小説『アールグレイの昼下がり』
作者:silence(Ameba)

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深いため息を付くと瀾と唇を重ねた。


『仕方ない。
こっちを先に片付けるしかなさそうだな。
俺に責任が無いわけでもないし…』


重なる唇に…
そして、絡まる舌の感触にピクピクと身体を反応させ、瀾の蜜はその花びらを覆ったベールでさえ受け止めきることが出来ずあふれかえっていた。

「ン…んく…ふ…ンン///」

あまりの快感に足をキュッと閉じたが、その瞬間にクチュリと歓喜の音がハッキリと聞こえ、その音だけでもゾクリと身体を震わせる。
唇が離れるとお互いの舌を繋ぐように糸をひかせた。

「キスだけで感じるのか?」
「んん〜///」

熱を帯びた花びらをどうする事も出来ずモジモジとさせ、そのたびに音を奏で、花びらを刺激するベールと自分の肌の感触にまたピクリと身体を反応させる。

「乙様ぁ…ア・あ・は、早くぅ
…もう我慢できないのぉ///」

涙目になりながら甘えた声で必死に何かを我慢する瀾に乙は、瀾の腰を撫でながら耳元で囁いた。

「何が我慢できないんだ?」
「あ・あ・ア///」
「…言わなきゃ解らない」
「アアン//な…瀾の…ア・アソコ…熱いのぉ///」
「…アソコって?」
「き、乙様、意地悪ぅ///ふ、ふぇ…ヒック…///」

瀾は息を荒くし、スカートの裾を両手でたくし上げプルプルと震えていた。

「おやおや…随分積極的だな」
「…///」

瀾をテーブルの開いているスペースへ座らせる。

「瀾…よく見せて…」
「は…はい…///」

ゆっくり足を開くと、乙は瀾のベールに顔を近付ける。
思わず足を閉じそうになるが、そのたびにジワリと蜜があふれピクリと身体を跳ねさせる。

「…これは凄いな…」
「ン…ア///」

まだ何もされていないというのに体の反応は止まらず、ヒクと跳ねながら蜜は止まるどころか次々と溢れかえっていた。
乙が静かに瀾のベールを脱がすと、大きく糸を引き離れる事をためらった。
とたんに瀾の体が跳ねる。

「ア・あ・ア・アアン///」
「…どうした?
まだ何もしていないんだが?」
「乙様…///」

瀾は自分の身体の熱に絶え切れず、乙の手を取ると自ら指を飲み込ませてゆく。

「ハアアン!!ン・ン・アアン///」
「……」
「乙様…///」
「…ん?」
「乙様を…もっと感じたい…」
「珍しいな、瀾がそんな事を言ってくるなんて薬のせいか?」
「そ、そんな事…な…アアン///」

二人の唇が優しく激しく重なる。
その後も瀾は、何度も激しく乙を求め続けた。

快楽の中で時折、夢の光景を思い出す。
今の自分は夢で見た、あの女の子達のように見えるのかもしれない淫らに快楽を欲して。
でも身体の熱は一向に冷める気配すらなく、呼吸を荒くしては、絶えず乙の名を呼ぶのだった。



――瀾が気が付くと乙のベッドに横たわり、シーツがかけられている。
纏うものもなく、シーツを体に巻きフラフラと壁伝いに力なく寝室からメインルームへ行くと、既にいつもの格好の乙がソファーで静かに紅茶を飲んでいる。

「乙…様…」
「!! 瀾…。
身体の方は、もう大丈夫なのか?」
「は、はい…」

返事をし終えるとカクンと腰に力が抜け、ズルズルと腰を床に付いた。
意外にも乙は冷静で、静かに瀾に近づくとひざまずき瀾に言葉を投げた。

「無理をするな。
どうやら、まだ大丈夫じゃなさそうだな。
あれだけ激しく何度もしたんだ。
腰が立たなくなって同然だ。
もう少し横になっていろ」
「…はぃ…」

乙は瀾を抱き抱え、ベッドへと運んだ。
何故だろうか…。
乙が妙に冷たい気がする。

「どうした?」
「…ぃぇ…」

ベッドに瀾をそっと下ろすと、またベッドから離れようとする。
とっさに瀾は、乙の手を掴んだ。

「?」
「…ぁ…」

瀾は、気まずそうにサッと手を離し俯いた。
そのまま見送れば、また…乙が遠くなってしまいそうな気がしたからだ。
乙は、顔色一つ変えず瀾の頭を撫でるとポツリと口を開いた。

