小説『恭子』
作者:ハピにゃん()

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バイトの休憩時間、今で言うデコスイーツを作っているメーカーの営業マンである山本さんが店長と休憩室に入ってきた。

休憩室は狭く、横に3人並ぶといっぱいになる。

私の隣に山本さん、そして丸椅子を持って来て斜め前に店長が座って、商品についての商談を始めた。

一人で寛いでいたところに、どかどかと男2人で入ってきて、真面目な仕事の話をし始めたので、寛げなくなった。

私は内心『近くの喫茶店でやればいいのに・・・』とちょっと不機嫌に。

暫くすると店長に電話が入り、店長が中座した。

山本さんと2人になり何となく気まずい空気が・・・

突然、山本さんがパンツの後ろポケットから免許証入れを出し、中の写真を私に見せた。

「?」

写真は車の写真だった。

山本さんが

「どう?いいでしょ?」

と聞いてきた。良くわからないときは同調が一番!

「うん。かっこいいね。山本さんの車なの?」

と差し障りのない返事をした。

山本さんはニコニコしながら

「でしょ〜!今度一緒にドライブに行かない?」

と・・・

写真を見せていきなりドライブの誘いをするなんて・・・でも、ドキッとした。

そんな誘われ方をした事がなかったから・・・

山本さんは名刺の裏に自宅の番号を書き

「日曜が休みだから!土曜日までに電話してくれる?8時過ぎには家にいると思う。」

と、どんどん話を進めていった。

そんな急にあれこれ言われても・・・何をどう返せばいいのかわからない。

それに私、つきあっている人が居るし・・・

色々と頭の中で巡っているうちに店長が電話を終えて戻ってきた。

私の休憩時間も終わってしまい、何も話せないままお店に出た。

暫くすると、店長と山本さんが休憩室から出てきて、倉庫へ向かうようだった。

山本さんは、私の方を見てニコッと笑いウインクをして、倉庫の方へ行ってしまった。

そのまま山本さんはお店には戻らず、帰ってしまった。



・・・とりあえず、今晩電話してみよう。

電話で、付き合っている人が居る事など詳しく話せばいい。そう思った。

-3-
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