小説『俺としつこい女』
作者:ブレイバー()

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そのまま時間は経ち、放課後・・・
裕一「・・・・・・」
せっせと帰り支度を済まし教室を出ようとしたところを晃と茜に呼び止められた。

裕一「・・・なんだ?」

晃 「一緒に帰ろうジャマイカ!MYベストフリエンド!」

茜 「なんで最後だけローマ字で読んでんのよ・・・まぁそういうことだから、一緒に帰りましょ?」
2人からのお誘い。

裕一「悪い。今日ちょっと用事があんだ」
すると振り返り教室を出ようとした。

茜 「・・・黒澤さん関係、でしょ?」

裕一「・・・・・・」
裕一は足を止めた。

茜 「緒方くん、最近変わったね。前なんかもうこの世が終わってしまえばいい〜的なそんな暗い感じだったのに、今ははきはきとしてる。明るくなった」

裕一「・・・・・・」

晃 「ん?・・・ん?!」

茜 「別に責めてるわけじゃない。むしろ嬉しいと思ってる。やっと昔の、あの緒方くんに戻ってきてるってなると、ね」

裕一「・・・・・・」

茜 「でも・・・心の片隅では・・・悲しいとも思ってる。だってあなたはこの頃ずっと彼女のことばかりしか頭になくて、私たちとの付き合いが全然できてないじゃない」

晃 「・・・まぁ確かに。俺なんかここ二週間ぐらいすっと夜に裕一の家に侵入しようとしても、いつもならまだ起きている時間なのに部屋の電気消して寝てるもん」

茜 「・・・・・・それと今の話は別問題よ」

晃 「あり?」

裕一「・・・あの物音はお前か」
裕一はとりあえず鞄の角で登るの頂点を殴った。

晃 「ゴフッ」

茜 「・・・とにかく、私の考えとしたら少しは私たちと付き合いなさいよコノヤロ〜!ってのがぶっちゃけた話なわけ。わかってくれた?」

裕一「・・・・・・(俺があいつのことばかり考えてるって・・・?・・・・・・)」

晃 「・・・サァ・・・一緒ニ・・・・・カエロ・・・?」

裕一「お前は消えてろ」
また殴った。

晃 「あんっ・・・いいっ!」

裕一「きも・・・」
今度はおもいっきり腹を殴った。

晃 「だばばっ・・・!」
そのまま気絶してしまった。

裕一「・・・言っとくぞ。俺は別にあんなやつに興味とか・・・そんなんはねぇ。ほんとにただの用事だ」

茜 「・・・そう。わかったわ。ごめんなさい」

裕一「・・・こっちこそ・・・その・・・すまんな」
そう言って裕一は教室を出て行った。

茜 「・・・・・・やっぱり彼はあの子を気にかけてる。間違いないわ」

晃 「・・・・・・」

茜 「・・・ふぅ。さて、私も帰りますか」

晃 「・・・・・・」

茜 「起きてるのはわかってるのよ・・・いつまで寝てるつもりよ」

晃 「あなた様が天下統一するその日まで・・・」

茜 「じゃあそこで一生寝てなさい」

晃 「嘘でございます!!ささっ帰りましょうぞ!!」







裕一は商店街に向かっていた。朝のあの店のことが気になったからだ。
するとどこからか怒ったような声が聞こえてきた。

男 「ふざけんなよっ!!」
それは商店街に向かう途中にある小さな公園。その公園には同じ学年の見知らぬ男と・・・瑞樹の2人だけがいた。

男 「別れるってどういうことだよ!!俺が何か悪いことでもしたか?!」
どうやら瑞樹が別れを切り出したらしい。裕一は物陰からずっとそれを見ていた。

瑞樹「・・・あなたは悪くない。ただ私に・・・好きな人ができただけ。そう気づいただけ。それにどうせこの頃付き合いもなかったし、もういいでしょ?」

男 「好きな人って・・・誰だよそいつ!!」

瑞樹「・・・あなたに教える意味はない。じゃ」
そう言って立ち去ろうとした。

男 「・・・んなよ」

瑞樹「え?」

男 「ふざけんなよっ!!」
すると男は瑞樹を引き倒し、馬乗りの状態になった。

瑞樹「な、なにするのよ!どきなさいよ!!」

男 「俺をなめやがって!!何が別れるだァ?!勝手なこと言ってんじゃねぇよ!!」
男は握りこぶしを作っていた。その握りこぶしを振り上げた。

瑞樹「っ!!」
瑞樹は目を瞑った。







裕一「はいはい、修羅場タイムはそこまで」

男 「?!」

瑞樹「・・・え?」
物陰から現れた裕一の姿に2人は驚いていた。

裕一「あんさん、ここで女の子をいじめちゃだめでしょうが。ここ、どこかわかってやってるんですかねぇ」
するとくいくいと指を刺す。指した方向の先には小学生が学校帰りなのか道路の脇からずっとそれを見ていた。

男 「!!・・・ちっ!」
男は瑞樹から離れるとその場から走り去った。

裕一「・・・まぁこれで一件落着」

瑞樹「・・・・・・」

裕一「大丈夫か?」
瑞樹の下まで寄ると手を差し出す。

瑞樹「!!い、いいわよ!そんなお節介!!」

裕一「でも殴られずには済んだからいいだろ?」

瑞樹「・・・まぁ・・・ありがと」
そう言って裕一の手をとった。
力を入れて瑞樹を引っ張りあげた。

裕一「あ〜あぁこんなに汚れてるよ」
砂埃をはたく。

瑞樹「いいわよ!そんなことしなくて!!」

裕一「あ・・・」
瑞樹は裕一から離れた。

瑞樹「あ・・・その・・・ごめん・・・」

裕一「・・・いいよ。別に・・・・・・」

瑞樹「・・・・・・」








公園の外の物陰・・・
茜 「・・・やっぱり気にかけてるじゃない」

晃 「あり?あれは裕一と黒澤さんジャマイカ!呼ぶか?」

茜 「いいわよ、別に。さ、邪魔しないうちに帰りましょ」

晃 「邪魔??」

茜 「あんたって・・・ほんとに疎いわねぇ・・・」

晃 「???」
2人はその場を後にした。


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