第八話 −影とは見えるが見えない物体−
川神院のとある部屋。とても和風の味を出しており、そこに似合う一人の老人
庭には江戸時代を思い出すような、和みな風景
「ふぅ〜…………してモモ、学園生活は楽しいか?」
「突然呼び出してそれか爺。見ろ、素人の爺が淹れた茶のせいで美少女の私の舌が可笑しくなったじゃないか!!!」
「おぉ〜、これは奇妙じゃのう」
「潰すぞ」
「ほぉ〜、言うようになったの。ここはワシの説教が先だが、とりあえず質問に答えんかい」
「たく………」
和室には一人の老人と、一人の少女
かの有名な川神院では、この二人は大黒柱。一人は川神 鉄心。歳は詳細不明、昔に第二次世界大戦に参加したとかしなかったとか
強さは誰もが認めるくらい。だが、そんな彼には孫の百代がいる。川神 百代
容姿は10人中10人が振り返るほどの美人だが、性格は考えにくいひど……じゃなくて、とりあえず変わった人物
「学園はそれなりに楽しいぞ。こないだ、久しぶりに女の子と友達になったからな」
「そうかそうか。お前は一般ピープルにちと拳を与えるから、心配はしたんじゃが……不要じゃったな」
「あぁ。それに、私以上じゃないけど色んな強い奴が集まってくるな。私以上に、変な奴は一杯居るけどな」
「ほぉ、なら例を挙げるなら誰なんじゃ? その変な奴とは」
「そうだなぁ〜〜〜〜」
そう考え込みながら、頭の中の人物像を探し出す
けれど彼女の頭の中では、すでに誰かの人物が見えていたらしい
「五道………かな」
「……彼か。して、何でかの」
「何でって……。まずあいつは強いからだ。あの綺麗な手さばきに、まるで魅入られるような 攻防。そして、だんだんと強くなる成長。あいつが笑い出すと、私も笑い出す不思議さに……」
「ま、まてまて。急に話がそれだしたぞ」
「あいつと一緒に居ると嫌な事も忘れて、あいつが話しかけると私が嬉しくなる。たまに……たまにだけど、胸が熱くなるっていうか………」
「わ、わかったから。お前もそろそろ部屋に戻っていなさい。続きは今度じゃ」
「ちぇ〜、わかったよ。じゃあな」
不貞腐れながら、百代はそのまま襖を開けて閉めないまま言ってしまった
けれど、閉めなかった襖が突然閉め出された
和室は暗くなり、鉄心は目を鋭くする
「……………さすがは、お主らじゃな」
『ハッ!』
鉄心の向こう側には、まるで黒いのに包まれた物体。そこには、何人かの顔が見える
「いや〜、ほんま気づかれちゃうんじゃないかと心臓ドキバキ鳴ってましたわ〜」
一人は手から黒いのを出し、苦笑いをしている
「フハハハハハ!!!!! 我がたとえ気を絶っていても気づかないなど、万死に値するわ。フハハハハハ!!」
一人は顔中に包帯を巻いており、手には何故か鎖を持っている
「バカじゃね? 本当、我様は本当にバカじゃないっスか? アタイなんか、いつあの小娘の体を切り刻もうか悩んでいたんっスよ?」
一人は眠たそうな目で、ダボダボな服装。手に自分より大きい刀を持ち、肩にかけている
「彼女は半径10メートルを探知していたが、たかが半分以下の力を使った。それにより、私たちは99.989%の確率で、バレてはいませんね」
一人は長方形の眼鏡をかけながら、手に小さなボールを何個も持ちながらぶつぶつ言いだす
「ゲヘラテラテラ! しっかしよぉ〜、あの女相当な力を持っているよな〜〜〜〜〜〜。ゾクゾクするぜ〜」
一人はオッドアイであり、不気味な笑いをしながら鎌を引きずる」
「オー、してボス。これカラ、どうするんデスカー?? とンでもナイことになりマシタネー」
一人は黒人であり、髪形がアフロな変わった外人。見事なステップを踏みながら、誰かを指に指した
「本当、いっつも君には驚かされるよ。何その体質? 今どきはやらないよ」
一人は腰よりも長い髪で、釣り目の子。背中にはギターを背負っている
「ん? 何言ってんのお前ら。何、俺がどうしたの? ただめちゃくちゃあいつ友達思いだよな」
『はぁ〜』
「へ? 俺だけノケモノなんてひどいよ!?」
「はぁ〜……して、お主はこれだかどうするんじゃ」
「学園長まで!?」
一人はそのまま落ち込みながらも、顔を上げて伝えた
「もちろん、近々あいつと戦いますよ……………そう
その道は外れないから」