瑞樹と茜は少し離れて一緒に歩いていた。歩いている間はお互い話しかけることは無かった。
瑞樹「・・・・・・」
茜 「・・・・・・」
15分ぐらい歩いてようやく裕一の家の50メートルぐらい前に着いた。
茜 「・・・あれ?」
すると茜からの疑問詞。茜は曲がり角に隠れた。
瑞樹「・・・何をしてるの?」
茜 「あんたもこっちに来なさい・・・!」
小さな声で呼ぶ。
瑞樹「?」
言われるがままに茜の後ろに隠れた。
茜 「見てみなさい・・・」
瑞樹「・・・・・・あれは」
曲がり角から見えた光景・・・というか人だが。・・・裕一が家から出て瑞樹たちとは反対方向に歩いていった。
瑞樹「・・・どこに行くのかしら・・・」
茜 「あの方向は・・・」
瑞樹「わかるの?」
茜 「・・・いい機会だわ。あんたに見せたい・・・いや、逢わせたい人がいるの・・・ついて来なさい」
裕一に気づかれないように二人は後についていく。
瑞樹「どこに行くの?」
茜 「ついてくれば・・・わかるわ・・・」
瑞樹「・・・・・・」
周りの風景が殺風景になっていく。
瑞樹「・・・ここは?」
着いた場所は・・・お墓だった。
茜 「・・・裕一もやっぱりここに来てるみたいね・・・さ、行くわよ」
瑞樹をつれて茜が中へと入っていく。
瑞樹「・・・・あ・・・いた・・・」
茜 「・・・隠れなさい」
ばれないようにお墓が密集しているとこの陰に隠れた。
茜 「・・・・見なさい」
瑞樹「・・・泣いてる」
横顔からだったが・・・裕一の目から涙がこぼれていた。
瑞樹「・・・・・・」
茜 「・・・・・・」
そして裕一は手と手を合わせて目を瞑った。
裕一「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・馬鹿・・・だよなぁ・・・」
目を瞑ったまま小さな声で・・・聞き取れるのが難しいような声で呟いた。
裕一「・・・・・・はっはっはっはっは・・・」
茜 「・・・・裕一・・・」
瑞樹「・・・・・・」
それから10分ぐらいして裕一はこの場から去った。
茜 「・・・・・・」
瑞樹「・・・・・・」
2人は裕一がいなくなったことを確認してから物陰から出た。そして2人は裕一が立っていた墓の前に立った。
瑞樹「・・・・坂本家ノ墓・・・」
茜 「・・・そうよ・・・」
瑞樹「・・・・このお墓が・・・私に逢わせたい?」
茜 「・・・よく見なさい・・・ここよ・・・」
瑞樹「・・・坂本・・・優奈?」
茜 「・・・彼の・・・裕一の・・・彼女よ」
瑞樹「・・・ぇ・・・?」
瑞樹の心に衝撃が走った。