小説『家族を愛する男』
作者:()

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第六話 −もう一度という曖昧な言葉−



「さてと、此処は何処だ? という質問してほしいいのか?」

「そんな無駄な質問は結構です。葛城 五道」



 たったいま現在進行形で椅子に縛られている、葛城五道くんでぇす

 俺は今、目の前の美人な女性に尋問されています

 まぁ、外見は軍服着ているから……何処かの軍か?

 まさかと思うけど、俺の『正体』にでも気づいたのか? だが、アレは深く静めたはずだ


「じゃあ、あんたは誰だ? という質問は?」

「……私はマルギッテ・エーベルバッハ。すぐ覚えなさい」

「んじゃあ、マルで」

「調子になるな。次そんな事を言ったら、首を飛ばしますよ」

「言ってくれるじゃねぇーか。見ろ、俺の脚がガクブルにハーモニーを奏でているぜ?」

「…………………」



 カッコ悪いな、今の俺は

 たくよぉ、こんな状況なのにまだムシャクシャするぜ

 窓からはオレンジ色に広がる、空。もう夕方か………



「俺を捕らえて何がお望みですか、マルギッテさんよぉ」

「……………私の使命は、この川神の視察です。この川神は、私たちの国でも有名でしてね……川神院という魔境の地があると聞きまして」



 あぁ、あの硬派武闘派組のか

 たしかに日本中でも有名だしな、川神院っていうのは



「そこで、今現在川神院で現総代の川神 鉄心を超える逸材が居るというので調べましてね」

「なるほどねぇ……百代が狙いか」

「その低い知能でよくわかりましたね。褒めてあげます」



 ありがとうよ、痛い鞭をくらった気分だぜ

 しかし百代が狙いとか、どんだけ暇人なんだかねぇ〜

 ま、そんな事言ったら即ハチの巣にされそうなので言いませんでしたけど



「あなたは何故、あの武神と言われる彼女と仲が良いのか……興味が沸きましてね」

「あのな〜、そんなの普通な俺に聞いても普通な答えしか返ってこないぞ?」

「私を舐めないでほしい。軍の秘密情報で調べたところ、あなたはとてつもなく力を隠しているのはわかっていますから」

「…………………」



 そんな事を聞くなら、何でこんな薄暗い所で聞くのか理解できないんですけど

 これだから、武を持つ人は困るんだよね〜



「はぁ〜〜」

「溜息をついたら、不幸が逃げていくと言いますけど……この状況はのがれませんよ」

「幸せだよ。日本語勉強しようぜ、マルさんよぉ」

「ッ//////!!?!? わ、忘れなさい!!!」

「はいはい。そんで、俺は何であのスーパーなお人と付き合っているかってんだろ?」

「え、えぇ」



 可哀そうだから話を逸らしてやったんだ、ありがたく思え。ほら、あんたの後ろの兵士も若干笑っているぞ?



「大丈夫だ。もう俺はあの人と関わらないから」

「……は?」

「何、ちょいと期待外れだったからな……。川神 百代という存在が普通の人と仲良くなる何てな……」



 まぁ、似ていって言えば似ているからこれでいいか

 マルさんはそのまま考え込み、口を開かす



「そうですか……。では、アナタという存在が居なくなったら、川神は孤独になってしまうんですか」

「…………は?」



 今度は俺がほけた

 ん? 何でそんな結論になったか知りたいんだけど



「待て。何でお前がそんな結論を出すんだ」

「私は川神の行動を一週間見てきました」

「ストーカーか」

「違います」

「ディープラブはいかんな。それにレズとか……」

「だから違います」

「どっちが攻めで、どっちが受けなんだ」

「違うといっているでしょうが!!!」

「○○○とか、○○とかするのか?」

「ッ///!!?! だ、黙りなさい///!!!」



 面白いな、この人

 赤っ面しながら、トンファーを振るうが間一髪さけた



「はぁ……はぁ……」

「冗談だっつーの。んで、何であいつが孤独になるんだ? 俺が普通孤独になるんじゃないのか、あいつと縁切ったから」

「あ、あなたは学校での友人は多数大勢います。けれど、川神はあなたという人物しか興味ないのです」

「……興味?」

「何時か、あなたは休んだことがあったでしょう。その時彼女は、とても暇そうな顔をしながら一日を過ごしていました」

「あぁ。あの時か……」

「いっつもあなたの机を見て、いっつも昼食は友達に誘われても理由がなく断ったり、放課後はいっつも満ち足りない顔でした」

「…………」



 脳裏に思い出す、百代さんとの会話

 あの人はいっつも笑顔で、いっつも嬉しそうだった

 まるで仲間を見つけたみたいに……。なら、俺はそんな人を捨ててしまうのか? 

 …………違う。俺は変わったんだ



「……………本当に、川神とは縁を切ったのですか」



 変わったんだ………

 なら、もう一度リセットが出来るじゃねェか

 自分で変わったと思うけど、それは昔の俺じゃねぇのは皆も承知なんだからな

 たく、私情を持つのは禁物だけどたまにはいいか



「……ははははははははははは!!!!!!!!!!」

「!? どうした、急に笑い出して」

「いや何、まさかあんたみたいな人に言われる何てな」

「??」

「あんた……最高だな」

「ッ///!?」

「それに可愛い」

「や、やめなさい///!!」

「いやいや、お世辞にもほどがあるってのはあるけど、美人だし可愛いし」

「そ、そんな事言っても…///」

「好みのタイプっていうのかな?」

「へ…///」

「マルって呼んでもいいかな?」

「そ、それは……///」

「なぁ、マル」

「ちょ///!!?!?! そ、そんな……軍に入って、女を捨てたのに…/// あ、あなたの御好意を嬉しいのですが、まずはお互いを知ってのうちにまずは友人からで/// 次に……もし次に恋人となって/// そ、それで……「すみません…」なんですか!?」



















「逃げちゃいましたよ、彼……」

「え…………」 






























「はぁ〜〜〜〜…………溜息つくと、不幸は逃げていくとは言うが……とんだ迷信だな」

「だから幸せだって」

「って、何でここに五道がいるんだ!?」

「いや、ここ俺の家の近所だから」

「初めて聞いたぞ!!」

「初めて言ったからな!!?」



 百代さんがポツポツ独り言言いながら歩いていたから、声をかけてしまった



「……ご、五道は私に何かようなのか!? わ、私はなんも用もないし不満もないぞ!?」

「いや何、百代さんにとんでもなく用事があるんだよ」

「そ、それは一体なんだ!? 明日でもかまわないが……ま、まぁ今言ってもいいけど!!?」

「百代さん、俺と友達になってくれませんか?」

「………へ?」

「友達ですよ」

「フレンド?」

「おぅ」

「イーティー?」

「まぁ、そうだけど」
 


 どんだけテンパっているんだよ

 百代さんは突然顔が赤くなり、若干目がうるんでいる



「い、いいのか。私みたいな奴が友達で」

「みたいとかじゃなくて、俺が選んでいるんだよ」

「は、初めてだ……私からじゃなくて、相手から言われるの」

「そうか♪ なら、俺が初めての相手だな」

「そういう言い方は良くないな」

「うん、俺も思った」

「「………………………」」

「「あははははははははははは!!!!」」

「私は川神 百代!! 改めてよろしくな、五道」

「俺は葛城 五道。五つの道を歩む男! よろしく、“百代”」

「へ////……?」



 今度こそ、俺はこの絆を手放さない

 ありがと、マルさん

-6-
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