小説『家族を愛する男』
作者:()

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第三話 −決闘のお約束−



「西!! 葛城 五道!!!」

「うぉーー!!! がんばれー!!!」「やっちゃってー!!!!」「俺の昼飯ーーー!!!!」

「東!! 平次 凡事!!!」

「よっしゃー!! いけいけー!!」「かましてやれー!!!」「俺の昼飯のために死ねーーー!!!」



すっごい応援ですな〜。いやいや、本当生徒数多いよな〜

辺りを見渡し、それが最初の感想だった。そして、次の感想は……



「どうしてこうなったかな〜……」

「来い!! 凡人!!! 俺が相手になってやる!!」

「……………計画が狂ったかな〜」



そう、思い返せばそれはつい一時間前に始まった事だった

俺と百代さんが毎日と同じよう、お互い男女という差別がなく気軽に話し合っていたときであった




―――――――一時間前

あぁ〜、今日も勉強お疲れ様で〜すって感じだわ

机に上半身を任せ、俺は溜息を何回もする。そして何回も思う

勉強つらっ!!! 



「おぉ〜、何か勉強つらって顔してんな」

「どんな顔だよ。俺はそこまで顔に出していないぞ」

「思っているんだな。なんか、だんだんとお前の考えていることがわかってきているぞ」

「いやだわ〜。ストーカーですか? 変質者ですか? ひくわ〜」

「顔面めり込むぞ?」

「すんませんした!!!」



めり込むって何がと思ったが、笑顔で言われ俺は野生の本能で対応した

これは弱肉強食!? 

百代さんは笑いだし、俺も笑う。そう、これはたあいもない日常の会話だと実感できるからだ

こいつと話していると、何か楽しい。何かはわからないが楽しい

お互い笑いあい、ふざけあえる環境は学校しかないかもな〜

そんな時間を有意義に過ごし……



「おい、お前。さっきからうるせぇんだよ」



せないッスよね〜

突然横から男子生徒に話しかけられ、俺たち二人は視線をその子に向ける

男子生徒は一瞬百代を見て赤くなったが、すぐさま目つきを変えて視線は俺に



「お前。転入してからうぜぇんだよ。んだよお前、うるせぇし、ムカつくし、気持ち悪いし」

「そうですか〜。それはマジごめんだよな」

「謝って許されるか。それに………」



それにと次を言いたそうだが、何故かまた赤くなりだした

百代さんを見ているな……。そうか、何となくわかっておこう



「あぁ〜。百代さんはこの一年生の中ではダントツ可愛いし綺麗ですから、一目惚れとかになったのか〜? そして転入生の俺が妙に百代さんと仲良くしているからそれに嫉妬と………。どうだ、俺の推理は? 天才的だった?」

「な…………/////////!!!!!?????」

「ん…/// 何か恥ずかしいな……///」

『つかあんた全部あっているけど、言っちゃってるーーーーー!!!?!?!?!?!?!?』



クラスに居る男子や女子も俺を見ている

男子生徒は、顔がトマトみたいに真っ赤になり突然ワッペンを取り出した

そのワッペンを思い切り俺に目がけて、一直線で投げてきた

クラス全員はその行動に驚いている

まぁ、一見見れば怒って物を投げるタイプだと思うけど……



「決闘だ!!!!! 今すぐ決闘だ!!! 校庭に待っている!!! 逃げるなよ、弱虫!!!」

「えぇーーー!!!!! 決闘とか、何かダル! やる気が「先に行ってるぞ!!」」



川神学園が考えた、決闘システム。生徒が何か問題を出す前に、決闘で決めようという大胆ルール

めんどくせぇま〜。ドンパチとか、喧嘩とか興味ないし〜

俺はそのまま席に座ろうと、椅子を引いた



『うぉおおおお!!!!!!!』

「へ?」

「よっしゃーー!!!! いつも先輩達のを見てたから、同学年のも見たいからな!!! 校庭に行こうぜ!!」「きゃぁーー!! 何かテンション上がってきたーー!!」「一人の女を争う、男性二人……!」

「五道、私は行っているから……無理はするなよ」



全生徒が動き出した。放送が流れる前に、全員がだ

俺のクラスは誰一人も居なく、シ〜ンとしている






























「いっか。あとは任したよ」

「はいはい、行ってきますよ〜っと」






























そんで今の状況ってわけよ? めんどくさくね?

