小説『猫語-ネコガタリ-』
作者:†綾†()

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第七話【放課後の出来事】


午後の授業の記録、…ノートは真っ白。
最悪なことに今日はノートの提出日だった。
…こんなノートを見た俺の担任はどれだけ
目を丸くするだろう。そう思いながらも、提出した。

そして今日のHRはその担任がいないので、
副担任がHRを始めていた。

しばらくしてHRが終わり、
ガタガタと席を立つ人が目立つ。


…さて、俺も帰るか

俺も自分の席を立つと、俺の肩に
ポン、と手が置かれた。
…兎織だった。

「んじゃ、またなー羽乃!俺今日バイトだからさ」
「ん、そうか、またな」

そう言って、兎織は教室を出ていった。
俺も数分してこの教室を出た。

俺はバス通学だが、兎織は自転車だから、
一緒には帰っていない。


俺の家はこっから、バスだと30分でつく。
最初の方はずっと自転車で時間がかかった。
これを365日乗ると思うと、
俺はもうダメだな、と思いバス通学に変更した。





ーバス停ー

ブロロロロロロロ……キキッ

バスが来たので俺はバスに乗り込む。

バスに乗り込んだはいいけど、…気のせいだろうか、今日はいちだんと人が
少ない。…まぁ、そんな日もあるんだろうな、と思い
ガラガラの空いている席へと、腰を下ろす。

すると、聞き覚えのある音がバスの中で鳴り響いた。




『チリン』




聞き覚えのある鈴の音に、俺は敏感に反応した。
そして、くるりと俺より後ろの席を見渡すと、
そこには


「また会ったわね、朽田君」
「あ…れ、伊坂…?」

俺より2,3列後ろの席に伊坂が座っていた。

「…なんだ、伊坂…、いたのか」
「…何だ気付かなかったの、じゃあそれほど私は影が薄いと言う事ね」
「いやいや、そう言うわけじゃなくて」
「そういうわけじゃないの?じゃあ、どういうわけなのかしら」

「すみません、言い訳はもう致しません」
「何故棒読みなのか分からないけど、あえてつっこまないでおくわ」

はあ、と伊坂はため息をつく。
…伊坂、ため息をつくと3歳ふけるんだぞ。

そんな話をしているうちにバスが動き出した
そして身体が左右に大きく揺れて、
再びもとの体制に戻る。…そんな中、

「…なぁ、伊坂、聞いてもいいか」
「どうぞ」

えらくあっさり返答された。
まるで今から俺が何を言い出すか分かっているように。

「じゃあ…聞くけど、お前…一体何なんだ?」
「…朽田君、貴方、主語と述語、の意味分かってる?」
「いやだから、…今日お前が『人間じゃなかったら』って俺に聞いただろ?」
「…ええ」



「お前はホントに人間じゃないのか」


「…、」

【続く】






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