小説『ひまわりの笑顔』
作者:櫻井音羽(音羽.Com)

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病室をでると大和が朝ご飯のプレートを持って歩いていた。

目の下にくまができている。

夜更かししたんだろうか。

いつものことだが。

「大和!大丈夫?!」

私が大和に駆け寄ってプレートを持っている手を握ると、大和は私を睨(にら)みつけた。

「おふくろみたいなことすんなっ。オヤジ」

オヤジ?!!

「私は・・・」

「持ってきたからコレ食べろよ。俺は百花とおふくろんとこに行く」

そう言って、大和は質素な病院食を渡した。

オヤジ?

どういう意味?

おふくろのところに行くってそれ私よ?

どういうことなの?

漫画だったら多分私の頭の周りに?がいくつも浮かんでいただろう。

「ちょっと、待って。私も――」

我に返ると大和はもう声の届かないところにいた。





「親子愛ですよね―」

バーコードのオジサンが生温かく食事している私に向かってほほえむ。

いつまでいるんだ、このオジサンは。

「はい?」

「息子さん、藤原さんのために泊まってまで、看病してくれてたんですよ。時々様子見に来るときに、いつも起きているから寝たらどう?っていっても首を振ってね」

「え・・・?」

だからくまが出来てたのか・・・。

胸からなにか熱いものが込みあげた。


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