小説『猫語-ネコガタリ-』
作者:†綾†()

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■第三十四話【うすっぺらいノート】


「樹雨樂…?」
「ええ、私は正直好かないタイプね」

ふぅ、と伊坂はため息をついた。
『3年に一度の集まり』。
という言葉は伊坂はあまり好かないらしい。

「その、集まりっていつあるんだ?」
「…来週の月曜日ね、連絡があったから。」

来週の…月曜日。今日は金曜日だから…。

「3日後か…」
「そうなるわね、…。」

伊坂はジュースを手に取り、ノートを
ぺらぺらとめくり始める。
集まりって…どんな事するんだろうか。
あまり予想がつかない。

「ん…。」

伊坂が携帯がなっているのに気付く。
そして、携帯をポケットから取り出した。

「…誰からなんだ?」
「悠一…ね。何かしら」

伊坂が携帯を開き、メールの内容を読んだ。
…真剣な表情で読んでいるのであまり
いい話ではないだろうな…。と思った。



「…。」

無言で伊坂は悠一さんに返信の
文章を打っていた。そしてしばらくして
ぱたりと携帯を机の上においた。


「伊坂、悠一さん何だって?」
「集合時間よ、学校帰ってからすぐに。」
「ふうん…、その集まりってさ、何するんだ?」


しばらく間をあけて伊坂は説明した。


「特に…意味はないのだけど、まぁ普通に言えば
 新年の挨拶…に行く、みたいな感じ…かしら。猫がわらわらいるわよ」
「ふうん…。」



伊坂に渡されたジュースを飲みながら話を聞いていた。
ちょうど、ジュースが半分というところになった。

そしてコトンと机に置く。

するとまた、伊坂の携帯がなった。
すぐに伊坂は携帯をとる。

「また悠一さんか?」
「…いいえ、直人よ。あ、朽田君は知らなかったわね、
 直人の事。」
「…直人?初めて聞いたよ多分。」
「あの…あれよ、実散が入院してる病院あるでしょう。
 そこの医者よ。医者。」


「えっ、そうなのか」


ええ、と伊坂は頷いて、メールの用件を見る。
そして返信の文章をまた打ち始めた。

「その…直人さんは何だって?」
「…実散がもう少しで退院できそう…と。」
「そう、か。良かったな実散ちゃん」
「学校にも行くそうよ。自分から行くって。」



実散ちゃん…。


「朽田君のおかげ…も少しは入ってるんじゃないかしら。」
「そりゃどーもー。」


【続く】



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