小説『なんでもない詩』
作者:文月 青鈍()

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「どうこく」





いま、どこかで誰かが叫んでいる


いま、どこかで誰かが泣いている






学生時代の思い出


愛しい人からもらったプレゼント


家族との温かい居場所





一瞬にして消えてしまった





もう戻ってはこない物


もう二度と会えない者







不安・悲しみ・怒り・絶望







いろんなものが混ざった渦は


また津波となって押し寄せる







−慟哭−







いま、誰かが笑ったよ


いま、誰かが出会ったよ




小さいけれど優しい灯火


よわいけれど確かな灯火









大丈夫、波は必ずひいていくよ







そして、また人は笑顔の種を植えるんだ


咲いた花は美しい太陽の花


ほら、聞いて


どこかで新しい産声が聞こえたよ







ね?


人って本当に強いよね


言葉は通じなくても


文化が違っても


心って痛みも悲しみも喜びも


感じるのはみんな同じだから

















-17-
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