小説『とある零位の全を操る者(エネミー・デイズ)』
作者:()

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荒神が家に帰ると、

「ただいま!!」

当然挨拶をする。

オルソラを見送ったのは、朝の六時だったため、帰ってきたのは七時ぐらいだろう。

「?」

荒神は異変に気づいた。

炎月の「おかえり」と言う返事が無いのだ。

「炎月!?」

急いで炎月の部屋に向かった荒神。

中に入ると、部屋は無残な光景であった。

棚に並んだ本は全床に落ちており、椅子は倒れており、枕はビリビリに避けており、何より......炎月が血を吐いた状態で倒れていたのだ。

「炎月!!」

その姿を見て、思わず荒神は叫び呼んだ。

意識が在るか確かめるため、脈を調べた。

ほぼ無に近かった。

炎月の状態はこれ以上分からないため、冥土帰し(ヘヴンキャンセラー)に連絡を取り、急いで救急車をよこす用に頼んだ。



病院

「冥土帰し!!炎月の容態は!?」

手術中の蛍光灯の明かりが着いた時に出てきた冥土帰しに聞いた。

「残念だが、もう遅い」

「何故だ!!何故!!」

荒神は涙を流し始めながら聞いた。

「脳に腫瘍ができている。もう少し早く気づいていれば助かったが......だが、僕は最後まで全力で手術に取り組む!!」

その言葉に翻弄され、座っていた椅子に座った。

そして三時間が過ぎた。

手術中の蛍光灯の明かりは消え、冥土帰しが出てきた。

「やはりダメだった」

顔をうつむかせ言う冥土帰し。

その言葉を聞き、携帯を取り出し、御坂にすぐに病院に来る様、電話をした。

数分後御坂が到着する。

「御坂。お前は気づかなかったのか?」

先ほどまで流していた涙が止まっていた。

「・・・・・・、」

御坂は黙ってうつむいている。

「何故こうなったんだ!!」

荒神は思いっきり地団駄を踏み、床が崩れた。

その行動に冥土帰しは、何も言わなかった。

だが、荒神の背中をゆっくりと宥める様に、揺すった。

その後、その後の事を考え、家に帰った。

そして、ベットの上で泣いていると、いつの間にか荒神は寝てしまった。




「とうとう死んじゃったね」

何処かで聞いた声だった。

「さあ。うつむいていないで起きなよ!!」

微かに覚えていた。

天井との一件で気を失った時に荒神が死んでいないと告げた少女の声だった。

「お前は」

荒神が顔を上げると、少女が目の前に居た。

「私の名前覚えてる?」

知るわけがない。

話合ったのは、一度だけなのだから。

数秒すると、記憶の中の写真の一枚の顔を思い出す。

「永、奈?」

「せいかーい!!」

その少女は荒神の兄妹の荒神永奈だった。

事情により、永奈は北海道に居るはずだ。

「お前は北海道に!!」

「死んだんだよ......でもね!!私、神様に会って、お兄ちゃんの心の中に居ることにしたの!!」

「(神様!?居るはずが無いだろ?何言ってるんだ?こいつ)」

「実際、貴方の演算を援護しているのは、私なんだよ!!」

荒神は驚いた。

「だって!!お兄ちゃんの才能って、中学になってから開花したじゃん!!」

その言葉を聞き、本当だと言うことを知った。

「そ、それじゃあ、お前は中一の頃に死んだのか?」

「......そう」

ますます、驚いた荒神。

その写真を見たのは、荒神が中学三年の時だった。

そうなると、中学一年の永奈が、日本一の中学生だということになる。

「私、今実際にお兄ちゃんの目の前に立ってるんだよ!!」

その言葉を聞き、思わず荒神は起きた。

すると、本当に永奈が目の前に居たのだった。

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