小説『とりあえず転生したらキルア君の妹になったイラストレーターのお話。』
作者:みちる。()

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『親子だよな?!親子だったら手加減してぇぇぇぇぇええええええええええ!!!!』









「え、いやだよ。ゼノ爺ちゃん行ってよ」
「それじゃあ、意味がないだろう」
え?意味がないとかそうゆうこっちゃないだろ。
「あたしあの部屋の空気嫌い」
「・・・・ずいぶん嫌われているのう、シルバ」
ゼノ爺ちゃんが憐みを籠めて呟いていたけど、あたしはそんな爺ちゃんにかまってやる暇はない。
だって意味わかんないよ。あのラスボスと一対一とかどんな無理ゲーだよ。
あたしはキル兄ぃみたいに何かを成し遂げてやんよっていう決意はないし、何を糧に乗りきれと?

「仕方ない、エルが食べたがっていたショーとケーキやるから」
「よっしゃ行ってきます」
「(わが孫ながらちょろいのぅ)」
あの店のショートケーキのためならやってやろう。
爺ちゃんの憐みの目をことごとくスルーし、」あたしは意気揚々と父さんの部屋へ向かった。





***




「とは言ったものの…なぁ?」
現在あたしは父さんの部屋の前にいる。
かれこれ15分。きっと中の父さんはばっちし気づいているだろう。
でもさ、中から流れ出るオーラというか威圧が・・・・ね?
前世の部活の先輩並みに怖いんだが。
そこに微量の殺気が含まれてるから手汗が凄いことになっているんだがどうしたらいいだろうか・・・。
どうしよう、入りたくない。
さっきの爺ちゃんとの約束なかったことにできないかな・・・とか考え始めたとき、あたしはあることに気付いた。
此処でばっくれたらショートケーキ貰えないじゃん・・・。
と。
もういいや。入ろ。

「失礼しまーす」
「ノックぐらいしないか」
「あの殺気を当てられたうえで冷静な判断を求めるとか鬼ですか」
「そんな強く当てたつもりはないのだが」
あんたの弱くは、あたしにとっての強く何だよこんにゃろう。
言いたかったけど我慢した。だって、あたし残念ながらチキンなんで。心中で悪態をつくにとどめる。
偉くない?ちょっとそこのお姉さん褒めてください。
何より言った後怖いし。
ドアの前でおろおろしていると、椅子に座れと言われたのでおとなしく座る。
座ったが・・・・。


「隣に座れと?」
「そうだ」
あんた鬼だろ。
目で伝えようとしたけど残念ながら目を合わせてくれなかった。
仕方ない。

「で?なんの話?」

さぁそろそろ本題に入ろうか。










「お前は何をしたいんだ?」
え?と間抜けな声が漏れるが、許してほしい。ちょっと思考がフリーズしたんだけど。

「え?あたしのこと?キル兄ぃじゃなくて?」
「ああ、キルのことも聞くがまずはエルからだ」
ふーん。ちゃんと父さんもあたしのこと気にかけてくれたんだな・・・。
ちょっと感動。


「んー、とりあえず此処がどんな世界なのかをみたいなぁ。とりあえず殺しはうんざり」
「とか言うほどやってもないがな」
「ん〜でも表面上は殺したことになってるからおK」
「」
殺しの依頼なんてくだらないものばかりだ。
一家心中、遺産を手に入れるため、強制的な結婚から逃れるため。
その人それぞれ事情があるんだろうけど、あたしから言わせれば、そいつが死ぬまで待っとけよ、の一言に尽きる。つか、殺したいほど憎いなら自分でやれ。
ある仕事ときそう言ったら、父さんに笑われたけど。

遺産とかそうゆうの持ってる人はあんま執着してないの。だからあたしは殺したことにして、ターゲットは流星街出身者ってことにしてもらってる。
今まであたしがやったことを暴露すると、父さんはかなり長い間無表情で固まっていた。

「ちなみに死体は・・・?」
「友人にやってもらってる」
あたしの友人という言葉に眉をひそめる父さん。
「殺し屋には本当に必要なものなのか?」
殺し屋には・・・か。
「んっとねぇ。殺し屋には必要ないと思う。いざその人がターゲットになったときとか困るしね。でもね、人として、人として生きるには必要だと思うんだよね」
ふっと、笑えば驚いたように目を丸くする父さん。そりゃそうか。

「それはキルにも?」
また質問か。いったいこれいつまで続くんだろ。これ新手の拷問だよね。
「キル兄ぃには?知るかんなもん。でも、楽しそうだったよ。やっぱ子供は笑ってる方がいいよねー、イル兄ぃ見ててよく思う」

からからと笑えば、お前も子供だ。と、真顔で返された。
だって、精神年齢結構いってるし。父さんの肉体年齢軽く超えちゃってるから。

「あいつが、この世界から離れられるとでも?」
「それはキル兄ぃ次第だっつの。あたしが関与することちゃう。てかそもそもゴンたちと一緒に外に出るなら、ある程度実力がなきゃ駄目だからいいんじゃね?あたしは普通に過ごしたいが。あ、でも駄目だ、あのプリンがいる。くっそまじであいつハゲないかな」
「エル」
「さっせん」

いやだって、まじであのオールバックうざいから。いっぺんどぶにでも沈んでしまえ。
ちょっと、いや結構シリアルに突き進んだ空気を戻してまた語り始める。

「父さんやイル兄ぃはキル兄ぃを立派な当主に育てたいんだよね?」
「ああ」
「なら、外にだしなよ。12のガキが言うことじゃないけどイル兄ぃは言ってたよ?“熱をもたない闇人形だ”って」
あたしの言葉にピックと反応した。眉毛がね。なんか、今の反応のしかためっちゃ面白いんだが。

「でもそれおかしいよね、お人形さんが当主≪トップ≫に立てるわけないし、イル兄ぃに操られてちゃ意味がない。そんなに言うこと聞かせたければミケにでもやらせればいい」

あたしが言いたかったこと。
それは、この窮屈な生活。家が安らぎの場だったあたしにとって、これはかなりきつかった。

「こんなんじゃ、好きなもんも好きになれないよ。てか、そんなに縛りつけたいんだったら同じ年くらいの子供雇ってトモダチにさせて、その子に裏切るなりなんなりさせればよかったものを。こうすれば、キル兄ぃが信頼できるものが家族だけになったのにね」
逃げ道って必要なんだよ、と呟けばすっと目を細められた。
「・・・よくそんなことが考えられるな」
「そうゆう性格ですんで」
うん。自分で言ってて思うけど、相当ねじ曲がってるよね。でも大丈夫、キル兄ぃはもうゴンが居るから。
独り満足げにドヤ顔すると、え?
笑われた・・・だと?!
「意味わかんないから父さーん、あたしは言いたいこと言っただけだからー」

「だかっらて、12のガキはあんなこと言わん」
いやだから・・・・もういいや。めんどくさい。とりあえず、話の矛先を変えようそうしよう。

「父さん、あたし最終試験でいろいろあって念が使えるようになったんだよね。どうすりゃいいのまったく」
「ああ、そうだな・・・そうだ、試験のことをもっと詳しく話してくれないか」
「いいよー」

やっぱいいよね。こうゆう親子な会話。
ちょっとだけ、父さんの印象が代わった日。
(ただの鬼じゃなかった)
(何か言ったか?)
(すいません)

-60-
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