小説『もしもの世界』
作者:餓鬼()

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 係りなどの委員などを決め帰宅した俺は押入れの中のダンボールを引きづり出して中を開ける。

「懐かしいな」

 俺が小学生から中学までのおこづかいを全て使いながら手に入れて入った物がびっしりと入っていた。

「智香は初心者だからな」

 俺は兄貴にもらったM2Dにそれ以外に使う物を一式鞄の中に入れて部屋を出る。

「母さん出かけてくるよ」

 俺の声に母さんが

「智香ちゃんの所ね」

 行く場所がすでに分かっているのは嫌だがあっている。

「何で知ってる」

 その返事が

「だって、一樹はゆっくり出かける時は智香ちゃんの所だもの」

 さいですか。

「智香ちゃんのお母さんにまた出かけましょって伝えといてね」

 それぐらい自分で連絡しろと思いながら俺は靴を履いて玄関を出る。

「行ってきます」

 は〜いと言う返事を聞いて俺は出かける。



    ◆


 やばい、部屋を片付けて無かった。

 あたし倉本智香は今日一番の難関にぶつかった。

「一樹が来るのにこの部屋はないよな」

 服は直してあるけど机の上の原稿が散乱している。

「だからばれるんだな」

 今日の朝の一言を思い出しながら一樹が来る前に引き出しに入れて入ったが

 ピンポーン

 タイミングいいのか片し終わった所に一樹が来た。

「良かった」

 あたしは一息ついて安心していたが

「なにが良かったんだ」

 声が聞こえた方をゆっくり見ると一樹が部屋に入って来ていた。

「お前、まだ制服かよ」

 あたしの服装に突っ込みながら床に座る。

「な、なんで一樹が部屋に居るんだよ」

 あたしは止まっていた思考が動きだし一樹がいることを聞くと

「ああ、おばさんが丁度玄関にいてさ」

 チャイムを鳴らしたのは近所のおばさんで一樹は数分前に来てお茶を飲んでいたらしい。

 あたしはそれを聞いて

「なんですぐに来なかったんだよ」

「だって、お前が片付けるのを待ってたからだよ」

 人の部屋の中を把握してるのか

「なんでそんなこと分かるんだ」

「一階にいたらさ二階でばたばたする足音が聞こえたからな」

 そんなにバタバタしてたなんて

「それより早く終わらせようか」

 そう言って一樹は鞄を顔の位置に持ち上げた

「そうだな」

 あたしは先に部屋を出て自分の部屋に向かう。



   ◆


 智香の部屋に行くと

「まぁ、片付いてるな」

 いつも窓から見える部屋よりきれいだな。

 智香は振り向いて

「なんだよその言い方」

 俺はため息を吐きながらパソコンの前まで行く。

「電源付けるぞ」

 俺は智香が許可出す前に電源を付けた。

「勝手につけるなよな」

 智香は俺の頭を叩いた後、椅子に座ってパソコンの画面を覗いている。

「さて、早く終わらせるか」

 俺は早めに終わらせたく急いでインストールを開始した。

「それにしてもさ」

 インストールが長いのか智香が話しかけてきた。

「どっした?」

 俺はパソコンの画面を見ながら返事をした。

「一樹って慣れてるよな」

「なにが?」

 意味が分からなくそんな事しか言えなかった。

「何がってパソコンとか機械の事に詳しいよな」

 その事か。

「そこまでは詳しくないなコレだって兄貴に教えてもらったしさ」

 教えてもらってはいない逆に教えたがなw

「そっか、お兄さんか」

「そうそう、俺が詳しいわけないだろ」

 早く終んないかな。

「おっ、終わったな」

 俺は鞄からM2Dを取り出しパソコンに繋ぐ。

「後は起動してキャラを作ったらいいから」

 そう言って智香にM2Dを渡して鞄を持って立ち上がる。

「えっ、帰るのか」

 突然で驚いたのか智香の驚いた顔を見た。

「帰るって、俺の方も準備しないとダメなんだよ」

 インストールは終わってるけどキャラは出来てないんだよな。

「そうだな」

「なら、キャラが出来上がったらマクアヌのゲートの前に居てろよ」

 そう言い残して俺は部屋の窓に向かった。

「って、そこから帰るのか!」

 こっちに何か隠してるのかと思ったがそれはないと思い

「すぐに作るからちゃんと待っとけよ」

 靴を一応、持って上がって来ていたのでベランダに出て自分の部屋のベランダに向かって飛んだ。

「ふぅ、意外に距離があって怖いな」

