小説『くっだんねー!』
作者:()

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にじゅうにわ―――Game over




ピンポーン! ピンポーン!

(うるさい、いったい朝から誰だ?)

ピンポーンピンポンピンポンピンポーン!

(何回鳴らすんだよ)

ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン!

「うっせー!!!!」

 ベッドから飛び起きた零は大声で叫んだ。

「ったく、真昼間からいったい何のようだよ! おかしな奴だ!」←この言葉もおかしい。

ピンポーン! ピンポーン!

「くだんねー!」

 未だに迷惑なチャイム音が響く室内、零はパジャマ姿のままドアを蹴破るが如く開けた。

「誰だ! いったい昼か・・・らぁ!?」

「あ、やっと開きました、もう何してるんですか零君!」

「しっ! 椎名!? な、なんで!?」

 完全に思考回路が停止した零はまず最初にあがった疑問を椎名に投げかける。

「お泊まり会でーす!」

「・・・・・・・・・・・・・・・はぁああああああああああ!?」

 椎名がそう言うと彼女の後ろからさらに3人の人影が現れる、それを見た零はウゲ! と顔を歪める。

 いたのは、柊と栗歌それに青谷、彼らの背には少し大きめのバッグが背負われている。

「わけわかんねー・・・」

 零の口から搾り出したのはその言葉だけであった。





「・・・と言うことで、零君の家でお泊り会です」

「出てけ馬鹿共!」

 ソファーでくつろぐ椎名や青谷に怒号を飛ばす零、当然である。

「えー、良いじゃないですかー」

「うっぜー、何で泊まるんだよ俺んちで!」

「皆で勉強会ですよー」

「そんなことは聞いてねー、な・ん・で! 俺んちに泊まるのか聞いてんだよ俺はぁあああ!」

「他の家がダメだったからです」

「俺の承諾も得ずにか? テメェらどんだけ俺を舐めたら気が済むんだ!」

「だってー、携帯の番号も教えてくれませんしー、夏休み始まる前に聞こうと思ったんですけど勝手に何処かに行っちゃったじゃないですかー」

「じゃあ俺んちと言う選択肢を外せ!」

「せっかくの夏休みだから良いじゃないですかー」

「よくねーんだよ! っつーか何で俺の家知ってんだ!?」

「甘いですね零君、私の尾行は最早神の粋です!」

「しね」

「まあまあ、迷惑はかけませんから」

「既に迷惑なんだよ! 迷惑を辞書で調べろ!」

 その後かれこれ1時間零と椎名の言い合いは続き、最後には零が完全に折れた。

(あー、なんか泣きたくなってきた・・・)

 リビングでわいわいやっている4人を見ながら零は1人部屋の隅っこで落ち込んでいる。

「零くーん、このゲーム難しいですね・・・」

「あっ! テメェ柊! 俺を爆破しやがったな!」

「わ、わざとじゃないんだよ〜!」

「柊君爆破〜」

「あ! ず、ずるいよ栗歌さん!」

「フフフ、何でもありなのよこのゲームは」

「なんちゅう女だ・・・」

「爆弾はどうやるんですか?」

 最近流行の小型ゲーム機で遊んでいる4人、自分の城を守りながら敵陣を殲滅するというゲーム、椎名は持っていないので零のを使っている(勝手に)。

(勉強会じゃないのか? なんでゲームやってんだよ!)

「零くーん」

「あ? 何だよ!」

「これどうやってやるんですか?」

 ちょこんと零の隣に椎名が座った、そしてゲーム機を指差しながら零にたずねた。

「ったく何でしらねーんだよ」

 そう言いながら零は椎名のゲーム機を奪い取り(自分のだけど)次々と大砲の弾、爆弾、兵士を設置していく。

「ここ押せば勝てるぞ」

「ここですか?」

「ああ」

「はい」

 椎名がポチッとゲーム画面に現れたLET’S GO!を押した瞬間、柊、青谷、栗歌の城があっという間に灰になり椎名のゲームが面にWIN!の文字が現れる。

「なにっ!」

「ああ!」

「うそっ!」

「わぁ! 勝ちました!」

 零の傍らで喜ぶ椎名、だが。

「おい朱雀! テメェチート使いやがったな!」

「使ってねーっつーの! テメェが雑魚なだけだろ!」

「こんな戦法があるなんて・・・」

「僕の被爆破回数150!? 集中砲火だよ・・・」

(頭痛くなってきた・・・)

 額を押さえる零、だめだ。すると。

でっででででっでっでででで〜♪

 零の携帯に新着メールが届く、零は他の奴らを完全に無視してメールを開く、送り主は蔵野からだ。

『ようゼロ〜! 久しぶりに今から遊びに行くから、よろ(ピースマーク)』

(やばい!)

 零はすぐさま返事を返す。

『今日は無理だ!』

 送信ボタンを送った数秒後、メールが帰ってくる。

『いやー、もう家の前なんだよね〜』

ピンポーン!

「あ、誰か来ましたよ?」

「ほ、ほっとけ! どうせ宗教の勧誘だろ、困ってんだよだからほっておけ」

 適当に嘘をつく零、言葉もあせっていて微妙に変だ。

「困っているなら放っておけませんね、私が言ってきます!」

 椎名はそう言うとさっさと玄関の方に歩き出してしまった。

「ばっ! やめろ!」

 だが、時既に遅し、椎名はドアを開けてしまった。

「あのですね、零君は困ってる・・・あ」

「よーゼロ・・・あれ?」

Game over



続く。

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