小説『ひまわりの笑顔』
作者:櫻井音羽(音羽.Com)

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疲れた・・・。

私はあれから布団にもぐりこんで考えていた。
 
何処か遠くへ行ってしまえたらいいのに。

外国に行って人の関わりを断つことができたら少しは楽になるのだろうか?

「ママご飯は?お腹すいたぁ」

百花が布団の上から、私の腰らへんを軽く叩く。

「もうそんな時間?」

「とっくに七時過ぎてるよ。モモ、お腹ペッコペコ」

モモが自分のお腹をさすって見せる。

「パパと一緒に外に食べてらっしゃい」

「ママもいこーよ」

「ママはいいよ」

「お腹すかない?」

「大丈夫」

百花はまだ納得行かないのか、不満げに少し頬を膨らませる。

「あ、そうだ!ねぇね」

「ん?」

「モモ、絵描いたの!持ってくるね」

百花はさっきと打って変わって笑顔でどこかへいって、また戻ってきた。

「じゃあん」

画用紙にクレパスで描いた絵だった。

私と隆史さん、翔と百花が晴れた空の下、笑顔で手を繋いでいる。

その脇には笑っているひまわりが、鮮やかな黄色で描かれている。

「上手だねぇ、なんでひまわり描いたの?」

「あのねぇ、メリーのご飯ってひまわりの種でしょ?それうめたら花がさくかなって」

満面の笑みで答える百花。

メリーとはうちで飼っているハムスターのことだ。

クリスマスプレゼントとして百花にあげた。

メリークリスマスの「メリー」である。

短絡的だとはおもうが百花はそのハムスターも名前も気に入ってくれている。

いつかこんな日が来るといいな・・・。

しみじみそう思った。

「ママ、なんで泣いてるの?」

気がつくと、私の目から大粒の涙が零(こぼ)れ落ちていた。

慌てて、手で拭う。

「な、なんでもないよ」

「真知子」

扉の方から隆史さんの声が聞こえた。

「外へ食べに行かないか?」

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