 無事に着地することが出来たが少しだけ危なかった。

「さてと始めるか」

 部屋に戻った俺は自分の部屋ではなく兄の部屋に向かう。

「パソコン使うならココだよな」

 兄のパソコンは処理速度が速いために使うのにとても便利だ。

「コレを置いて上京したのは間違いだな」

 俺は悪い笑みを浮かべながら『The World』を始めるためにM2Dを被る。

「コレを付けるのも久しぶりだな」

 懐かしい感覚に浸りながらもやる事をしていく。

「さて、ジョブは何にしようかな」

 R:1の時は双剣士(ツインソード)だったんだよな。

「新しいのが増えてるよ」

 前は無かったのが増えていて興奮していたが

「そうだなここはコレだな」

 俺は錬装士(マルチウェポン)を選んだ。

 選んだらたくさんの職業が出てきてポイントが付けられている。

「4ポイントになるように選ぶのか」

 俺は考えながら選んでいく。

「これでいいか」

 キャラも作り終えた。

「前と一緒だとログインしたらマクアヌのゲート前だよな」

 そう思いながらログインしたら

『お帰り』

 そんな声が聞こえたような気がする。

 ロード画面から風景に変わり俺は

「帰ってきたんだな」

 そう呟き周りを見渡し智香のアバターを探す。

「こんなことならキャラを作るまでいとけばよかったな」

 俺は頭を掻きながら探していると赤髪の女のアバターがきょろきょろしているのが見えた。

「あれじゃないだろうな」

 俺は呆れながらも近づいていく。

「おい」

 俺が話しかけたら振り向いて

「えっと」

 何を言おうか迷っているのかと思いながら俺は話しかける。

「俺だよバーカ」

 その言葉を聞いて

「なっ、いきなり話しかけるから驚いただろ」

 智香は怒りながらも待ったことに対しては何も言わなかった。

「それよりメンバーアドレス交換だ」

 俺は智香にアドレスを交換した。

「揺光か」

 智香らしい名前だなと思い笑ってしまった。

「なに笑ってるんだよ」

 揺光は顔を赤くして怒りだした。

「なんだよお前なんてアスノって」

「悪い、悪い、揺光ってお前らしいと思ってさ」

 そんな事を言ったら揺光の顔が真っ赤になった。

「なんだよそれ」

 本当に俺はここに帰ってきたんだな

「それじゃ、行こうか」

 俺はカオスゲートに近づこうとしたら

「ちょっといいかな」

 知らない男が話しかけてきた。

「はぁ、なんでしょうか」

 多分、ダンジョンに誘ってPKしようと考えてるよなと俺は思った。

「君達初心者だろ? 良かったら僕が」

 と言いかけたとこれで俺は右手を前に出して。

「大丈夫です、俺達二人で行きますから」

 と言ったが

 揺光が俺の腕を引っ張って

「ちょっ! なに言ってんのアスノ」

「なにって何だよ」

「せっかく教えてくれるのに断るなよ」

 まずはここから離れるために。

「では、俺たちは行きますんで」

 俺は素早く入力する『Δはじまる キミの 眠り姫』と打ち込む。

 ワードはここに来る前に掲示板で回収しておいた。

 俺と揺光は転送されて転送が終わったら。

「なんで断るんだよ」

 まだ怒っていた。

「なんだ、俺が言えるのはアイツはPKだよ」

「嘘だろ」

 揺光は驚いていた。

「まぁ、俺達が初心者だから教える振りをして最後にPKでもするつもりだったんだろ」

 その手のPKは多いらしいからな。

「それより証の欠片を集めようぜ」

 獣神殿に行くのがこのワードのミッション

 歩き出そうとしたら揺光が

「でもさ、なんでワード持ってるんだよ」

 俺は頭を掻いてから

「なんだ、あんな奴がいると思ったからBBSとかで書き込みしていたら初心者ギルドの人がワードを教えてくれたんだよ」

 名前はシラバスだったかな?

「ギルドってなんだ?」

 そこからですか

「揺光に分かりやすく言うとサークルみたいなもんだな」

 揺光はそれに納得してそうかそうかと頷いていたが

「なんでアスノはサークルの事知ってんだ」

 睨んできましたよ。

「まぁ、それよりいこうぜ」

 俺は走りだし逃げる。

「あっ、待て! アスノ現実で覚えてろよ」

 怖いことを言いながら追いかけてくる。

 まぁ、何も無ければいいんだけどな。

-2-
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