小説『ひまわりの笑顔』
作者:櫻井音羽(音羽.Com)

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―「お前がぼーっとしてるから、大和がああいう風に育つんだろう?!」

なんであんな事を言ってしまったんだろう?

あの後、ごめんも言えなかった。

窓を眺めていた真知子は何を見ていたのだろう?

何を感じていたんだろう?

悲しげな顔。

何を考えていたのだろう?

こっている肩にのしかかる鉛より重い罪悪感。

「パパ、遊んで〜」

いつの間に書斎にはいってきたのか、百花が僕の顔を覗き込んだ。

「パパはしんどいから、あとでね」

そう言うと、百花は悲しそうな顔をした。

一瞬、さっきの真知子と重なる。

そういえば、存在感のある二重や形の良い紅色の唇があいつに似てきたな。

「パパはいーっつもそればっかだね。あとでっていっても、その『あとで』はエイエンにないの」

うっ・・・。

口が達者なところも似てる。

でも、たしかにそうかも知れない。

大和とは小さい頃、キャッチボールを時々したけど、百花とはほとんど遊んであげていない。

―といっても、一般家庭では父娘はどうやって遊ぶのだっ?!

人形遊びや読み聞かせは、父より母がしたほうがいいのではないか。

そう思うと二の足を踏んでしまう。

「パパ、ヘタクソ」なんて百花に思われたくない。

どうして僕はいつもそうなんだろう?

会社でも家でも外見は繕(つくろ)っているけど、中身は自尊心が傷つくのを恐れている。

もっと・・・素直に。

ありのままの僕をさらけ出したいのに。



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