病室をでると大和が朝ご飯のプレートを持って歩いていた。
目の下にくまができている。
夜更かししたんだろうか。
いつものことだが。
「大和!大丈夫?!」
私が大和に駆け寄ってプレートを持っている手を握ると、大和は私を睨(にら)みつけた。
「おふくろみたいなことすんなっ。オヤジ」
オヤジ?!!
「私は・・・」
「持ってきたからコレ食べろよ。俺は百花とおふくろんとこに行く」
そう言って、大和は質素な病院食を渡した。
オヤジ?
どういう意味?
おふくろのところに行くってそれ私よ?
どういうことなの?
漫画だったら多分私の頭の周りに?がいくつも浮かんでいただろう。
「ちょっと、待って。私も――」
我に返ると大和はもう声の届かないところにいた。
「親子愛ですよね―」
バーコードのオジサンが生温かく食事している私に向かってほほえむ。
いつまでいるんだ、このオジサンは。
「はい?」
「息子さん、藤原さんのために泊まってまで、看病してくれてたんですよ。時々様子見に来るときに、いつも起きているから寝たらどう?っていっても首を振ってね」
「え・・・?」
だからくまが出来てたのか・・・。
胸からなにか熱いものが込みあげた。