第九話 −国の文化の違い−
「よー、五道。おはよう」
「はよう、百代。今日も晴れやかな気分だね」
「そうだな…………目の前の変人が居なければな」
俺たちはいつも会うポイントの、ある橋にいる。鉄骨で出来ている丈夫な橋
これが川神の絶景だと俺は思う。ここから見える夕日や川は俺でも絶賛してしまう
しかし、この橋には別名こう言われている。変態橋と
風俗の売り、怪しげなバイト、怪しくないよと言っているが外見怪しいオッサン
だが、今日は変わった変人がいた
「HAHAHAHA☆!! ヘーイ! そこのガール! このワタシと勝負しまセンか!」
「おい、いつ変態橋は国境を越えたんだ」
「さぁ? 俺はつい此間来たから全然わかんないんだが」
目の前にはたくましい体つきの黒人。カッコいいサングラスをかけており、上半身裸ななんかイケナイ人に見える
しかし、それよりから気になるのがあるだろう?
「アフロが目立つなおい!?」
「オー、ボ…………ブ。これはアフロじゃナク、天然パーマデース!」
「誰がアメリカンコメディに出そうなボブだ!? つかそれ天パーかよ!? ほぼ爆発じゃん!」
「これだかラ、ジャパンボーイは。これはいわば、芸術なのデース!!!」
駄目だこいつ………。奴ははははと笑いながら、百代に近づいてくる
『ヒュン!』
「『ドォン』くっ……! 急に攻撃とは、この美少女に対して失礼なんじゃないのか」
「ヒュー。このワタシのキックを受け止めるナンテ、とんだ化け物デスネ!」
『グググ…』
早い。いや、早いってもんじゃねぇなこりゃあ
黒人は近づいた途端、完璧なフォームで前蹴りを放った。そう、体制を崩さずにだ。百代に受け止められているが、それでも脚を押し続ける無謀さ
「いいだろ、お前の相手はこの川神 百代が相手をしてやる。存分に来い!」
「ワタシは、ロバート・ジャンバ。ただの………
『ドォン!!!!』
「!?!?!」
怪物デス!」
右からの強烈な拳を喰らい、百代はそのまま吹き飛ばされてしまった
幸い、ピンポイントに入っていなくそれほどのダメージは喰らわなかった
だが………ロバートはまだ力の半分も出していない。彼はまるでどう倒すかを考えているのではなく、どう遊ぶかを考えているようだった
「おもしろい!!! なr「ハーイ! 遅いデスね!」早い!?」
『ドォン!』
「くっ!?」
「HUHUHUHU☆」
またもロバートは早く動き、百代の背後についた。気づくのが遅く、今度は強烈な蹴りを喰らってしまった
百代は必死で防いだが、腕に負担をかけてしまった。ロバートはその様子を見て、真っ白な歯を見せて笑っている
「どうデスかー? ワタシのこのパワーは! カワカミもこのパワーを恐れルこと間違いナイでしょう!」
「この私が接近戦でここまでやられるなんてな。なら!!!!」
百代は腕に気を集め、目をロバートに向ける
「『川神流・致死蛍』」
すると、大きな気の塊はそのまま速度を上げながらロバートに向かった
「『ショット・パンチ』」
ロバートは拳を気で包み、まるで銃弾のように放ち致死蛍に向かった
『ドォォォォン!』
「相手も気を使えるのか……。これは、とても面白いな!」
「ワォ! これはチョット………壊しがいがアリそうデース!!!」
お互い目を合わせて、視線をそらせたりしない
重たい空気の中二人はどう思っているかは、わからない。だがわかるのは、次で決まることだ
「…………フッ!!」
『ヒュン!』
すぐに動いたのやはりロバート。彼の持ち前のスピードで、百代をノックアウトすると考えているであろう
「貰ッた!!!! 近距離『ショット・パンチ』!!!」
「判断を誤ったようだな!!!」
『シュン!』
だがここで読んでいたように、百代はあっさりかわしてしまった
ロバートの技はそのまま地面に当たり、呆然としている
「なぜ避けられたか? そんなのは、簡単だ。お前は『超感覚』の持ち主だからだ」
「!?」
あぁ〜あ、バレちゃったよ………
「お前は常人より感覚は遥かに優れているのがわかった。お前は全身を研ぎ澄まし、目に見えないほどの速さは作り出した……」
「……オォ、これはビックリ仰天。正解デース」
「だが、お前は全体を研ぎ澄ましたおかげで思考回路に多少遅れが来るようだな。さっき喰らった蹴りは、まるで咄嗟に出た蹴りに見えたんでな」
「………………………」
「さてと、そろそろ種明かしもすんだし始めるか!!」
「ワタシサレンダーします。この試合はすでに、決着がツイていますカら」
と、またも見えない速さで消えてしまった
……………………あいつ、相当落ち込んでいるだろうな
「おい!? 私の立場はどうなるんだよーーー!?!?!?!!?」
あっちも大変だな
「…………ボス、今回の試合はワタシのパーフェクトな負け試合デース」
「わかってる。だからお前はもっと強くなればいい。そうだな………………今『異常』にな」
目の間に広がる、隕石が落っこちたような跡が残っていた