小説『くっだんねー!』
作者:()

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にじゅうごわ―――付き合ってたの



「はぁ〜あ」

 余り現状はよろしくない、なんでこんな時にあいつが来たんだろうか・・・。

 零はため息をつきながら帰路をトボトボと歩く、HRが終わった後は他の生徒からの質問の嵐だ、ルナさんとはどういった関係なんだーとか、そんなことばかり聞かれ頭ががんがんと鳴り響くようになっていた。

「零くーん!」

 さらに追い討ちをかけるように椎名の声が聞こえる、零は振り向かずに彼女がここまで来るのを待っていた。

 椎名が隣へと来ると彼女は速度を落とし零と同じ速度で歩き始める。

「で? 何の用だ?」

 零が椎名へと視線を移しながら言った。

「私も気になってたんですけど・・・ルナさんとはお知り合いですか?」

「・・・お前も聞くのかよ」

 零はうなだれるように肩を落とすと口を開く。

「あいつとはな・・・なんつーか、小学校の時のダチだったんだよ」

 頬をかきながら少し恥ずかしそうに零は話す。

「そうだったんですか! でもそしたら何で怒ったりしたんですか?」

「ああ? あれは・・・別に」

 椎名から視線を外しそっぽを向く零。

「知りたい?」

 突如零の目の前にルナの顔が現れる、余りのことに零は目を大きく見開く。

 ルナはそんな零を見るとニコリと笑う。

「あ、ルナさん」

 椎名がそう言うとルナはフーンと言ったイジワルそうな目つきで零を見た。

「なになに? もう付き合ってるの?」

「ばっ! んなわけねーだろうが!」

「もうー、昔っからそうね〜何かと自分に都合が悪いと怒鳴り散らして・・・悪い癖よ?」

 ルナはそう言うと零の鼻をツンとつつく、零はばつが悪そうにそっぽを向くがそちらには椎名がいる。

 四面楚歌とはこのこと。

「で? 何でお前はここにいるわけ?」

「べっつに〜、ただ、久しぶりにゼロの顔を拝見したいだけよ〜」

 ルナは目を細めながら零の肩に手を置く。

「で? 彼女とはどういった関係?」

 耳元で囁かれた零はビクリと肩に力を入れる。

「別に・・・ただのダチだよ」

 会話からもわかるように彼女の性格はかなり弾けている、皆の前では御しとやかだが、零がいるとなるとかなり自分を見せているのは明らかだ。

「ダチって・・・発展の兆しは無いわけ?」

「ねぇ〜よ!」

 なんだつまらない〜といった表情で零の頬をつつくルナ、段々腹が立ってきた零は肩に置かれている手を振りほどく。

「うぜーんだよ! 消えろ!」

「ほらまた怒った〜」

「うぐぐ!」

 ルナの言葉にかなり困惑気味の零。

 そのやり取りを見ていた椎名は思い切って口を開く。

「あ、あの・・・零君とルナさんはどういった関係ですか?」

「おい椎名! さっきも言っただろうが、こいつとは小学校のときのダチだって!」

 ルナに絡まれながら零は怒りに燃える眼光で椎名に言い寄る。

「だって〜、零君の言葉は信用なりません」

「いつ俺が信用なくすようなことを言った!」

「まあまあ良いじゃない、椎名さんだっけ? 私とゼロの関係知りたい?」

 ルナはニヤリと笑いながら零を見ると椎名に向かって言った。

「はい、しりたいでーす!」

「じゃ、おしえたげる」

「おい馬鹿! よせって!」

「あーもう往生際が悪い! 黙ってなさい!」

 ギンと鋭い目線で零に向かってルナは怒鳴る、それに負けた零は押し黙った、ルナを怒らせると後が怖い。

「よろしい、さて椎名さん私たちの関係だったわね」

「はいそうです!」

 キラキラと目を輝かせながら椎名は彼女の言葉を待った、ルナはニコリと笑うと口を開く。

「私たちね、付き合ってたの」

「え?」

 それを聞いた椎名は目をパチクリさせると零のほうへと視線を移す、その視線を感じた零は居心地が悪そうにそっぽを向いたまま行き場の無い左腕で首筋をかいている。

「本当ですか? 零君?」

「まあ・・・小学校のときだけどな・・・」

 零はチラリと椎名を見る、相変わらずこちらを向く視線は他に移る気配が無い。

「零君にこんな綺麗な人がいたなんて驚きです」

「お前・・・けっこうきついこと言ってんぞ?」

「そうですか?」

「まあ、付き合ってたとは言え、子供の遊びみたいなものよ、ね?」

 ルナがウインクをしながら言った。

「くだんねー」

 零はフンと鼻を鳴らしながら女2人より速いペースで駅を急いだ、だが・・・このあと大変なことが待ち受けていることは思いもせずに。

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