小説『アールグレイの昼下がり』
作者:silence(Ameba)

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── 一方、車内で読書をしながら待機中の今井の元に乙の注文していた料理が届けられる。

 
コンコン…


窓からノックが聞こえ、かすかにウインドウを開けるとウェイターが口を開く。

「ご夕食をご用意いたしました」
「いえ、私は頼んでおりませんが・・・」
「はい、月影様からのご注文で、こちらにもお届けするようにと申し浸かりました」
「あ、ああ。そうですか。
では、戴きます」

そういうと今井は料理を受け取る。
ウェイターは一礼し、車から離れホールへ戻って行った。

時間が経ち、三人がレストランから出てくる。
今井は、車を発進させ乙達の前へ着けるとドアを開け三人を迎える。
留奈・聖慈が乗り込み乙が今井の前までやって来ると今井は口を開いた。

「乙様、お食事おいしく頂きました」
「ああ、気にするな」
「ありがとうございます」

乙が車に乗り込むと静かにドアを締め車は屋敷へと向かい、発進していった。
家路に着くまで、留奈と聖慈の話は尽きることはなく楽しそうな声が響いている。
乙は、そんな二人の話に耳を傾け、柔らかな笑顔を浮かべていた。

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