玄関のドアを瑞樹が開ける。
バンッ!
男 「ちょっとお嬢様!そんなに勢いよく開けることもないでしょうに」
瑞樹「うるさいわね!いつからあんたってば私に指図できるようになったのかしらねぇ!」
男 「でも限度ってものがあります」
瑞樹「・・・さ、ここよ」
使用人を無視してリビングのドアを開けた。
瑞樹「おーーい!きたわ・・・・よ・・・?」
そこには裕一・・・と、瑞樹はまだ知らない三咲が立っていた。
三咲「あれ?裕一、この人、誰?」
瑞樹「んなっ・・・!」
どうやら驚きを隠せないようであった。
裕一「・・・三咲、ちょっとあっちに行っててくれないか?」
瑞樹「・・・名前で呼び合ってる」
男 「・・・あちゃ〜・・・こりゃ修羅場と化してしまいそうだねぇ・・・」
使用人は隠れたところからそれを観察していた。
三咲「えぇ〜別にいいじゃない!それにこの人、裕一のお友達なんでしょ?紹介してよ〜」
裕一「はいはい、今度するか・・・」
瑞樹「あ・・・」
裕一「ん?」
瑞樹「あ・・・あ、あああああああんた!いったい誰なのよ!!」
指を突き出し、大声で言った。
三咲「え?誰って・・・ん〜・・・あっ!」
思いついたみたいな声を出すとすぐさま裕一の腕を掴んだ。
裕一「お、おい・・・」
三咲「私、この人の彼女さんでーーす!!」
瑞樹「・・・・・・・・・え・・・?」
裕一「おい!何を勝手なこ」
瑞樹「くっ・・・!」
瑞樹はリボンで可愛く結んだ袋を裕一に向かって投げつけるとそのまま走って出て行ってしまった。
裕一「っ!・・・おい!・・・行っちまった」
三咲「ありゃりゃ、やりすぎちゃったかなぁ」
小さく笑うと裕一から離れる。
裕一「何勝手なこと言ってんだよ」
三咲「だってほんとのことじゃない」
裕一「ほんとじゃねぇよ」
三咲「ひ、ひどい・・・私ってただの・・・ただの・・・遊びだったのねぇーーー!!」
そのまま三咲も走り去ってしまった。
裕一「・・・なんなんだよ」
男 「ほんとにねぇ・・・」
裕一「・・・あんた、だれ?」
使用人が現れたが・・・
男 「その袋」
裕一「ん?これ?」
拾い上げる。
男 「そ。ちゃんと食べてね」
言い残し、そのまま走り去ってしまった。
・・・結局家には裕一1人になってしまった・・・
裕一「・・・わけわかんね・・・」
リボンを解き、中身を確認する。
裕一「・・・石炭なんか食えるかよ・・・」
瑞樹「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・(なんで・・・・・・なんであんなことを訊いただけで・・・胸がこんなにも苦しいの・・・わけわかんない・・・)」