小説『ソードアート・オンライン〜幻の両剣使い〜』
作者:定泰麒()

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SAO開始〜本当のはじまり〜

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 俺は〈ホルンカ〉に着き、(森の秘宝)を早速受けることになった。

 今回”アニールブレード”がいる仲間は、俺を含め9人ほどいる。20人の仲間のうち、戦士職が14人でその中でも3人が片手用直剣使いで、1人が曲刀使い、1人が刀使い、2人は細剣使い、2人が両手剣使い、2人が短剣使い、残る3人は槍使いという内訳だ。だが細剣と両手剣は、エクストラスキルなのでしばらくは、片手用直剣だろう。刀使いの2人に関してもしばらくは、曲刀を使わなければならない。

 ここで俺は、パーティを組まないが5人ずつになり≪リトルネペントの胚珠≫を取りにかかることを決めた。

 なぜパーティを組まないのかというと、単純にパーティを組むことができないからである。(森の秘宝)のクエストは1人専用のクエストであるためにパーティを組んでやることができない。だが原作において、キリトとコペルがやっていたリトルネペントのノーマルを刈っていき、花つきのリトルネペントを出すという方法はかなり有効だった。

 それにこっちは、全部で15人もいるし、すぐに花つきが現れ≪リトルネペントの胚珠≫を手に入れることができるだろうと思った。

 そしていざやってみると、本当にうまくいった。β版で1人で取りに行ったときは、1時間以上かかったのだが、なんと10人全員が取るのに30分もかからなかった。これは、嬉しい誤算だった。

 そして〈ホルンカ〉に戻り”アニールブレード”を手に入れた。

 この時点で時計を見ると、まだ2時30分であった。原作だと5時30分ぐらいで兄さんのあの発表があったから、残り3時間は有用に使おうと考えた。






 実は原作には書いていなかったのだが、一層目には片手用直剣の”アニールブレード”のように使える武器がまだ他にもあった。曲刀の”グレイサーベル”や盾の&quot;ブロンズシールド”といったものが、それぞれクエストの報酬として用意されていた。

 その中でも難易度が一番高かったのは、(森の秘宝)クエだった。だから他のは、そう時間がかからないと思った俺は、仲間の装備を残りの時間で集めることにした。

 そして武器を集めるのに案の定そんなに時間はかからなかった。武器も集め終わり、次の行動はLVアップとお金を集めることであった。



 その作業をしていてふと時計を見た。その時ちょうど時計の針が5時30分をさした。

 リンゴーン、リンゴーンという、鐘のような音が鳴り出す。

 それを聞いた仲間たちが何事かと驚いている。

 それと同時に俺たちの体をブルーの光の柱が包む、この現象は転移(テレポート)だ。

 俺の視界が奪われ、次に俺の視界に入ってきたものは……

 広大な石畳。周囲を囲む街路樹と、瀟洒な中世風の街並み。そして正面遠くに、黒光りする巨大な宮殿。ここは、〈はじまりの街〉の中央広場だった。

 これからあの発表があるんだろう。 

 このゲームが最高のゲームから、最悪のゲームになってしまうあの発表が……

 俺の回りには、たくさんの人間がいる。そいつらが様々な文句を言っているのが聞こえてくる。

 その中の1人が上を見ろと叫ぶ。それにしたがってすべての人が上を見上げた。

 百メートル上空の2層目の底が、真紅の市松模様に染まっていくがそれをよく見るとただ赤いわけではなかった。

 赤いフォントで【Warning】と【SystemAnnouncement】が交互に表示されているのだ。

 そこからみんな押し黙った。

 上から赤い何かがドロリと垂れ下がる。

 それは形を変え、真紅のフード付きローブをまとった巨大な人の姿になった。だが顔の所には、あるべきものがなくただ闇が広がっている。

 周囲では、「あれ、GM?」「なんで顔ないの?」といった声が聞こえてくる。

 そしてその何かから男の声が聞こえてきた。

 「プレイヤーの諸君、私の世界へようこそ」

 そう俺がよく聞いていたあの声。

 「私の名前は茅場晶彦。今やこの世界をコントロールできる唯一の人間だ」

 そう俺の兄の声。茅場晶彦の声だった。





 ここからが本番か……
 
 先のことを考えるだけでちょっと鬱になる。

 だが俺が動かないとたくさんの人が死ぬ。俺は、決していい人間ではない。でも人が死ぬのは嫌だ。そして俺には、人を救う力を持っている。しかも少ない数ではない、数百人いやもしかすると数千人の命をだ。

 だからこそやってやろう。

 これは俺にしか・・・やれない役目なんだ。








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