小説『とりあえず転生したらキルア君の妹になったイラストレーターのお話。』
作者:みちる。()

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『可愛い可愛い妹を愛でるのは当然だと思います』









暫く、父さんと仲良く話していると(ヒソカが時々話しに出てくると殺気だってた)ふと思い出したことがあった。
「ねぇ、アルカって何処にいんの?」
あたしにとっては何気ない一言だったけど、父さんにとっては地雷だったみたいだ。アハ-
「何故知りたい?」
おお、さすが大人ですね。対応も大人です。あたしの場合(嫌なこと聞かれたら)全力で拒否るけど、しっかり理由聞いてくれる人っていいよね。つか、ゾル家は人の話を聞かない人が多いんだよ(あたし含む)。父さんみたいな人は貴重だと思います。

「おっといけない、えっとね、え?なんて言った」
「・・・何故知りたい」
あ、疑問符とれた。
「え、そんなん可愛い可愛い妹の姿を見て愛でるのはあたしにとって当然の義務であると思うのてかあのアルカ可愛いよね。巫女服美少女綺麗でいいと思うんだ。だから一度「OK、判った。判ったから。会わすよ。ついて来い」
上記のセリフをノンブレスで言いきると(てかまだ言いたいことあったのに)父さんに遮られた。え?まだあるよ?まぁ会えるんならいいか。



父さんが、歩き始めるとあたしも一歩下がってついていく。いや、父さんと並んで歩けるほど強くもないんで。あたしはチキンですおすし。


・・・。
・・・・。
・・・・・。

うん、やばいアルカの部屋行くまで無言はきついよ。でも何話せばいいの?あれか、此処は無難に月が綺麗ですねとでも言えばいいのか?(混乱)

「エルフ」
「はひぃ?!」
「・・・・」
あまりにも驚きすぎて変な声でたんだけどっ!!父さんは可哀そうな子を見る目で見るし!!仕方ないでしょ、これは不可抗力ですからぁぁぁぁああああああああああああああああ!!!!

「えー、なんだ、此処だ」
「おお、なんて厳重な扉」
あたしが恥ずかしさに悶えている間どうやらアルカのいる場所に着いたらしい。
「・・・、エルは、アルカを外に連れ出そうとは思わないのか?」
え?もしかして父さんの歯切れが悪かったのってこれのせい?
ふーん。何かもっと別にあったと思ったのに、なんだ、そんなこと。
あたしは、人の悪い笑み(友人Bからはゲスの笑みと言われた)浮かべ、口を開く、
「いいえ、まったく」
そして言いきった。そりゃもう、いっそ清々しいほどキリツとした顔で。
あまりの驚きに目が点になる父さんを置いて真正面から扉を見る。
「いやだって、今のあたし・・・というか、この先一生強くならないあたしが、アルカと一緒に旅とかどんな無理ゲーよ」
「・・・・」
「まぁね、連れ出したいよ?でもあたしの役目は守るんじゃなくて騒ぐだし、守るのは全部キル兄ぃに丸投げします」
「・・・・救いようのないマイナス思考、いや人任せ無責任というべきか・・・」
「酷ぇ。だって事実だよ。だからあたしはキル兄ぃにアルカのことは言わない。とりあえずキル兄ぃは念を覚えてもらわなきゃ」
「そうか。あ、そうそうおねだりは・・・「全力で答えますけど何か」
「・・・・」
「だって!あの天使からノッ!お願をッ!無視とかッ!できませんッ!!」
一言ずつ単語を区切りながら堂々と宣言すると、何故かとても疲れたように笑って父さんは扉を開いた。




部屋の中に入ると、なんて言うんだ?お人形がたくさんあった。そりゃあもう、何百個も。でもさ、こんな人形があってまだ部屋のスペースあるって、此処いったいぜんたい何畳あるわけ?
部屋の右端に目をやると、アルカがちょこんと座っていた。
父さんはいつの間にかいなくなっていた。



