車に戻った瑞樹を向かえた男は少し心配そうな顔をしていた。
男 「・・・・・・」
瑞樹「・・・あのさ」
男 「・・・・・・」
瑞樹「・・・何人の顔じろじろと見てるわけ?」
男 「あ・・・失礼しました!」
瑞樹「・・・いいわ。最後に緒方の入院してる病院に向かって頂戴」
男 「・・・かしこ参りました」
車を速度40キロぐらいで進めていると・・・
瑞樹「あ・・・!・・・・その・・・もうちょっとゆっくりで頼むわ!その・・・安全のために・・・」
男 「・・・かしこ参りました」
・・・どうやら早くついて欲しくない模様で・・・それでも徐々に裕一の入院している病院には近づいているわけで・・・
瑞樹「・・・・・・」
ずっと車内でそわそわしていた。
男 「・・・・・・」
三咲「・・・・きっと・・・さっきの彼女・・・黒澤さんって人が原因なんだろうなぁ・・・何て言うんだろう・・・女の勘?」
すると家の電話が鳴り響く。
ガチャリ
三咲「もしもし、緒方ですけど」
茜 『・・・三咲ちゃん?』
発信源は茜からだった。
三咲「あ、茜さん!どうしたんですか?元気なさそうですけど」
茜 『・・・そっちに・・・黒澤さんが見えなかった?』
三咲「ええ・・・来ましたけど・・・」
茜 『・・・そう・・・それで誘われなかった?一緒に緒方のお見舞いにいこうとかどうたらこうたら』
三咲「え・・・ええ。言われましたけど・・・・」
茜 『・・・そう』
三咲「・・・あの〜茜さん?」
茜 『三咲ちゃん。今から緒方のところに行くわよ』
三咲「・・・・・え?!」
・・・・・・・キキーッ!!
男 「・・・着きました」
瑞樹「み、みみみ見ればわかるわ!!」
病院の前に着くと外では慶太が待っていてくれた。実は病院に着く前に携帯で連絡を取っていたのだ。瑞樹は車から降りると慶太が駆け寄ってきた。
慶太「黒澤さん!」
瑞樹「慶さん・・・えっと・・・すいません、いろいろと」
慶太「いいのそんなことは!それよりも裕一さんの麻酔が切れてさっき目覚めたばかりなの。早速会いに行きましょう!!」
瑞樹「え?!ちょちょちょちょっと?!」
慶太が女の子らしい格好や顔つきだといっても中身はやっぱり男。とても敵わずそのまま引っ張られていってしまった。
瑞樹「ちょっと・・・その・・・まだ心の準備が・・・!!」
6階の奥。そこに個室で名前の札がかけられていた。
緒方裕一様
瑞樹「・・・・・・」
慶太「何をしてるの?さ、顔を合わせに行きましょ!」
そして扉が開かれた