小説『カゲロウ日記(R-18)』
作者:()

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さて、前回紅に送った酒はもちろんただの酒ではない。

この俺が長い年月をかけて作り出した秘薬中の秘薬。効果はそこまで高いものではない。
だが、長きにわたる研究の末に作り出したモノ。
即効性ことないが無味無臭かつ多様な効果が得られる。
何より気付かれることはほぼない。

効果は一般的にいう媚薬、といっても微々たるものだが確実に効果がある。

そして何よりこの薬最大の効果は・・・おっと紅の家に忍ばせている蜻蛉からか、そろそろ動くか。


さて新米上忍はどこまで「女」を捨てることが出来ますかね。



ここ数日は任務もなく、部屋でくつろいでいる紅。

今日もらったお酒はなかなかのものだった。晩酌は思わずいつもより少し大目に飲んでしまった。おかげでまだ体が火照っている。

「っ!?」

突然体が何かで縛られたように動かなくなる。

(これは・・・金縛りの術?)

「これはどうも夕日紅さん。」

現れたのは仮面をつけた男。暗部の面ではない。

(他国のスパイ・・・?まさかこんなところにまで・・・)


「っく!」

金縛りの術は術者の力量により大きく効力が変わる、この金縛りは微動だにしない。

「そうそうこの部屋には結界を貼らせていただきましたよ。たとえあなたがどんな声をあげようと外部の人は気付きはしません。」


「なんでこんなところにきたのかしら?」

身動きが取れないながらも鋭い眼光は失われてはいない。仮面の男をにらみつける紅。

「自己紹介が遅れました。私、トビイロと申します。木の葉での諜報活動で少し教えていただきたいことがありましてねぇ・・・それにあなた自身にも。」

紅は舐めまわすような男の視線を感じる。これまで忍者になってからもいくどとなく味わってきた感覚だ。
整った顔立ちと豊満な体、それ自体を欲しがるものなどいくらでもいたのだから。


ガッ

動けない紅の頭を強引に掴むトビイロ。


ズズッ

チャクラだ。チャクラを直接送り込もうとしている。たとえ縛られていても感覚でそのことを敏感に感じ取ることが出来た。

紅の中に男のチャクラが流れ込み入ってこようとする。

思わず意識を持っていかれそうになるが必死に耐えようとするも異物は紅の中へ侵食し、犯していく。


「これであなたの行動はある程度私の制御下です。自決などさせませんのであしからず。」


「くっ」


では少し移動していただきましょうか。



紅は椅子に縛り付けられていた。足は開かされ、腕は後ろに回されて固定されている。縄抜けでもできない代物だ。

口は詰め物で声を出せないようにされている。

息は荒くなり涎が口からたれている。

「フーフー」


「やだなあそんなに睨まないでくださいよ。情報はさきほどあなたの頭を読み取らせていただいたのでね。あとはあなたを少し教育してから持ち帰ろうかと。いやぁいいおもちゃになりそうですからね。アナタは。」


こうなる予感は紅にはしていた。数はそう多くは無いもののこういう事例がないわけではない。この男のされるがままになれば一生日の当たらない場所で暮らすことになるかもしれない。
だからこそそうなるわけにはいかない。
こんな男のモノになるために上忍になったわけではない。忍者になったわけではないのだ。



意識を集中する、体から湧き上がってくる火照りを押さえ込んでチャクラを練り上げる。


「ほう。さすが木の葉一の幻術使い。この状況で幻術を使えるとは。」


「だがやはりこの程度ではな。」

トビイロが印を結ぶ。

「!?」

紅の目に飛び込んできたのは何も無い暗闇。

「さぁ、あなたにはどこまで耐えられますか?」


紅の目がうつろになり完全に術中に落ちたのを見届けると男は仮面を外した。

あの媚薬は効果時間が無い。解毒剤がないと時間がたつほどに効果が強まり理性が侵食されていくだろう。そしていつかはそれは破裂する。

「あっ・・が・・・ヴ・・・」

紅の体が小刻みに震える。今頃夢の中でどんな目にあっていることやら。では時間がたったら見に着てやるかな。
この部屋は極限まで他人の注意を引かないようにしてある。まずばれることはないし、紅の任務はしばらく休みだ。


さて、家に帰ってご飯にするか。

忘れずにもう一つの仕込みもやっておかないとな。





あれから何時間立っただろう。紅は未だ闇の中にいた。

体の奥底から沸き起こってくる火照りは時間がたつごとにますます強くなる。早く楽になりたいという気持ちはもちろんあるが、木の葉の上忍にまでなった女傑である紅はそのぐらいで心は折れなかった。


「!!」

幻術が解けて自分の部屋へと意識が戻る。椅子に縛られているのは変わっていないが仮面の男は見当たらない。

白い肌からは汗が吹き出て、意識が無かった頃に暴れたのか服も乱れている。だが何かされたという痕跡は無いようだ。

広がった服の間から見える肌から汗がしたたり、その艶やかさは際立ったものがある。

だが仕込まれた薬の効果は薄れるどころか、ますます強くなっていく。

体がすれただけで思わず嬌声をあげそうになってしまう。それがあの男を喜ばせるだけだということを理解してぐっと飲み込む。

脳裏にあの男にひざまずけばこの火照りをおさめてくれるのだろうかという思考がよぎるがそれを必死に振り払う。

だが体の火照りはとまらず、理性もますます侵食されていく。このままでは遅かれ早かれあの男の目論見どおりになってしまうだろう。


一刻も早くここを抜け出さなくてはならない。




コンコン。


「おーい、紅。いないのか?」

扉の外から人の声が聞こえる。

この声の主は見知った人物だ。

ガタッガタタ

必死に動いて声を出そうとするが口に入れられた詰め物のせいで上手く出せない。

「ん〜!んっんん〜〜!!」

なりふりかまわない。助けて欲しい。早くここから助け出して欲しい。私をここから救い上げて欲しい。

体を揺らし、声をあげるがそれが扉の向こうにいる人物に届くことは無かった。

「なんだ留守か・・・。」

足音が遠のいていく。

「んん!!!っ〜〜〜!!」

(待って・・・行かないで・・・!)




あれからいったい何時間たったのだろうか。

紅はもう意識を保つのも精一杯な状況だった。

薬は完全に回り、目は虚ろ、四肢には力が入らずだらりと垂れている。

体からは上気した汗と火照りが溜まり切っていた。

「・・・」



「あらあら素敵な格好ですな紅上忍。」

もう言い返す力すら紅には残っていなかった。

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