「飲み物を持ってくるだけだ。
水分を取らないと回復するものもしないぞ。
すぐ戻ってくる」
「…はぃ…」

瀾の胸がズキンと音を鳴らした。
何故、こんなに違和感を感じるのだろうか?
乙が戻ってくるとスポーツ飲料っぽい物を瀾に手渡し、ベッドに腰を下ろしす。
グラスを両手に持つが、その中身は小刻みに波を打ってぶつかり合って居るのが解る。
乙はスルリとグラスを奪い、口に運ぶと瀾に口移しで渡した。

「ん…ふぁ〜」
「1人で飲み物が飲めない程とは、よほど体力を失ってるみたいだな。
そんなに強くはないはずなんだが瀾には強力過ぎたらしいな」

その後、何度か飲み物を口移しで受け取りベッドに横になる。
瀾は、聞きにくそうに乙に質問を投げた。
 
「乙様…、私…あれからどうしちゃったんでしょうか…」
「憶えてないのか?」
「…途中から記憶が途切れ途切れになっていて…」
「まぁ…無理もないだろうな」
「あの…私…何か変な事をしてしまったんでしょうか…?」
「何故、そう思うんだ?」
「……」

途端に瀾は、口をつぐみ寂しそうに俯いてしまった。
瀾の口から【冷たい気がする】とは言えなかったからだ。
乙が瀾の質問に答えるため、口を開いた。

「あの後、何度も快楽を求めて最後に気を失ったんだ。
……瀾」
「…はい?」
「瀾は、俺の事が好きか?」
「え…」

乙の唐突な質問に、困惑を隠せなかった。
しかし質問をした乙は、不思議と淡々としていた。
瀾は小さくうなずく。

「そうか…」

乙は、それだけ言うと静かになる。
瀾は、乙の雰囲気に違和感が抜けないまま乙に質問を投げた。

「き、乙様は…?」
「え?」
「わ、私の事…///」
「愚問だな。
…好みじゃない女を抱くほど飢えてはいない」

普通この質問を投げれば返ってくる言葉はたいてい想像がつくが、乙が返した言葉はそれではなかった。

「乙様は…言ってくれないんですね…」
「何をだ?」
「私の事…どう思っているのか…」
「クス、今さっき答えただろう?」
「そうではなくて…もっと他の…」
「他の…何だ?」

笑顔を作っているが、ソレは乙から放たれていたのが解る。
何だろうか…違和感があるまま瀾は続けた。

「…好き…とか…」
「言葉なんてものは軽いものだ」
「でも…もうすぐ乙様、寮制の学校に編入してしまうし…好きな人の言葉なら!!
私、聞きたいんです…。
軽くなんかない…私は…乙様の事、愛し…」

途端に瀾のトリップ中の記憶が、物凄いスピードでフラッシュバックした。


───激しく刺激を求めながら、乙に言った言葉…。

「ア・ア!!乙様…私、乙様の事愛してますぅ…アアン//」
「…そうか…」
「乙様は…言ってくれないんですか///私の事…」

途端に乙の動きは激しさを増す。

「ハァアア!!あ・ア・ア・////ダ…ダメッ!!アアン//
そんなに…したら私…アア、壊れちゃう////」

絶頂と共に瀾の意識は、遠く離れていったのだった。


「…憶えてたら…言ってやるよ…」

乙は静かに耳元で囁いた───


「(愛し)…て…ます。だから…」

ヒヤリ…
一瞬、冷たい風が吹いたような気がする。
しかし、それは乙から放たれていたのがすぐに解る。
瀾の言葉に乙の眉間がピクリと動いた。

「…だから?」
「あの…」

乙は冷ややかな雰囲気をかもしつつその後、何も言わずスッとベッドから離れ寝室を出ていった。
瀾は思わず体を起こしたが、乙に声をかけることすら出来ず、寝室を出ていく乙をただ見つめるしか出来なかった。

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