小説『Tales Of The Abyss 〜Another story〜 』
作者:じーく()

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#102 直線の猛威   vsユニセロス

























【タタル渓谷】



一向はセフィロトがあるという、タタル渓谷まで来ていた。

アルビオールがある為、移動するのはあっという間だ。

所々でモンスターと遭遇するけど。



「イオンは例によって出ないでよ?そこから!出るときは必ず言う事!」

アルがイオンにそう言う。

「はい。わかりました。よろしくお願いします。」

イオンは笑顔でそう言う……。

その笑顔が不安なんだけど…… 苦笑。

「おおい!アル!余所見してんなよ?やられるぞ!」

ガイが、アルに向かってそう言う。

まあ、言い分は最も!

何せ……。

「そうだね……。了解!。」

アルは苦笑していた。

そう……。

タタル渓谷に入ったのはいいんだけど……。



“グルルルル………”



何か大きな魔物がいるんだ。

おまけに素早いし……。

角の攻撃は強烈だ。

まともに喰らえばひとたまりも無いほどに。

「やれやれ……少々困りましたね。あれはユニセロス。このような場所にいるとは思いませんでした。希少種ですから。」

ジェイドも苦言をしてるようだ。

疾風の様に動いては角で攻撃……。

的が中々絞れない。


「深遠へと誘う旋律……」


ティアが譜歌を発動!


「―――……♪」

美しい旋律と共に……


「ナイトメア!!」

睡魔と闇の波動でダメージを与える両方の効果を持つ闇属性の攻撃だ!


“バシュウウウッ……!!”


“グルッ!!グルアッ!!”


「ッ!!」

ユニセロスは、ティアの譜歌を明らかに嫌がっていた。

それが意味するのは……。

「どうやら、闇の属性……第一音素が苦手のようね。」

ティアは相手の性質を読み取る!


「よ〜し!それならあたしの得意分野だ!」

アニスがトクナガの上で構えた!


「ネガティブゲイト!!」


“ゴオオオオオオッ!!!!”

闇の魔空間を出現させる!!


“ガアッ!!!”


ユニセロスはそれを素早く回避し!


“ギュンッ!!”


アニス目掛けてもう突進!!

「アニスッ!!」


“バチッィ!!!”


アルは咄嗟に防護の譜術を発動させる……っが!


“ガキィィィィッ!!”


「げっ……!」


角で……壊されかけてる!!

「させない……!フォースシールド!!」


“パァァァァァァァッ!!!”



「今よ!そこから離れて!!」


ティアが、アル同様防護の術をかけ……。


「ありがとっ!」「ありがとう!!」


その隙にアニスとアルは何を逃れた。

「ちぃ……!直線状だけど、攻撃が強ぇな!」

ルークがそう言う。

「おまけに……動きが素早くて、中々的を絞らせません!」

ナタリアは何度も矢を飛ばすが……

かわされる。

「スターストローク!!」


“ビビビッ!!!”



3本の矢を同時に放つ!!


が……。


“ヒュンッ!!”


回避されてしまう。


「埒があかねー……な。どうする?」


背中合わせにルークとアルの2人がいた。

そして、ルークは歯軋りをしながらそう言っていた。

だが、

「よし……手は考えたよ!」


アルがそう答えた。

「ほんとかっ?」

少し驚きめでそう言う。

「おお!なら頼むぜ!!こっちも、そろそろしんどくなってきた!」

前衛を任せているガイとルークがそう叫ぶ。

素早い敵の動きを最小限に食い止めて、後衛まで攻撃を届かないようにしてくれていた為……。

体力の消耗は 激しいようだ。




「うん!任せて。アニス!合わせるよ!!こいつは結構広範囲じゃなきゃ捕らえきれないからっ!」

アルがアニスの方へと走る!

「!おっけー!!」

アニスはアルの意図がわかったようだ。

トクナガから降り、縮めてアルの元へ!!


「ティアとナタリアは皆の治癒をお願い!その間になんとかするから!」

アルは2人にそう言う。

「任せて!」「わかりましたわ!」

2人はうなずくとそれぞれに譜術をかけた!



「いくよ?アニス!」

「よぉ〜し!いいよっ!いっちょやっちゃおーう!」



アニスとアルは……。

互いに構えた!




「解き放たれし力………魔を帯びし……不協和音………」



「それは不穏なる異界の力!」



アルとアニスの間に闇の音素が集中!



“ヴォォォォォォンッ…………。”



そして、ユニセロスの足元から半径数メートルのサークルが出現する!!

