やがて、サンドイッチを食べ終わると、瀾は両手を合わせ挨拶をする。
「ご馳走様でしたぁ」
「どういたしまして。
…さて、瀾はそこでもう少し飲んでるといい」
乙は、スッと席を立つ。
まだグラスに半分ほど残っている中、瀾は乙に問う。
「乙様ぁ、どこ行くんですか?」
「シャワーを浴びてくる。
俺もパジャマに着替えなきゃいけないしな」
瀾はハッとすると手をあげて、
「私も行きますぅ!!」
「ダ〜メだ。瀾は、もう酔ってるんだからシャワーなんか浴びたら危ないだろ」
「酔ってないですぅ」
お決まりの台詞が返ってくる。
瀾の首下に手を添え、優しく囁いた。
「そのシャンパンが空くまでには戻ってくるから。
いい子で待っていろ…」
「/////」
瀾は顔を赤くして、おとなしくコクンと頷いた。
やがて乙はシャワー室へ消えてゆく。
瀾はまた少しずつシャンパンを飲み始めた。
微かに聞こえるシャワーの音…。
アルコールのせいか胸は、妙にドキドキとシャワー音に反応する。
…気になる…。
あの向こうに乙がシャワーを浴びているんだ。
そう考えれば考えるほど、胸の高鳴りは納まらない。
しばらく時間が経ち、シャンパンも空いてしまった。
微酔いの中、ポツリと1人部屋に残され暇を持て余す。
…つまらない…。
すると、カチャ…
シャワー室のドアが開く音が聞こえる。
乙が上がったようだ。
瀾はシャワー室へ向かい、ソッと覗いてみる。
「ふぅ…」
湯けむり混じりに乙が頭を拭いている。
ドキン…
始めて見る艶めかしく、白い肌に水滴が残る乙の身体。
顔の割には胸が大きい。
瀾は、自分の胸を両手でポフンと押さえてみる。
はぁっと、溜め息をつくと乙がこちらに気が付いた。
「ん?瀾、部屋にいなかったのか」
「あ…////」
「何だ?」
体の熱が瀾の体に一気にアルコールを回す。
自分から覗きに行ったくせに、恥ずかしさのあまり不意に顔を引っ込める。
パタ…パタ…と乙の歩くスリッパの音が聞こえ、チラリと見ると第2ボタンまで外してシルクのパジャマを身に纏い、壁に片腕を付けて瀾を見つめる。
「何してるんだ、こんな所で」
「あ、あの…///」
やはり女とは思えないほどの男性のような整った顔は、錯覚さえ起こさせてしまう。