小説『なんでもない詩』
作者:文月 青鈍()

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「はるのゆりかご」



それは唐突に襲ってくる

春という季節に運ばれて

うららかな日差しと共に

色とりどりの花の香りと

伸びやかに鳴く鳥の声

ああ

心地いい



耳を澄ませば桜の声

淡く儚い花びらを

一枚一枚拾い集め

ほら

綺麗な花一輪



まるで

まるで温かい揺り籠のよう

願わくば

もう少しまどろんでいたい

この居心地良い木漏れ日のなかで

-5-
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