まるで地面に穴が開いたような……。

真っ黒な穴だ。

そして気配が……尋常じゃない。


それを見たガイとルークは……。


「こいつは……」「……ああ、離れた方が……いいな?」


冷や汗をかいて…!直ぐに逃げ出した!!! 苦笑


それを確認したアルは薄ら笑い…。

アニスも集中を高め…!



「「目の前の邪悪に裁きを! 」



翳した指先に……。

何かが暗黒から湧き出してきた!



「「バイオレットペイン!!」」




そして2人合わせて譜術を解き放った!

闇よりいでし、無数の触手。

それはまるで、闇そのものの腕……だ。




“ギュルオオオオオオオオ!!!”



それは一気にユニセロスを取り囲む!


“グルッ!!”


こればかりはユニセロスの素早さを持ってしても逃げ出す事は無理だ。

外側から包み込むような闇の腕。

発動した瞬間自分の周囲数メートルが取り囲まれているのだ。

そしてそれは、意思を持って、中心の標的に直撃する!!



“ズガガガガガガガガガガッ!!!!!!!”



“グルアアアアアアア…………”


攻撃がやむと……。

ユニセロスは、崩れ落ちていた。








「オレ達を止めるにはちょっとあまかったかな!」

「へっへ〜〜ん!ちょろいねっ!」

「チョロあまですね。」
























戦闘が終わり……一向はセフィロトを目指す。


「それにしても、アル?」

ルークがアルの傍に。

「ん?どうしたの?」

「術をあわせるってのはどう言う事なんだ?同時に放つって事?」

ルークがそう聞く。

何度か使っていたが、ルークはいまいちよくわかってないようだ。

まあ、そんなに難しい事じゃないけど。

所謂……共鳴術技? By エクシリアより 笑

「ん……ちょっと違うかな?2人で共鳴しあって……力を増幅させるって感じかな?1人じゃ あまり威力が無くてもみんなでやれば、大きな力になる……。同時に放つって言うのも間違ってないと思うけど、協力し合う、って言うのが正解だと思うよ。仲間の力!ッてヤツだね!」

アルはそう説明する。

「つまり、共鳴譜術ってところですかね?私も実際にアルと使用しましたが……やはり出力は個人別とは比べるまでも無いですね。それに私自信も発想した事がなかったですよ。他人の術と合わせるなんて事はね?」

ジェイドがちょっと呆れながらそう言う……。

彼は実際には驚いていた。

結束の力。

その威力と……

そして、彼のその発想。

……仲間を信じきっていなければ出ないだろう。

そして、自身も無類の強さを持っている……か。





「……何?その目……。」

ちょっとじと〜〜っと ジェイドを見る。

ジェイド自身は彼のことを敬意を持っていたんだけど……。

「いえいえ、そもそもアルの規格外は今に始まった事じゃありませんし?」

あっけらかん〜〜♪

「なんだよっ!それ!ジェイドだって人の事いえないよ!危ないし!」


ちょっと酷い!


「それにしても、咄嗟に出てきたわけでもないでしょう?それも 例の声が教えてくれるのですか?」

ジェイドは一転し真剣にそう聞いていた。

「ん………そうだね……。声と言うか……頭に浮かんでくるんだ。声は……そうだね。最近はもうずっと聞いてないかな?」

アルも真剣に答えた。

「ふむ………。」

ジェイドは再び考え事を……。

「貴方の力も本腰をいれて調査した方が良いでしょうね。今は大丈夫のようですが、見たことも無ければ聞いたことも無い力を連発するようにつかうのですから。その中に諸刃の剣でもあったら………、また 【ティア】に迷惑懸ける事になりますよ?」

ジェイドは……何故かティア!を強調して……。

「ッ!!///も……もうっ!からかわないでよっ///」

アルは先刻の事もあるから……。

慌てて止めに入る! 苦笑

「でも大切な事でしょ〜〜?それに〜〜」

アニスも……。

「やっぱし、あたしと合わせるんじゃなくてティアに合わせなくて良かったの〜??ヤキモチ妬いちゃうかもよ〜?ティアっ!」

ニヤニヤと……。

「ッ!!だから……もうそれはいいわよ……//」

ティアも僅かだが顔が赤い……。

まだ完全になれたわけではなさそうだ。

「あ……う………///」

アルはまだダメっぽい。

「おいおい……ここでアルに気絶させられたらこの後がさらにしんどくなるぜ?」

「ははは……。」

ガイとルークが苦笑い。

「き……気絶はもうしない……///よ///」

深呼吸するアルがとても微笑ましい……。


















「ふふふ……ティアもしっかりと捕まえておかなくてはなりませんよ?」

ナタリアがティアの傍まで来てそう言う。

「えっ…!!」

ナタリアからは突然の事だったためかティアは驚いていた。

「アルはとても優しい性格ですから…。あまり拒まないでしょう?アニスだって気が無いとは到底思えませんし……。捕まえとかないと、誰かにとられてしまいますわよ?」

そう言って笑っていた。

姫サマなのに……そう言う言い方は…… 苦笑。

「ッッッ!!」

流石のティアもこういわれたら……ねぇ?

