小説『家族を愛する男』
作者:()

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第五話 −質問+返答=意味不明−





「ふぁ〜…………」



大きな欠伸をしながら、とぼとぼ通学路を歩くの普通の五道くんです

あれから一か月という、まぁ短いのか長いのか全然わかんないけど過ごしてきました

よく周りからは『苦労人』と呼ばれたりしています。え? 何故かって?



「おぉ、おはよう五道!」

「やぁ、おはよう百代さん」

「キモいぞ、お前」

「ごめん、俺も思った」



爽やかに挨拶したはずなのに、それを酷く返してくれた人物川神 百代

コイツと一緒にいる事態が、皆にとって驚いているらしい

女の子からの評判はかなりいいが……男子からの評判はいまいちっつーか……



「そんでなぁ? そいつがとても……」

「…………………」

『ボイーン』



俺はエデンの果実を凝視する。いや、別に好きじゃないから? ただ、この状況をうまく伝えるために『わざと』見つめているだけだから!!?

百代さんはとてもスタイルもよく、こういう性格だから男子とも話せる

だからよく告白されるし、付きまとされたり……肉食系と草食系に人気らしい

別にそんなのは関係ないらしい。この人の男子の価値とは『強さ』らしいから、毎回断ったり殴ったりだ



「…………はぁ〜」



小さく溜息し、ギロリと隣の美少女を眺める

こんな人と居るから、よく恋愛系にも振り回される。たく、たまに俺からその男の子に代わりに返事したときはさすがに、ヤバかったよ

だがこれだけではない。彼女は『武神』。人の枠を超えた怪物

そんな彼女を嫌いという人たちはかなり居る。そいつらは百代さんの事を人と見ていない

俺でも感じる。横から何かが纏う異様さを

だからたまに考える。もし俺が居なくなったら、この人はどうなるんだろうか?

こんな数か月間しか居ないけど、何故かそう考えてしまう

だから――――――



「百代さんはさ、もし俺が居なくなったらどう思う?」

「んでも…………は? 何言ってんだお前」

「何、たかが興味本心だよ。よく学校では百代さんは俺といっつも居るからどうなるのかな〜って」



とても良くない質問だ

百代さんは一瞬脚を止めたが、また歩き出した



「そうだな〜〜〜」

「率直意見をききたいな」

「ん〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」



思い悩みながらも、脚を止めない

俺はニコニコしながら、返答を期待する



「あ…………


























     寂しい……かもな」



とても良くない返答だった

何だそれ? 何だ何だ何だ何だ何だ何だ何だ何だ何だ何だ何だ何だ何だ何だ???

頭の中に渦がまくような、疑問



「いやさぁ、お前と一緒に居て……学校も楽しくなったし、それに私と一緒に居てくれる奴なんてファミリー以外にもお前しかいないしな」

「…………………………そっか♪ うん、ありがとな」



お礼をいいながら、俺は百代さんよりも早く歩く

百代さんを通り越し、その先の学生さんたちも通り越す

顔をしたに向け、今の表情を隠す


























「よぉし、今から飯でも食うか。五道」

「……………止めておく」



笑顔で近づいてくる百代さんに、冷たい言葉を吐く

だけどまだ君は笑顔でいる



「そんなツレない事いうなよぁ〜」

「無理だ」

「なぁ、五道「頼むから、これ以上話しかけないでくれ」!?」



今の気持ちを言い、俺はすぐさま教室から出て行った

百代さんは唖然としながら、俺の背中を見つめていた



百代side



ど、どうしたんだあいつは? 機嫌でも悪いのか?

私はそう考えながら、自分の席に座りパンをかじる



「(もぐもぐ)……うまいな、このパン」



そんな事を言っているが、私の感想はただの独り言だった

何だこれは? いつもはこの時間は気分がいいのに、何故かイライラする

大口を開けて、パンをまたかぶりつく










放課後に五道に思い切り話しかけた

あれから一回も話していない。私はついに何かが動きだし、口から五道というのが出てしまった



「なぁ五道。どうしたんだ、今日は機嫌が良くないぞ」

「……………………」

「………まさか、お前!? アレか? アレの日なのか!?」



いつものようにボケをかます。そしたら、あいつはツッコミを入れてくれる

これなら、いつもの五道に戻るだろう



「五ど「百代さん、これ以上俺に話しかけないでくれ。これからも」え……」

「もううんざりなんだよ。お前とこれ以上話すなんて、耐えられないんだよ」

「五道……?」

「もう………お前とは一緒に居られない。じゃあな、また明日」



鞄を持ち、五道はそのまま出て行ってしまった

な、なんなんだあいつは!!!?!?!?!?!?!?

私は心の底から怒りが込みあがり、無意味に机に拳を叩きつけた



『ドォォン!!!!』

「ふざけんなよ、五道……!!!」



だが、怒りの次には何故か体が震えるような状態に

目から流れる、久しぶりの涙も出てきた





























五道side



お前は、たかが一か月でこんなになるのかよ……

じゃあ…………アレは一体なんだったんだよ!!!!

下を見たり上を見たり、首を動かし視点を変える

もう……意味不明だ

そんなときに、また視線を移すとそこには男性二人が居た



「君が葛城 五道だな」

「ちょっとそこまで付き合ってもらおう」

「……………誰だテメェ等は」

-5-
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