三人称side


五道と凡事はお互い見合い、開始の合図を待っている

学園長は手を挙げ、そして……



「はじめ!!!!」

「うおぉぉぉぉぉぉおおお!!!!!」



先に仕掛けたのは凡事であった

片足だけでに力を思い切り入れ、距離を詰める。五道はただそれを見ているだけ



「アチョー!」

『ヒュン!』



すさまじい上段蹴りが、五道の頭に近づいた

五道はすぐさま防ごうと、右耳の所に手をそえた



『ドガッ!』

「くっ………!! まんま当たっちゃったよ……」

「運がいいな。今のは確実に手の骨がイッテたと思ったが、まだ大丈夫そうだな……」

「頑丈だけが取り柄だからな」

「ならもういっちょ!!!! アチョー!!」

『ヒュン!』



またも凡事の右足が凄い速さで、五道の頭を狙う

五道は今度こそと手をそえて、当たる瞬間を見極めた



『ドガッ!』

「ぐっ!」

「防いでも無駄だぜ。俺はカポエラを習っていてな。こう見えても……達人クラスだ!!!」

『ヒュン! ドガッ!』

「がはっ!」



勢いある蹴りはそのまま槍のように、五道の腹にダイレクトした

しかし運良く両手で防いだが、威力に耐え切れず無理やりに押したように腹に当たった



「五道……」



百代は心配していて、友達がボコボコにされている所を見守っている



「ふん、所詮こんなもんか。やはり川神さんは俺のように強い男が似合うんだ。お前は二度と近づくな」

「はん! 女々しいねぇ」

「あぁん!? どういう意味だ!!」



五道は腹を抑えていた手を、自然体に戻す

そして顔が勝利の顔つきになっていた



「一人の女に、そこまで執着するなんてよぉ。しかも近づいたやつは徹底的に倒す……自分勝手すぎんぞ。この妄想野郎」

「き、きさま!!!!!」



凡事はそのまま一気に後ろに下がった

そしてすぐさま五道に向かって走ってきた



「人生は、他に楽しい事がいっぱいあんだぞ!!」

「うるせぇぇぇえぇえ!!!!」



勢い付けた回し蹴り。五道は手もそえず、ただ単に脚を睨んでいる

そして口を開け、こう呟いた



「『見切ります』」

「おらぁぁぁ!!」

『ビュン!!!!!』



脚はだんだんと五道の顔面に近づく。一間の終わりと、百代や他の生徒達も目をつむった



『ガシッ!』



しかし、生徒たちが想像とした効果音ではなかった

一人一人目を開け、内心驚いている



「なっ!?」

「見切った!!! さぁ、どうする!」

『ググググ!』

「どうするも何も、こんなんで降参何か出来るか!!!」

「………………………」



誰もが五道の勝ちだと思った。五道は凡事がやった脚をかいくぐり、手で掴みとめた

百代も喜んでおり、近づこうとする



「………降参しますわ」

『え?』

「は?」



歓声から無音となった

五道は手を放して、そのまま校舎に向かった



「お、おい!! お前の勝ちなのに、何で降参しちゃうんだよ!? 頭可笑しいのか!?」

「たかが脚を止めただけで、勝てるとは思わないっしょ。そして百代さん、それはアンタだよ。何てね」



校舎側に溜まっている生徒達を退かして、中へと入った



「は、はははは!! あいつ、俺の強さに完敗しましたよ!!! どうです、これが弱者と強者ですよ川神さん!!」

「五道……………………」

「………おや、平次くん。脚は平気かね?」

「学園長!! もう勝った喜びで、感覚とかもうないですもん!! 葛城 五道、残念だったな!!!」

「しかし何かひっかかるんじゃ。とりあえず見てみるんで、すそを上げてくれないかの?」

「いいですよ!! どうです学園長、僕の脚は誰よりも硬くて…………っ!!?!?!?!?!?!」

「!?!!?! こ、これは……」

「なっ!? なんだこれは!?」

五道side






























「おぉ〜、まぁ上出来なほうかな?」

「手加減とかマジ無理だった。あんな一般人、すぐ壊せそうだったから」

「あいつ達人とか言ってたけど、見てたら完全に素人だな」

「素人は完全にキツイね〜。本当、いつ壊れるかハラハラだったわ」

「おう、ありがとな」

「そんじゃ、またな」






























「ふぅ………疲れた」

教室でただ一人憂鬱に座っている

校庭は騒がしいし、ゆっくりのんびりできるなぁ



「おい五道!!!!」



ゆっくりものんびりできねぇ

突然ドアから百代さんが飛び込んできて、俺の目の前に立っている

たく、そろそろか〜?



「私はお前が気に入った!!!」

「…………ちょい計画が狂ったな」

「お前との学園生活、楽しめそうだ!!!」

「あっそう。こっちもな」

-3-
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