小説『ソードアート・オンライン〜幻の両剣使い〜』
作者:定泰麒()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

一層目攻略 後篇

*****************************************

 それから6日後、俺たち以外にもLVが11以上になる人が出てきたことをきっかけに、層攻略を開始することになった。

 なぜLV11以上で層攻略を開始したのか、それはSAOにおいてその層の数字より、LVが10以上あれば安全圏と言われているからだ。

 俺はといえば、LV21となっている。ギルドメンバーの平均LVは16になっており、このSAOにおいて、今最も強いギルドとなっている。まぁギルド自体まだ数は少ないし当然と言えば当然か……

 そんな俺たちが、層攻略を開始するということを聞きつけ、LVが11以上になっている奴らが続々と集まってくる。

 俺は、事前に一緒に攻略したい人に迷宮区前に集合をかけていた。俺のギルメン達も合わせ、1万人中78人が集まった。β版をしていた、やつらが多かったが、正式版から始めた人もいた。これがこのSAOにおいてのトッププレイヤーたちと言ってもいいだろう。もちろんここに来ていない人もいるだろうが……

 そして原作の登場人物である。キリト、アスナの姿は確認した。この時点では、まだお互いに話したこともないだろう。

 それに兄さんの姿も確認した。そうヒースクリフだ。

 原作では、どうなっているのかわからないが、正直1層目から兄さんが出てくるとは、思っていなかった
LV21と俺と同じLVだった。

 そのことも気になったのだが、それ以上に層攻略をどうやってするかのほうが大事だった。

 集まってきた人達をどうやって使うかだ。中には、俺に協力的な人もいれば、敵視するような奴もいる。協力的な人のほうが大半なのだが、敵視してくる奴は質が悪い。俺が最強なんだと思っていたり、何様のつもりだ俺に指図するなと言ってくる奴も少なくはない。

 そこで俺は、集まってきた人達にこう告げた。

 「みなさん、今日は集まっていただきありがとうございます。そしてここで、一つお願いがあります。この層攻略においては、全て俺の指示に従ってください。それができないのならば、いますぐここからお帰りください。時間を5分差し上げます、パーティやギルドの方々と相談し、決めてください。では、どうぞ」

 俺から発せられた言葉により、ざわざわとプレイヤー達が喋りだす。そして5分後。誰も帰るものは、いなかった。

 元々俺たちが、行くと聞きつけここに来たプレイヤー達だ。それなりの覚悟や、決意をかためてきているのだろう。

 「みなさん、ありがとうございます。まず俺たちのギルドによって、ボスの部屋までの行き方はマッピングしています。β版のものと一緒だったので本当に助かりました。そこでまず皆さんにこのデータをお配りします。その後、作戦を伝えさせていただきます」

 そして俺は、ギルドのメンバーや自分自身で渡していった。中には、独自にマッピングしている人もいた。キリトもその一人だった、ソロで行ったのだろう。全ての人に配り終え、作戦を伝えることになった。

 「配り終えたので、作戦を伝えさせていただきます。まず壁戦士(タンク)役の方が何人いるか知りたいので手を挙げてもらっていいですか?」

 所々で手が上がる。その数、総勢18人。

 「わかりました。では、盾役の方9人ずつに分かれてください。そして残りの方は、俺が30人ずつ振り分けていきます」

 それにより、A班とB班に分けていった。1人ずつ、みんなから離れたところで振り分けていった。

 みんなから離れたところでしたのは、個人情報を守るためだ。このSAOにおいては、これは大切だ。

 ここで俺は、ここにきて初めて兄さんと……いや、ヒースクリフと話した。

 「まずお名前をうかがってもよろしいですか?」
 
 「ヒースクリフだ」

 「次にLVを教えてもらってよろしいですか?」

 「ステータスを見せなくていいのか?私が嘘をつくかもしれないぞ」
 
 「見せなくても大丈夫です。ここに来ている方のLVはみなさん高いはずです。それにあなたは、きっと嘘をつかない」

 これは、間違いないだろう。兄さんは、俺だけには嘘をつかなかった。

 「はっはっは……。そうか私のLVは21だ」

 ヒースクリフは不敵に笑うとLVを告げた。

 「えっLV21ですか!俺と一緒ですね。ではB班のほうへお願いします」

 俺が、ヒースクリフにそう告げると

 「そうか、わかった」

 とだけ言うと、B班のほうへ向かっていった。

 そんな感じで、どんどん振り分けていった。ちなみにキリトはA班で、アスナはB班だ。これは、均等に振り分けていった結果だ。

 そしてその作業も終わり、作戦を発表した。

 作戦は、単純明快で二つの班で交互に攻撃していくのだ。もちろんいろいろと欠点があることは、わかっている。

 まず、交互に攻撃することは非常に簡単ではない技術がいる。これは、間違いない

 そこで俺が考え出したのは、敵のHPの減り幅による交代制だ。HPをまず4個の長さに分ける。大体1個分を減らすのに、β版の時の経験を基にして、計算していくと3分はかかる。

 ≪ラージネペント≫の特徴は、大きくてHPも多くツタで攻撃してくるので中々近づくことができない。だが、欠点があってあまり動くことができないのだ。

 それは、かなりのアドバンテージだ。

 こっちが後ろに移動すると攻撃することができない。

 それは、攻撃を食らってHPが減ったとして、後ろにさえ下がれば攻撃はけしてもらわず、安心してポーションを飲むことができる。

 このSAOにおいての回復ポーションは一瞬で回復ではなく、じわじわ自然回復していくタイプなのだ。だからこそ時間がいる。

 だが3分もあれば、このLVぐらいのHPなら回復する。それでこの作戦という訳だ。

 そして俺たちは、ボス戦に入った。





 姿は、β版の時と一緒だった。攻撃の方法も一緒。

 まず俺が率いるA班が行動を開始した。

 なかなかうまくいった。ここにいるA班は、トッププレイヤーだけあって、ほとんどダメージを食らわずHPを減らした。B班も同様だった

 そして特にこれといった事もなく無事にボス戦を終了した。

 俺にとって一番うれしかったのは、一人の死者も出なかったことだ。

 作戦自体もあまりよくは、なかったと思う、だがこの作戦が、俺が考えた中で一番安全だったのだ。

 俺は、戦闘が終わりねぎらいの言葉を掛けた。
 
 「みなさん、お疲れ様でした。この戦闘が無事に終わったのも皆様方のおかげです。今後ともともに、頑張っていきましょう。」

 そういって俺は、二層目の転移門をアクティベートしに行くため、部屋の奥にある大扉へと向かった。





-9-
Copyright ©定泰麒 All Rights Reserved 
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える