「!お姉ちゃんっ」
「アルカぁぁぁぁあああああああああああああ!!!」
ひしっと抱き合うと、いい匂いがした。
ああ、此処が天国か・・・・。


「会いたかったよぉぉぉ!元気だった?」
「うん!」
そうかそうか、と言って頭をなでると、気持ち良さそうに目を細めるアルカ。やばい可愛い。



「お姉ちゃん、抱っこして?」
「おk、ほれ、おいでー」
ギュッとだくとやっぱり嬉しそうに笑うアルカ。
あ、今お花畑見えた。


「エルフ、あやとり見せて?」
「いいよー、あ、でも一緒にやろうよ」
「うん!」
ああ、いいなこののほほんとした空気。あたしの心が浄化されてくるよ…。



「お姉ちゃん、しりとりしよう?」
「よっしゃ、勝つぞ」
「ふふふ」
ヤダこの子可愛い。


にこにこしてると、いきなりアルカから声がかかる。
「ねぇお姉ちゃん、お兄ちゃんは?」
「うーん、キル兄ぃはねぇ、たぶん呼んだら今すぐ来てくれるんだろうけどね、でも、今は来れないの」
「どうして?」
「アルカやあたしはハンターハンターの世界≪此処≫にとってイレギュラーな存在なの。そうなると、必然的に狙われるわけよ。ロリコンに(←強調)」
「・・・うん」
「だから、キル兄ぃには強くなってもらわなきゃ、な?」
「うん?」
「だからさ、アルカ、ナニカあたしのお願聞いてくれる?」
ふっと目を細めて聞けば、うんと二つの声が聞こえた。
あ、父さんたちがナニカのルールいろいろ知っちゃまずいよな・・・。
まぁいいや。この際どうにでもなれば。
ナニカの力って怖いからなぁ、でも父さんたち的には、この力使いこなしたいんだろうなぁ。
下手すりゃゾルディック滅ぶし。ナニカの力って。
「えっとね、絶対2人を迎えに来るから、それまでいい子に待ってて?」
「そしたら、エルフは、いいこいいこしてくれる?」
「ナニカ達がもうヤメテ!て言うぐらいやってあげる」
「やったー!アルカ頑張るよ!」
「うん。ナニカと仲良くしてたらね。あ、そうそう、ちょっと待ってて・・・」
「?」
あたしは、最近覚えたばかりの念であの“力”を使う。
なんか念使えるようになったら、一気に楽になったんだよねこれ。
そして、蜘蛛の刺青のときと同じ要領で、星のブレスレットを作った。
ただし、真ん中の飾りが半分かけてるけど。
「はい」
「ん?真ん中かけてるよ?」
「これはね、ほれ」
そう言ってあたしの腕を見せる。
そこにはあるかとおそろいのブレスレット。
「わぁ!おそろい」
「これは二人の約束の印。アルカ達がちゃんと約束守っていたら一つにしてあげる」
「ホント?」
「うん。だから、それまで待ってて?」
「うん!ありがとう、お姉ちゃん!!」
いやだって、親指千切って傷口合わせるとかできないし。
いいだろこれ?ちょっと女の子っぽいだろ?
だがしかし、これアレンのアイディア何だよなー。くっそ、男のくせに少女っぽい趣味持ちやがって・・・。


「お姉ちゃん?」
「あ、ごめんごめん。さ、もう行くかな・・・。ずっとここいると出て行けなくなりそう」
「そっか・・・」
う!何か今すごくしゅんってなった!!
かわいい!あ、いけないいけない。


「うん。ごめんね、またこの家出るとき会いに来るから」
その時は父さんの目を盗んで独りできます。
だって、監視されながらとか嫌だよ。


「さ、父さんもう終わったからさっさと開けて!このドアぶっ壊すよー」
「・・・はぁー。わかった」
父さんのため息を背に、あたしはアルカの部屋を後にした。
さてと・・・、次はカルトだ!











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