小説『気がついたその時から俺は魔王』
作者:VAN(作者のブログ)

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そして、俺は再びこの夜の学校に来ていた。
ただっ広くそびえ立つ我が母校。なのだが……

「あー忌々しいぜちくしょう……」

このちょっと他より広いだけの平凡な学園に、2日連続でくることになるとはな……

「――というわけです。手筈通り、11時を周るころに作戦を始めます」

そんな学園のある教室に、俺と愛奈が二人きり。
聞こえはいいが……っていうか、ちょっといやらしいが――決してこいつとそんな甘い関係があるわけではない。まぁ、当然ではあるがな。
ちなみに2人とも制服姿なのは、あれから自宅に帰っていないから、という単純な理由からだ。

「聞いていますか?」
「――すまん。何言ってるかサッパリだ」

お手上げと言わんばかりに俺は両手を上げた。その態度に不満を持ったか、呆れたか、愛奈はただ無感情に息を吐いた。
あの後、尚人と愛奈から忠誠の誓いとやらを頂いた俺は、さっそく魔王の仕事とやらを一緒に頂いた。

「いいですか? おそらく、今日の11時ごろに我が魔族の敵――勇者がやってくるはずです。裏付けもあります。勇者は必ず来ます。そして、学園中にあなた様の下僕である魔物を放っておきます。その魔物達の相手をして疲れ切った勇者を、あなたが倒してください。これが本日の作戦です」
「……なんか卑怯だな」
「魔王が器の小さな事をいわないでください」

俺の言葉を一言で下しやがった。尚人もそうだが、俺の臣下っていうのはどうも口が悪い奴らだな……

「とにかく、そういうわけです。もう説明しませんよ」
「あぁ、わかったよ。とにかく、俺は待っていればいいんだろ?」
「……まぁ、簡単に説明すればそうです。勇者が魔王を見つけるまでは、魔物達ができるだけ勇者の体力を削ります。逆に言えば、あなたの戦いを邪魔しないために、あなたと勇者が接触すれば魔物は消えます」
「魔物が勇者を倒すっていう事はないのか?」

俺の素朴な疑問に、愛奈はめんどくさそうに眉を寄せながら説明する。
いや本当に失礼だなこいつ。

「魔物程度に倒される人が勇者って言われるわけないじゃないですか。勇者は――そうですね……言わば学園でいう生徒会です」
「ほぉ。つまり選ばれた人間っていうやつか」
「そういう事です」

これはわかりやすい例えだな。
まぁ、一般人の俺がまともに戦って敵うわけないから……まずは魔物と戦わせる、ってことか。

「報告は以上です。他に質問は?」
「いやない」
「……では私から一ついいですか?」

ジト目でそう問うてくる愛奈に俺は、なんだ、と尋ね返す。すると、愛奈はしばらくの沈黙後に、口を開いてこう尋ねてきた。

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