一層目攻略 前篇
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「いまだ、こいつを畳み掛けるぞ!」
今は、ギルドメンバーや他の攻略組とともに第一層目のボスである≪ラージネペント≫の討伐の途中だ。途中といっても敵のHPは、残り1割を切ったぐらいであり、ラストスパートである。
時はさかのぼり
俺は、あの発表の後すぐさま、仲間を連れてLV上げを開始しようとしたが、俺の仲間たちの中にも取り乱すものがいたり、俺と後数名以外は、現状を理解しきれてはいなかった。そのためLV上げには行くことができなかった。最初の5時間のおかげでお金もそこそこ貯まっていたので、とりあえず宿を取ることにした。
そしてある要件があったため〈はじまりの街〉のある場所に向かった。
「なぁ君。自殺は、やめておいたほうがいい。本当に死ぬよ」
「なわけないだろ。あんなの茅場晶彦の嘘に決まってる。それにゲームシステムから切り離された者は自動的に意識を回復するはずだ」
「違う。あれは、本当だ。あれが嘘ならば、今ここにいるすべての人は、とっくに外部からの介入によって
とっくに脱出しているはずだ。それにそんな持論はまずあり得ない」
「う・・・違うこれは、夢なんだ。だから目を覚まさないといけないんだ」
そういって今俺の目の前にいる男は、正気を失いかけていた。どうやら原作通り、この男は、テラスを飛び越えて自殺しようとしている。そう要件とは、最初の自殺した男を止めようと思ったのだ。
「なにを馬鹿なことを言っているんだ。君は、目を覚ますどころか、永遠に目覚めないことになるんだぞ。
そして、今この場にいるすべてのプレイヤーに告げる。決して外部からの介入によって助かることはない。そんなことは、万に一つ起こらない。それができるのは、この世界において茅場晶彦本人のみだ」
この俺の発言に様々な意見が飛び交う。そして自殺しようとしている男は、今にも高いテラスの上から飛び降りそうになっている。俺は颯爽とテラスの柵を駆け上り、その男の服をつかむと柵の内側の方へ引っ張った。それによって男は、助かったのだが、俺の発言に対しての意見のほうが盛り上がっており、既に男のことよりも俺の発言が話題になってなっていた。
男は、引っ張ったことによって気絶しており、その場に寝かせておくこともできなかったので、俺たちが取っていた宿に連れて行った。俺はそのまま宿に寝ることにした。
ここで俺は、今後にとって大切になってくる行動に移った。
「なぁみんな聞いてくれ。あの茅場晶彦の言葉はきっと本当だ。俺たちは、この世界でHPを無くしたら現実において死んでしまうだろう。だが俺たちは、死なない。俺たちは、β版においてのエースの集まりと言ってもいい。俺たちには、生き残るだけの知識とゲームの腕がある。そこで俺は、宣言する。俺は今からギルドを設立する。みんな俺についてきてくれないか?俺はみんなを絶対に死なせない。頼む・・・いや、お願いします!」
俺は、頭を下げた。この仲間とギルド設立することは、かなり大事だ。俺一人では、できることが少ない。だがこのみんなならやれることが増えてくるのだ。そして仲間の一人が顔を上げてと俺に呼びかける。俺が顔を上げるとみんなは、うなずいたり。声をあげて賛成の意を表してくれた。
正直かなりほっとした。心のどこかで、俺は、ギルドを組んでもらえないんじゃないかと思っていたからだ
本当にこれは、嬉しかった。それにデスゲームになる可能性をみんなに黙っていたからだ。
そしてギルドを結成した。
名前は【The Savior】
意味は、救世主。
ちょっと恥ずかしい名前ではあるが、このSAOにおいて、ネームというのは、とても大切な物なのだ。だからこそわかりやすいもののほうがいい。
そしてギルドを結成し、その日は眠った。
翌日は、かなり大変だった。まず朝起きると、既に仲間は起きており、早速LV上げに行こうと思い、戦闘職のギルドメンバーを引きつれ外に出た。
だが、広場においてちょっとした騒ぎになっていることを聞きつけ、見に行くとちょっとした議論になっており、なんでも昨日の俺の発言が議論になっているようだった。それを聞いていると、昨日の俺の発言において3つの勢力に分かれていた。
まず俺の発言は、嘘で外部からの助けが来ると信じている派。
次に、俺の意見は正しいと思っている派。
最後に我関せず派。とでも言えばいいのだろうか
最初の意見が5割、次の意見が4割、最後の意見が残りの1割といったところだろうか。
ここまでことが大きくなるとは、思わなかったが、なぜここまで俺の発言が取り上げられているのかというと、俺が【風神】であるとどこかでばれたらしいのだ。俺のネームバリューの大きさを改めて実感することになったのだが……
俺は、この議論が最終的にどうなるかを最後まで見ておきたかったが、そうはせず、LV上げに繰り出した。少しでも時間が惜しかったからだ。
俺たちが、街に戻って来ると既に議論は終わっており、寄り道もせず宿へ戻った。
そして宿へ戻ると製造職のメンバーの1人が最後まで結末を見ていたらしくそれを聞くことにした。なんでも、俺が出発してから1時間ほどで決着がついたらしい。
結局あの分かれていた勢力は、平行線をたどり半ば喧嘩別れのような感じで終わったのことだ。
まぁしょうがないかと思いながらも、直ぐに俺は、明日の日程を考えていた。