小説『僕は勇者ではなく騎士だ』
作者:餓鬼()

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「行く」

 気配を殺しながら周りの竹に姿を隠しながら近づいて斬る。

「はぁ」

 斬りかかるが簡単に防がれる。

「また違う剣技でござるか」

 木刀を薙ぎ払い僕は後ろにさがる。

「まだいく」

 素早く移動して相手の後ろをとったが

「速いでござるが」

 この攻撃も防がれる。

「これもか」

 すぐさま後ろに下がって構え直す。

「はぁ」

 息を吐いて相手を見直す。

「どうするか」

 考えすぐにかける。

「はぁ」

 木刀を振るが防がれるが

「ここまでは」

 予想していた

 後ろの竹に飛びそれを台にして脚力を上げる。

「それでくるでござるか」

「貴方に防がれるならスピードを上げて攻撃力を上げる」

 防がれるが先ほどより威力が上がっているから。

「ぬっ」

 少し、後ろにさがる。

「まだだ」

 後ろにさがった所を狙って攻撃する。

「そこまででござるよ」

 木刀を飛ばされて終わった。

「ふぅ」

「お腹も減ったでござるからお昼にするでござるか」

 里に戻り昼食をとっているときお館様が

「先ほどの剣技はいつもと違ったでござるね」

「分かりますか」

 麺類ポイ物を食べながら話す。

「分かるでござるよ木刀でもなんのためにふるっているのかが伝わるでござるから」

「すみません」

 謝りながら話を続ける。

「いいでござるよこちらも本気を出していたでござるから」

 そうでしたか

「だが、剣から色々な物が伝わったでござるよ」

「少し話をするでござろうか」

「話ですか」

「そこまで勝つことにこだわっている理由でござるよ」

 そこまで分かっていましたか。

「そうですねダルキアンさんだけに言いますよ」

 一言置いて

「僕がここまでこだわった理由」

「僕の先祖は地球では武士って言われた人でした」

 その言葉を聞いてお館様は「ほぉ」と言った。

「まぁそんな訳で僕には武士の血が流れていて強い者と戦いたいって思ってしまうんです」

「それで強くなりたいと」

「そんな理由で強くなろうとは思っていません、僕は誰かを守りたい」

「その二つを守り通すために強くなりたい」

 真剣な目で言った。

「(こんな目をする者を見るのは久方ぶりでござるな)」

「だからここに居る間だけでいいので僕を鍛えてくれませんか」

「いいでござるよ」

 嘘ではないようだ。

「ありがとうございます」

 僕は頭を下げてお礼を言った。

「では、始めるでござるか」

 お館様は木刀を構えた。

「お願いします」

 僕も木刀を構えた。

「拙者は加減などはせんでござるよ」

「それでお願いします」

 シンクが戻ってくるまでに強くなって見せる。

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