「もあ」
もっともっと
高く飛べる羽根が欲しい
助走も踏み台なんかいらない
足が大地から離れた時
何かが爆ぜる音がした
みんなみんな
自分を置いて飛んでいく
厳格な秩序とか
もとから無かったかのように
軽やかに跳躍する
それを妬みと知った
努力もした改善もした
足は地に鎖を引いて
地平線まで延びていた
足があるから飛べないんだ
邪魔な足さえなければ
手に持った刃はとても重かった
結局は己の身が一番可愛かったのだ
涙は刃を錆びさせた
ボクは初めて答えを知った
飛べない理由を知った
地平線まで延びていた鎖が
少しだけど軽く短くなった
そうか、そういうことだったんだ
涙は自然と渇いていた
ボクの背中には小さいけれど
羽根が生えていた