小説『俺としつこい女』
作者:ブレイバー()

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     2話   “好き”っていう気持ち

11月3日(金) くもり
裕一「・・・さぶっ」
どうやらあれから布団もかけず寝てしまったらしいようで。とりあえず彼は時計を見る。

裕一「・・・・・・」
AM8時00分

裕一「・・・まぁいいや。どうせ学校に行ったって面白いことなんて何にもないんだから行っても無駄」
ということは学校を休むということか。何を考えているんだかこの子は。この子の親の顔が見てみたいもんだ。

裕一「・・・さて、もう一眠りするか」
布団をかぶり目を瞑る。











・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
裕一「・・・・・・・・・・」
ピンポーーーン

裕一「・・・・・・・・・・」
ピンポーーーン

裕一「・・・・・・・・・・」
ポンピーーーン

裕一「・・・なんでインターフォンの音が変わるんだよ」
渋々布団から出て1階の玄関に向かう。

ポンピーーーンピンポーーーンポピーーーン
裕一「・・・俺んちのベル・・・壊れてんのか?」
はいはいと言いながら玄関の鍵を開け戸を押す。

裕一「・・・・・・」
ガチャンっガチャ
んがすぐに戸を引き鍵をロックした。すると外からドアを叩く音が。

ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン!!
裕一「・・・近所迷惑だ」

??「ちょっとーー!!さっさと開けなさいよーーー!!」
どこかで聞いたことがあるような声が家の外から聞こえた。

裕一「・・・無視」

??「開けないとこのドア、爆発させてでも開けるわよ!!あと10秒以内に出てこないと・・・・・5・4」

裕一「何が10秒だ。5秒じゃないか」
ガチャっと鍵を開け戸を押す。

瑞樹「そんなこと言ってびびって出てきてんじゃない」
外に居たのは黒澤瑞樹だった。手には何やらボタンらしきものが握られていた。そしてその玄関の縁(ふち)を見ると一本一本きれいにダイナマイトが敷かれていた。

裕一「お前ならやりかねないからな。お嬢様の考えることはわからん」
そう。この黒澤瑞樹。実はとってもお金持ちのお嬢様だった。黒澤財閥と言えば世界の黒澤と言われるほどのグループ。その財閥を仕切っている黒澤明王寺(くろさわみょうじ)の一人娘がこの裕一の目の前に居る黒澤瑞樹だ。しかしこの瑞樹、何も怒られずなおかつ我がままに育ったせいか自己中心的な性格に。それが今のこの状況。彼女には好きでもないのに3人もの彼氏が居る。っと言ってもまだまだ軽いほう。昔は軽く10人と付き合っていたらしい。

瑞樹「なに言ってんのよ。それよりなにその格好。早く学校に行くわよ」

裕一「行かん。帰れ。二度とお前の顔なんて見たくない」

瑞樹「んなっ!」

裕一「んじゃ。あとこの爆薬、ちゃんと回収しとけよ」
ガチャンガチャ・・・・・・・・・・

裕一「さて、寝なおす」
ドカーーーーーーン!!

裕一「か・・・・・・・・」

瑞樹「・・・お前の顔なんて・・・見たくないですって」

裕一「・・・・・・」
玄関のドアが爆発で吹き飛び煙の中から瑞樹が現れる。・・・どうやらご立腹のようだ。

瑞樹「私の・・・こんなかわいい顔を・・・見たくないですって」

裕一「・・・・・・はぁ」
それを無視して溜め息をつき2階に上がっていった。

瑞樹「聞き捨てならないわ。もう許さない。あんたを私の彼氏にしてちゃんと認めさせるんだから。私の顔は世界で1番かわいいと!!」
シーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン・・・・・・・・

瑞樹「・・・いない!!!」
・・・どうやらこの子の頭はちょっっっっっっとネジが緩んでいるようで・・・



裕一は自分の自室に戻ると部屋に繋いである受話器を手に取り慣れた手つきでボタンを押していく。

裕一「・・・あ、すいません緒方ですけど、今日も休みます。それじゃ」
かけた場所は学校。出た先生に用件だけ言うと先生の声も聞かずすぐさま切った。受話器を元に戻しそのままベッドに潜り込む。

裕一「・・・これで計9回目のずる休み」
そう言って眠りに着いた。



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