小説『俺としつこい女』
作者:ブレイバー()

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あははははっ!ほら裕一、きれいな茜空だよ!うわ〜〜・・・!

裕一『茜空を見つめる彼女を横目に見ながら俺は・・・何もかもが夢であればいいと思った。夢ならば苦しまずに済むし楽しく過ごせる。そんな毎日を俺はいつも夢見てた。こいつと・・・幼馴染のこいつと初めて出逢った時から・・・ずっと・・・ずっと・・・。そう。俺は初めて逢った時からこいつのことを・・・





                     好きだったのかもしれない          』




11月4日(土) 雨

裕一「・・・・・・」
目覚めは最悪だった。髪はボサボサ、頭痛や吐き気なども激しかった。時刻はAM8時15分を回ったところ。今日は運が良いことに学校は休み。課外もないのでこのままゆっくり過ごすことにした。しかし体は食を求めた。
ぐ〜〜〜〜・・・・・
昨日から何も食べていなかった裕一は仕方なくベッドから出る。部屋の中は雨の影響も、そして11月というのもあるのだが恐ろしくジメッとしてて寒かった。とりあえず部屋を暖めるために暖房をオンにして重い足取りで1階に降りていった。

裕一「・・・ここ、俺んちだよ・・・なぁ」
リビングを開けたとたんそこは・・・魔界だった。するとその魔界から住人が現れた。

瑞樹「・・・・・・」
顔中真っ黒にした魔物が・・・

裕一「・・・・・・」
しかし突っ込む力もないのかそのままキッチンに向かって冷蔵庫の中をあさる。冷蔵庫の中もひどいものだった。乱雑にされ、パックの中に入っていた商品なんかもそのまま冷蔵庫の中に放り込まれ、中でぐしゃぐしゃになっていた。その中から奇跡的に袋の中に入っていたパンが一枚入っていたのでそれを取り出し、トースターで焼く。

瑞樹「・・・・・・」
クイクイ・・・
すると後ろから瑞樹が裕一の服の裾を引っ張ていた。

裕一「・・・・・・」
しかし何も言う力もないので無視した。

瑞樹「・・・ご飯・・・作ったんだけど・・・」
テーブルを指差すと・・・見事なまでにこの部屋に負けないぐらい黒かった。裕一は一言だけ言った。

裕一「・・・帰ってくれ」

瑞樹「な、なんでよっ・・・!」

裕一「・・・・・・」
チンといってパンが焼きあがると熱さも気にせず口にくわえてリビングを後にした。

瑞樹「・・・・・・」
瑞樹はポケットから携帯を取り出し、慣れた手つきでボタンを押していく。

瑞樹「・・・私だけど」








裕一「・・・・・・」ゴックン
ベッドに腰掛け、最後の一欠けらのパンを飲み終えると裕一は着替えを始めた。外は寒いので少し厚めのコートを羽織って部屋を出た。



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