小説『なんでもない詩』
作者:文月 青鈍()

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「とうめいに」




水の中を泳ぐ魚は虹色


空の中を飛ぶ鳥は空色


地の中から見るのは黒


風を透明に


意識を鮮明に


声を張り上げて


足を踏ん張り


魂の叫びは極彩色







空に浮かぶのはクラゲ


月と遊ぶのは夢物語


意識のシャットダウン


思考のカミングアウト


残酷と愉快と幸福と


今手の中にあるのは


儚く壊れるクリスタル


無邪気な心は純真無垢






世界で一番自由人


世界で一番考え人


世界で一番傾き者


世界で一番の悪友


世界で一番の戦友





雲のドラゴンに乗って


悪い王様やっつけて


可愛い姫に花を贈り


森の妖精に挨拶をして


戦士に薪割りを教わり


夢の世界で遊ぶ





そして透明なガラスの


小さくて砕けそうな


羽根を大事にするんだ





自分自身が


「 透明 」にならないように

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