小説『ひまわりの笑顔』
作者:櫻井音羽(音羽.Com)

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隆史さんの額に青筋が立ったのがわかった。

「今みたいにお前がぼーっとしてるから、大和がああいう風に育つんだろう?!」

大和というのは息子である。

15歳の今頃から髪を染めだしてピアスをつけたと思ったら、たちまち不良に大変身。

そして、学校にも行かなくなった。

入試は無理矢理受けさせたが、失敗。

今は浪人生である。

でも大和は人生という道を迂回(うかい)しているだけで、道を踏み外しているわけじゃない・・・と思う。

受験失敗して、不良になっただけじゃないの。

大和には変わりない。


「どうしてそういう事言うの?あなたはいつも学歴で人を見下すのねっ。大和の本当の姿を見ようとしない」

隆史さんの顔を見て後悔した。

どうしてそんな悲しそうな顔をするの・・・?

横にいた姑は、しわの目立つ顔を真っ赤にして怒っている。

・・・まずい。

怒らせたか。


「真知子さん!その言い方はひどいんじゃありません?!隆史が東大を出ているからといって
人を見下すなんて、そんな・・・」

姑の言葉は、もっと続きそうになったが予想外の扉を開ける音でスピーカーのような口は閉ざされた。

顔をのぞかせたのは、友達の家から昼帰りしてきた大和だった。


「おかん、飯」

外国人の片言のような単語をあわせた大和の言葉。

「昨日のカレーが鍋の中にあるから、温めて食べて」

――聞かれただろうか・・・?

こんな喧嘩をするために結婚したわけじゃないのにな。

ひまわりはまだ泣いている。

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