顔は赤くしてたけど……。

「………(気をつけた方が……いいかしら……///)」

アルを見ながらそう考える。

その姿にナタリアは再び笑っていた。







「あははは〜〜!って!!ああーーーッ!!あれは!!」

アニスは笑顔で歩いていて……。

あるものを見つけた!!


「あれは!幻のアオイロゴルゴンホドアゲハ!」


慌てたように!!そう言う。


「捕まえたら 一匹辺り400万ガルドっ!!」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

よん……ひゃく……??

「えええっ!!蝶ってそんなに高価なの??」

アルは驚きながらそう言う。

「希少種ですからね…。コレクターには高値で売買ができるのですよ。」

イオンが説明してくれた。

「ほ〜〜〜。」

ガイもその蝶を見ていて……。

その蝶がドンドン離れて……。

それを見たアニスは!!


「ああああっ!待って〜〜〜!!400万ガルド〜〜〜!!」


無我夢中で追いかける!

さっきのやりとりはスッカリ!

(ほっ………。)

アルはあからさまにほっとしていた。

でも……。

ティアと目があうと……。

「////」「ふふ……///」

赤くなる♪

やっぱしティアの方が余裕綽々!

主導権握られるね? 苦笑





そんなこんながあった間に……。

アニスはあっという間に離れていって……。

とりあえずガイが付いてゆく。

「おお〜い!そんなに走ると転ぶぞ?」

子ども扱いしてる?

まあ、アニスを子ども扱いは中々出来るもんじゃないけど。

でも、アニスは追いかけるのに夢中で気にしちゃいない…って言うか耳に入ってない… 苦笑




仄々していたけど……その次の瞬間!!!




“ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!!!”




地震が……鳴り響いた!!


そして、大地にヒビがはいる!!


「きゃあああっ!!」

蝶をおっていたアニスは運悪く地割れに飲み込まれそうになったのだ!


何とかしがみつく事ができていたが……。

その岩盤は非情に脆くなっていた…。


「「「アニスッ!!」」」

急いで!駆けつけるが距離が……遠すぎる!

でも……。

アニスは無事だった。

落下しかけたアニスの手を掴んだのだ。

そのアニスの手を掴んだのは……。

「放すなよっ!?今引っ張りあげる!!」

女性恐怖症だったガイだった…

「あ………うんっ。」

アニスは…。

大事無く引っ張りあげられた。





地震も収まり……。

皆も集まる。

「大丈夫ですか!?」

ナタリアがまず一声。

「うん……。あたしは大丈夫。でも……」

ガイのほうを見た。

やっぱり……思っていたようだ


「ガイ……」

ルークも驚く。


「触れた……。」

ガイは自分の手をじっと見つめて……呟く。

「オレも……少しは前に進めているのかな……?」

そう言っていた。

皆はその言葉に頷く……。

「過去を……知るって言うのは悪い事だけじゃない……。……やっぱり乗り越えられるんだ。」

アルはガイを見てそう思う。

自信の過去……。

それを知ったとき。

ひょっとしたら……ガイのように悲しい……憎しみのある過去かもしれない。

その過去と今の過去……。

二つも……くれば……。

そう思っていたがガイを見て……乗り越えられる…と改めて思うことが出来ていた。

「ガイのおかげでオレも勇気が出てきた。格好悪いって思われるかもだけどね、やっぱりオレも怖いって思ってたから……。」

アルは座り込んでいるガイに手をさしだす。

「はは……。役にたてたってんなら、嬉しいさ。格好悪いって?ははっ……そりゃオレだろ?お前はずっと前を向いてんだ。……それにきっと見つかる。」

ガイはアルの手を握り……立ち上がる。

そのガイの言葉に皆同じだったようだ。

皆頷き……そして笑みだった。


しかし、それも直ぐ真剣なものになる。

何故なら、そんなに時間が無いからだ。

「でも、今の地震は……。」

そう、先刻の激しい揺れ。

それを連想させるのは……。

「……セフィロトの暴走によるものかもしれません。」

イオンがそう静かに語った。

「急ごう。」

ルークもそういい。

皆先へと向かった。












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