小説『家族を愛する男』
作者:()

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第四話 −現在という今この瞬間−



どもども〜、葛城 五道君で〜す

今回はテンションを上げてやっていきたいと思いますので、よろしくお願いしま〜す

ではでは、現在の報告を言いますと………………

『めんどくせぇ』

本当に今の俺にはこの言葉がお似合いだし、全く参ったよ

あれから数週間の時間が経った

俺の学校生活はガラリと変わった。そう、『人気者』となったって言った方がいいかな?

朝、俺が8時30ギリギリにクラスに入ったら……



「五道!!! おはよう。また今日も遅く来たな!」

「おう、おはようさん」



川神 百代という武神さんが俺に話しかける

そうこのクラスの最初に話しかけられるのは、こいつぐらいしかいない

百代さんに続くように、ゾロゾロと俺に話しかける人間ども

俺はそれを笑い続け、内心疲れ切っているの知ってんのかボケェ

おっと、今のは忘れてくれよ? はははははは!!!!

そして勉強という戦いをひと時終え、次は昼という地獄だ

俺はただ静かにゆっくり食べれる空間が好きだ。誰でもそうだろ? 皆と騒いだら、いつの間にか昼過ぎてご飯食べれなかった時?

俺は机から一歩も動かず、鞄から弁当を出して手を合わせて



「いただきます」

『グルン!』

「いただきます!」

「……………………」



世界が反転した気分だ

目の前が黒板だったが、いつの間にか百代さんが視界いっぱい入っていた

机をいつの間にか回転されてたか……どんだけーーー!!!?!?!?



「いや〜、今日の数学の小テストはあせったな」

「良かったじゃねぇか。これで僕たちの少ししかない脳みそが一歩進化したんだから」

「私とお前だけ赤点ギリギリだったよな。前よりか退化しているし」

「終わった……」

「おい、何背景を真っ白にしてんだよ」



箸を進め、弁当の中身を口に含ませる

今日はから揚げに、きんぴら、卵焼き……その他もろもろだな



「私はそれよりか、これが壊れたことに落ち込んだよ」

「あん? ウォークマンか?」

「あぁ」



百代さんがポッケから黒い小さなウォークマンを取り出した

一旦箸を置き、手を動かす



「貸してみろ」

「あ……」

「ん〜……一見見れば壊れてそうな部分はないが、妙に中がシャカシャカ言うな……」

「あ、あはははは! それはアレだな? 内部が壊れて、アレだよな?」

「アレッスね〜。僕の推理だと、何処かのバカ力女が力一杯握って、何処かの部品が破損してその小さな破損した欠片がこのシャカシャカの正体と見『ドゴ!!!!』げふっ!?」

「全部言うな……///!」



っつ〜、頭を思い切り殴るなんてありえないだろ



「けれど、これなら直せるかもな……」

「ほ、本当か!?」



百代さんが急に俺に顔を近づくせる

ッ!? こんな美人な顔が近くに来ると、ちょいと照れるな



「俺の『家族』にこういう修理とか得意な奴が居てた、今度そいつに頼んでやろうか?」

「ぜひ頼む!!!」

「はいはい、じゃあ今電話するから」

『ピ、ポ、パ』

『トゥルルルルルル ガチャン!』

『何の用だ』



電話向こうに聞こえる、低温で王道のような声

こいつと話すとさらにめんどくせぇんだよな



「俺だ。すまんが、電話してそうそうすまないがお前に頼みがある」

『ほぅ、我に頼みとはとんだ革命児だな。この我に頼めるのは、我自身だからな!!! フハハハハハ!!』

「頼むぜ、方円? 機械とかならお前が得意だし、な?」

『まぁよいだろう。そのたのその度胸に免じて、我が何とかしてやろうではないか!!!!』

「あんがとよ。んで、頼みって言うのは――――――――」



その後数十分ぐらい会話をして、何とか話はまとまった

つかあいつ声がデカいし、めんどくせぇ会話になるし……まぁいいけどね

ふと気付いたが、百代さんは俺を見て何故か微笑んでいたな。何でだろう?

そんでもって、やっと一日目最後の時間の放課後だ

俺は鞄に色んなのを入れて、帰宅する準備をする

おうおう、窓から見たら幻想的だね〜。まるで空が………いや、いいや



「あれは忘れたんだ、もう……」

「何をだ?」

「うおっ!? 何だ、百代さんか……」



気づかなかったとは、まだまだ未熟だな俺は

体勢を整え、深呼吸をする



「何のようですか、百代さん?」

「はは、今日一緒に帰らないか?」

「ん〜。別にいいよ? 俺も暇だしな」

「よぉし、なら行こうか」

































「おぉう、川神ィ!! 勝負じゃ!!」

「俺たち『川神バスター』をコケにした分、おとしまえつけちょるけんどぉ!!」

「典型的な不良だな〜。やっぱしくったな〜」



まだ帰りの途中の五道君だってのに、ずいぶん嫌な展開だな〜

百代さんは溜息をし、すぐさま拳を構え……



『ドォォォン!!!』

「吹っ飛んだ吹っ飛んだー? どれくらいなんだろうか」

「行くぞ、五道」

「はいはいっと」



何故か不機嫌な、百代さん

それもそうか、こんな雑魚相手にしても自分の潤いにはならないからな

むしろ高まりだすその『欲』。俺には見える、アンタは『欲』の道に進みだしているのを……

何て、カッコいい事思っている俺が恥ずかしい!



「……お前は怖がらないんだな」

「ん? 何を?」

「私がいっつも不良たちに絡まれているのに、それを簡単に吹っ飛ばす私に」

「……………………」



急にシリアスな感じになったな



「私は爺と同じ、化け物なんだよ。最初は誰も私が川神の孫だと知らず、男や女も寄ってきた。けれど………皆は私が見せた『力』に恐れる」

「それが人の性ってわけですよ」

「けれど戦いは止められない。何れは私を倒すものが現れるまでな……。お前が初めてなんだ」

「何が」

「初めて私を恐れなかったのは」



孤独が生み出した、 『力』というものねぇ

俺はただ聞く事しか出来なかった



「ファミリー以外初めてかもな、お前が」

「そっか……。なら、これじゃあ意地が何でもお前の友達は止められないね」

「え?」



さっきまで差があった距離が、いつの間にか縮みだす

百代さんと俺が隣になった



「へへ、ファミリーさんの代わりといっては何だが……学校でもどこでもお前を一人にしねぇよ。俺とお前は友達だからな」

「!?!!?!? ………あぁ///」



彼女は安心した表情になり、俺の答えに答えてくれた

そう、こんなめんどくせぇ日常だが……めんどくさいもいいかなと思った

































「おいテメェ等、起きろ」

「うぅ……はっ! テメェはさっき川神と居た男!!」

「こいつ、何上から見てんだぁ!」

「たく、突然呼ばれたて命令されたから来たものの……んだよ、こいつ等」

「あぁ!? やんのかテメェ!」

「ぶっ殺すぞごらぁ!!!」

「はぁ〜…………うぜぇんだよ」

「「!!?!?!?!?!?」」

『ガシッ!』

「うぐっ……」

「は、離せ……」

「良く聞け、バカ野郎ども。川神 百代は……俺の得物だ。調子のんなよ!!!!!」

「「ひ、ひぃぃぃぃぃぃ!!!!!」」

-4-
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