルターに閉じ込めてるからな。大丈夫だ。俺も一応改造したし」
「貴方は、残酷な方法を取るんだね」
「あぁ。目的の為なら手段は選ばん。確実で絶対的な手段があるなら残酷だろうと冷酷だろうと残虐だろうとそれを取る。それが弱者である俺の決意さ」
 それを聞いた瞬間、刹那達から暗い感じの空気が出てきた。
「俺は俺自身の思いでやっただけだ。気にすんな」
「それは強者の傲慢であり覚悟だよ」
「違うね。俺の様な哀れな化物は、心の弱い敗者さ。生まれついての敗北者だ。人間でいることの出来なかった、弱くて弱い屑野郎だ」
 そうだ。俺は手段を選ばない。守る為なら、自分が汚れようと穢れようと構うもんか。誰かの為じゃない。俺自身のエゴで、俺自身の思いで――殺す。情け容赦なく、一心不乱に躊躇なく殺せる。故にヒトではなく化物、ヒトではなく剣に俺は成ったんだ。
―敵、五時の方向から接近
―放出系の技を確認
―投影開始
―投影完了
 投影したのは聖騎士ミランが影の王から奪った指輪。影を操る『忘却欠片』。
「闇よ、有れ」
 影狼を出現させ、迎撃する。なんだ、小太郎か。
「求めるは殲虹の転真>>>・光狗憐」
 放たれるのは7つの光。それが一斉に小太郎を襲う。
「オラァ!!」
 ふーん。防げるんだ。ネギより少し上か。っと!?危ねぇ!!
「いきなり攻撃いくない!!」
「戦場での不意打ちは普通だよ」
 あっそ。
「稲死光」
「!?」
 避けるねぇ。
「ネギはその黒髪少年、刹那とアスナはこのか、いいな!!」
「オレッチを忘れてるぜ旦那!!」
 この際無視だ。スルーだ。カモは犠牲になったのだ。俺は君のことを三分くらいは忘れない。
「さて、屑野郎。スクラップの時間だぜ!!」
 (愚神礼讃)を構える。左腕の無い彼奴なら(愚神礼讃)で十分だろ。てか、
「おいおい、その後ろは何だよ?」
「冥府の石柱さ」
 ゑ?でも数は五十はあるよ?
「M☆A☆S☆A☆K☆A」
 放つんですね?わかります。
 迫り来る巨大な石柱。それを俺は、
「ウラァァァアアアァアアアァアアぁ!!」
 片っ端から打ち返してやるよ!!
「やはり、貴方は強い!!」
「なら諦めて死ね!!そんで地獄で詫び続けろ!!」
 またも石柱上での戦闘。フェイトが杭を放ち、俺がそれを叩き壊す。指をコッチに向けた?ビームか!!
「石化の邪眼!!」
「効かねぇよ!!ザケルガ!!」
 直進する雷光と石化のビームがぶつかり合う。その瞬間に、
「オッラァ!!」
 死角の左側からのフルスイング!!しかし、
「水の瞬間移動か!!」
―魔力反応察知
「石の槍!!」
 左手で破壊!!でも、
「おいおい、石化の概念付与かよ!!」
 遅延で仕込んでおいたか、破壊されたら発動するかのどっちかか!!だが!!
「甘い!!」
 そういって俺は右腕で左腕を千切る。
「何!?」
 再生しますが何か?
「化物め!!」
「黙れ人形!!」
 力任せに(愚神礼讃)を振るう。
「クッ!!?」
 そして吹っ飛ばす!!
「ラストッ!!」
 真上からの振り下ろし。
「ック!?」
 石化ビームで俺の(愚神礼讃)を石化しやがった!!
「まだまだぁ!!」
 使い物にならん(愚神礼讃)を捨て、干将莫耶を投影。
―投影完了
「行くぜェェ!!」
 対する向こうは砂塵の刃。相性最悪だねぇ。
―砂塵対策
―魔法陣展開
「求めるは水雲>>>・崩雨!!」
 切り込む!!
「僕は呪殺しないのかい?」
「てめーの曼荼羅みてーな防御壁が邪魔なんだよ!!」
 マジで邪魔!!!雲散霧消も爆裂も呪いも通らねぇ!!エヴァみたく時間がねぇから対策術式を編んでねぇんだよ!!
「これも捨てたも物ではないだろう?」
「マジうぜぇ!!ブチ殺して愉快なオブジェにしてやんよ!!理想を抱いて溺死しな!!」
「相変わらず、その台詞ばかりだ!!」
「気に入っているん、でね!!」
「なら!!貴方こそ、溺死しろ!!」
「もうしたんだよ!!ここにいること自体が奇跡なんだ!!俺の様になるな!!一緒に、やり直そう」
 手を差し出す。
「俺は、もう間違いを犯したんだ。間違いは消えない。犯した罪も消えない。けど、やり直せるんだ!!お前も、一緒だ。だから、やり直そう。償っていけるんだ。それがどんなに辛くて苛酷で惨めで孤独で恨まれても!!ヒトになら、出来るんだよ!!」
「それでも!!これが世界を救う事になる!!」
「第一、そんな世界は誰にだって救えねぇんだ!!!ヒトが救えるモノなんて何もねぇ!!それでもヒトの世界は、ヒトの夢は終わらねぇ!!」
 間違いでもいい。過ちでもいい。ただ、目の前のヒトを救いたいんだ!!他ならぬ、俺の手で!!理想に生きるなんて辛すぎる。理想に死ぬなんて悲しすぎる。
「貴方は!!人形相手に何を言ってる!!」
「てめーの意思で動く奴を、人形なんて言えねェよ!!今動いて、話しているのは他ならない『フェイト』だろ!?」
「それでも、僕はそれしかないんだ!!」
「このわからず屋の頑固野郎!!」
 昔の自分を思い出す。もう記憶が霞んで、オレじゃなくても。それでも、理想に生きて多くを殺したオレは消えない。俺になっても消えない!!でも、例え化物になっても!!やり直すことが出来る!!俺は、誰かの為に生きることがそうだと思った!!それでもそのせいにせず、自分のやりたいようにやる!!エゴでもし続けてやる!!
「世界を救う事なんて出来ねぇよ!!ヒト一人救えねぇ奴が!!世界を救うなんて口走るな!!」
「貴方の様な人殺しの化物に!!」
「化物でもいい!!自分のエゴを守るためならなんだってしてやるよ!!」
「なら!!」
「てめーは自分の意思じゃなく、他人の意思で動いてるじゃねーか!!誰かの為とか言って言い訳してんじゃねぇよ!!他人じゃなく自分に!!正直に生きろ!!」

 瞬間。
 世界に鬼が解放された。



 明けましておめでとうございます。作者のアゲハです。
 年明けまでに更新したかったんですが、バイトで。あとオリジナル小説にも行き詰まって書けませんでした。すみません。
 今年も精一杯書きますので、よろしくお願いします。

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