小説『もしもの世界』
作者:餓鬼()

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「遅い!」

 俺はドームの中に入り揺光の下に着いた一声がそれだった。

「済まない」

 俺は謝りながら八咫の話を思い出す。

 ダンジョンに現れる黒い泡にカイトに似た者の事を

「今日はここに行くぞ」

 揺光にパーティに誘われて行くダンジョンはボス撃破のクエストだった。

「おいおい、宮殿を目指すじゃダメなのか」

 ボス撃破のクエストは大体が設定レベルが高い。

「なんだよ、アタシのレベルが自分より低いから言うのかよ」

 俺はその言葉に少し疑問に思いステータスを見ると

「なっ」

 自分で自分のステータスを驚いた。

「なに自分で驚いてるんだ」

 揺光に心配されるが俺はステータスを見たまま固まってしまった。

 なぜなら、この腕輪を貰う時よりレベルが上がりすぎている自分も揺光も

 いったいどうなってるんだ?

 俺が考えていると顔を覗き込むように揺光の顔が近くにあった。

「今日はやけに驚いた顔をしてるけどどうしたんだ?」

 今日だと! 揺光とクエストに行くのは数日ぶりだと俺は最近の記憶を思い出すが思い出せない。

「昨日もこの時間にクエストに行ったのか?」

 俺はこの疑問を揺光に聞くが

「なにバカなこと言ってんだ? 昨日はイベントクエストに行っただろ」

 最近のメールにイベントクエスト近日公開のメールは来ていたがもう解禁していたのか

「今日はリベンジに行くんだろ」

 そんな事を聞いて俺はこれ以上時間の無駄を考えて

「そうだったな忘れてた」

 どうして俺の記憶が覚えてもいないのにステータスが上がっていることに対しての疑問はいったん置いて置いてクエストに出る。

「まぁ、行くか」

 俺たちはダンジョンに転送されて揺光に尋ねる。

「一言聞いていいか?」

 俺は横を向いて尋ねる。

「どうしたんだアスノ」

「アリーナに出るのはいいが三人目のメンバーは決まったのか?」

 俺は出るにあたってのルールなどを見てみたが二人でも出れるが相手のメンバーは大抵が3人で出てくるから3人いた方が得である。

「あっ」

 揺光は驚いていた。

 まさか考えて無かったのか

「お前、考えて無かったのかよ」

「むぅーレベルあげるのに忙しくてそんなの考えて無かった! アスノ、なんか誘える人いないか」

「少し待ってくれ考えるよ」

 俺は腕を組んで考えていく。

 誰かいなかったか……初心者ギルドカナード

「いたな!」

 俺は顔を上げて叫んだら揺光が驚き

「いきなり叫んでどうしたんだ」

「このクエストが終わったら聞いてみる」

 話が終わり俺たちは目標と戦うために前に進んでいく。

 敵と戦いが始まり攻撃中心で回復薬がいなく大変だが敵を倒していく。

「揺光も腕を上げたな」

 敵を切り裂き言う

「何回も操作してたら慣れるよッ」

 と言いながら敵にアーツを放つが敵は健在である。

「それで倒していたらかっこいいんだがな」

 俺は敵を倒し終えて揺光が相手している方にアーツを叩き込む。

「これで終わりだ」

 攻撃が決まり相手のHPを削り取った。

「いい所持っていきやがって」

 揺光に愚痴を言われながらも俺は経験値の値を見ながら計算をする。

「これでとボスは少し辛いか」

 話を聞いてないと思った揺光は

「話聞いてるのかぁー」

 耳元で叫ぶように声を上げた。

「聞いてる」

「なら返事しろよな!」

 無駄なところで怒られても知らん

「それよりお前も経験値の計算をしておけよ」

 その言葉に首を傾げながら

「何でだ?」

 と聞いてくる

 この発言は初心者然りゲーム初心者の人が大抵言う言葉だ。

「ゲームでもレベルがあるゲームは敵を倒したらどれくらい得するかを計算して経験値を稼いでいくんだよ」

「それぐらい敵を倒せばすぐに稼げるだろ」

 きたよ、初心者発言

「そこが甘いんだよ」

 俺は腕を組んで長話する体制をとる。

「敵でも数をこなせばモーションが分かってくる、それと同じで倒せば一体でどれくらい稼げるかを計算しながらやるんだよ」

「同じ敵でも稼げる経験値が違うと」

 揺光は覚えるために言葉にした。

「分かった所で経験値稼ぐぞ」

 俺は一歩前に出て前を歩く。

「本当にアスノも初心者なのか?」

 揺光が疑いだしたが

「まぁ、色んなゲームしてたらそんな知識が入ってくるんだよ」

 俺は口から出た嘘でその場を乗りきろうとしたが

「いや、アスノってゲームあんまりしなくね」

 うっ、こいつ俺の部屋何回か来たぐらいなのに部屋に置いてる物を把握してやがる。

「ほら、兄貴のゲームとかするから」

「そうだったな」

 兄貴がゲーム好きで助かった。

「でっ、設定レベルに到達したけどボスと戦わないのか?」

 唐突に話が変わったが揺光はレベルが到達したから言ったのだろうが

「それは止めた方がいいだろ」

 俺はここでも説明に入る。

「まず、目標レベルはあくまで設定だ」

「ボスを倒すのにお前は目標レベルに到達したから戦いに行くか?」

 俺が聞くと揺光は

「おう、戦いに行くに決まってる」

「それだとボスに倒されて今まで稼いだ経験値が無駄になる」

「ボスに挑むのに目標レベルで戦いに挑むのは間違っている」

 俺は何かに取りつかれたように話し出す。

「ボスを挑むにはレベルをコツコツあげて戦うと生徒会●一存でも書いてあっただろ。そしてお前の様に戦いに行くものは倒しきれずに負けてくるのが落ちなんだ! だから、レベルをちゃんとあげてこれならいけると思った時に行くのがゲームなんだよ!」

 俺は言いきったように胸を張る。

「あたしが間違ってたよ」

「なら」

 俺が言い終える前に

「なら今からボスに挑もう」

 何でそうなる!

「待て、俺の話を聞いていたか?」

「聞いてたぞ、ボスが一番強いんだろ」

「……」

 どうしよう、こいつ何だかアホの子みたいに見える。

「よし数分考える時間をくれ」

 おいおい、どうなってやがるコイツの思考が読めないだと。

 この考えている時間の間、揺光は暇そうに待っている。

 考えるんだこいつが戦闘大好きっ子になってしまった理由を考えるんだ。

「そうか」

 俺も最初の頃に体験したことがある。

 戦いに勝ちすぎて負けることを知らない……なら、やるべき行動は決まっている。

「よし、ボス倒しに行こうぜ」

 俺は振り向いてそう言ったら

「おっ、やっと行くのか」

 と呆れながら言われて数分後

「おっし、次に行こうぜ」

 普通に勝ってしまった。

 負けようとしたのに

「はぁ」

 俺がため息を吐くと

「どうしたんだ、ため息なんか?」

 顔を覗いて聞いてくる。

「いや、何でもない」

 次はどこに挑むんだろうなそう思いながらマクアヌに戻って行く。

-6-
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