小説『僕は勇者ではなく騎士だ』
作者:餓鬼()

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僕が騎士になりたいと思ったのはあの時だ

「やーい根暗のハーフ」

 僕は日本人とイギリス人のハーフで周りの子とは違い髪は黒いのに瞳の色が青色だった。

「何か話せよ」

 この時から僕は本を読む以外には全く興味がなく苛められていてもそれを無視していた。

「ちっ、無視するんじゃねえよ」

 男の一人が僕の本を取った。

「返せよ」

 僕は男に言うが

「なんだよお前こんな古い本が大切なのかよ」

 男が取り上げたのは父が誕生日に買ってくれた小説だった。

「悪いか」

 睨みながら言ったら

「お前むかつくんだよ」

 男はクラスの端に数個あるうちの一枚の窓のそばまで近づき

「なっ、やめろ」

 僕が動こうと思ったら何人もの男の友人に捕まり動けない。

「やめろ、やめろよ」

 僕の声はむなしく男は真下の池に向かって投げたが

「よっと」

 池に入る前に誰かが本を飛んでキャッチした。

 今思うと小学生なのに凄い脚力だと思うよ。

「あそこか」

 本をキャッチした者は投げられた教室を知りそこに向かう。

「くっそなんだよあの女」

 投げた男は悔しそうに言った。

「全部お前のせいだ」

 男はこっちを向くなり拳を握り殴りかかろうとしたが

「先生こっちです、早く来てください」

 女の声が聞こえる。

「先生が来る逃げるぞ」

 男の集団は先生を恐れて教室から逃げて行った。

 僕は床に座り込んでいたら。

「大丈夫? これ君の本だよね」

 声をかけられた。

「ありがと」

 立ち上がり本を受け取る。

「私、高槻七海」

「僕は土方ユウ」

 自己紹介をすると

「もしかして日本人?」

「日本人だけど戸籍上はイギリス人」

 そう言ったら。

「私はクォーターなんだ」

 自分が苛められている理由をさらっと言ったナナミ

「そうなんだ」

 僕は小説を読もうとしたら。

「その本面白い?」

 と聞いてきた。

「面白いよ、主人公が勇者じゃなくて騎士だからまた面白い」

「そうなんだ」

 と言いながら少し考えた後

「一緒に遊ぼうよ」

 これがナナミとの出会いで僕の初恋だった。

「ユウ結構体力上がってきたよね」

 ナナミとの遊びは棒術それに同い年のシンクが加わる。

「そうだよ最初の頃と大違いだよ」

 シンクとナナミは笑いながら言った。

「ありがとう」

 嬉しいが余り感情表現が少ない僕は後悔したよ。

「ユウまたその小説読んでるの」

 休憩中にナナミは顔を近づけ聞いてきた。

「そ、そうだよ////」

 顔が近くて少し緊張したが話せることは話せる。

「本当にその小説が好きなんだね」

「この小説の騎士は僕の憧れだから」

 騎士に憧れを持ち始めたのはこの時ぐらいだった。

「ふぅーん、だったらユウが大きくなって私よりカッコよくなったら私の騎士になってよ」

 子供の戯言だった。

「僕でよければ」

 それから時がたち僕らは同じ大会に出たが、僕だけは決勝戦までには行けなかった。

「元気出してよユウ」

 シンクとナナミは落ち込んでいる僕を励ましてくれた。

「そうだよ、ユウの分まで私が頑張るからさ」

 僕は二人に支えられてばっかりだった。

「だから元気出して」

 もういやだ。

「いいよ、別にもう何もしたくない」

 そう言って僕はシンクたちと外で遊ぶことはなくなり親がイギリスに仕事で行くことになったが僕は日本に残った。

 イギリスに行けばナナミに会ってしまう。

 会うことが怖い

 今、あって何を話せばいいか分からない

「だからさ、ここにきてもう一度夢を追いかけたくなって」

 と頭をかきながら言うと

「よぉーし、ユウを鍛えるの頑張るぜ」

 ガウルは今までより熱く燃えていた。

「ハハハ、お手柔らかに」

 そういって鍛錬を行ったが次の日は激しい筋肉痛により閣下の大事な放送を聞き逃してしまった。

-9-
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