教室に入ると3人は自分の席に座った。裕一は鞄の中に紙袋をなるべく綺麗に入れた。
チャイムが鳴る。
それと同時に瑞樹が教室に滑り込んだ。
瑞樹「セーフ・・・」
そのまま自分の席に座った。
早回し
ホームルーム、1時限目、2時限目と進み、今は3時限目の終わりのチャイムが鳴る5分前。これが終わると今日の学校はおしまい。
裕一「・・・(まだか・・・・・時間が長く感じるよ・・・)」
そして念願のチャイム。
礼を終えるとホームルームは無いのでそのまま生徒たちは荷物を鞄に入れ、鞄を持って教室を出て行く。
裕一も鞄を持って瑞樹の机を見た。
裕一「・・・あれ?」
ところが瑞樹の姿が無かった。
裕一「・・・どこ行ったんだ?」
教室を離れ、瑞樹を探すことに。
裕一「・・・・・・・・・・・・・・あ、いた」
一階奥の視聴覚室前にいた。
裕一「・・・よしっ!」
鞄の中から例の紙袋を取り出し、その距離をどんどん縮めていく。瑞樹は裕一とは逆方向を向いてなにやら携帯をかけているらしく、こちらには気づいていなかった。
裕一「・・・少し隠れてこっちに近づいたらおどかそっと」
少し微笑気味に隠れて瑞樹を待った。ここは人通りが少なかったので瑞樹の話している声が聞こえる。
瑞樹「・・・え?やだなぁ〜。もう私だって17だよ?それぐらいできるわよ・・・まぁ・・・玉子焼きぐらい・・・」
裕一「(何の話をしてんだよ)」
瑞樹「・・・真奈美だってそうでしょ?料理できな・・・え?できる?!・・・ど、どうせ・・・あんたも玉子焼きぐらい・・・オムライス?!・・・ふん!まぁまぁね・・・」
どうやら友達と話をしているらしい。
裕一「(負けてんじゃん)」
瑞樹「そういえば、あんたあの彼氏どうしたのよ。ほら、この前から付き合ってる彼。上手くいってんの?」
話題は恋愛の話へ。
瑞樹「・・・おお!そこまで進んでんの?!・・・羨ましい・・・え?い、いや!何も言ってないわ!!」
裕一「・・・(羨ましがってる・・・)」
瑞樹「・・・え?私?今はいないわよ。あの3人とも別れた」
裕一「(結局別れたのか)」
瑞樹「・・・緒方?」
裕一「【ビクッ!】」
いきなり自分の話題が振ってこられたので裕一はびっくりした。
瑞樹「・・・彼と付き合ってる?なんでそう思うのさ」
裕一「(うわぁ恥ずかしい・・・いやな時に来ちまったな・・・)」
瑞樹「・・・なるほどね。でも残念でした」
裕一「・・・・・・」
瑞樹「だってあいつは遊びだもん。決まってるじゃない。私がほんとに付き合ってるとでも?ははは」
裕一「・・・・・ぇ」
瑞樹「私が付き合うって決めてんのはちゃんとした男。あんな変人、こっちから願い下げだわ」
聞いてはいけないことを聞いてしまったような気がした裕一。手に持っていた紙袋を落としそうになりそうになった。
それから5分ぐらいして瑞樹は通話を終えた。
瑞樹「さて、行こっと」
こちらに向かって歩き出した。
裕一「・・・・・・」
すると瑞樹は裕一に気がついた。
瑞樹「あ・・・」
そしてドンドン顔が白くなっていった。
裕一「・・・ふっ」
何故か笑いが出た。
裕一「・・・馬鹿みたいだ」
走った。走ってその場を後にした。
瑞樹「ま、待って!!違うのよ!!違・・・・」
外に出た裕一。走って走って走りまくった。
頭の中ではもう何も考えていない・・いや、考えられないようだった。ただ走った。
そしてたどり着いた場所はあの例の女性?がいるお店だった。